Research Abstract |
【目的】ほ乳子豚を強制離乳後は病原性下痢が多発し,予防及び治療に抗菌剤が使用されている。病原性下痢多発の原因として早期の強制離乳が上げられる。集約的養豚では常態化している3週齢での離乳は絨毛を萎縮させるため,栄養吸収に支障をきたしその後の子豚の発育に大きな影響を及ぼすことが知られている。前回奨励研究課題「豚の生育段階及び小腸部位での各消化酵素活性の違い:課題#20925030」では,ほ乳中の21日齢子豚はラクターゼ活性が依然高く,高分子の乳成分を吸収するための飲細胞が回腸の一部で発達していた。本研究は,離乳時期における飲細胞と2糖分解酵素活性との関連を検討し,子豚にとって栄養学的に最適な離乳時期を決定することを目的とした。 【方法】養豚場で飼育されている7(S7),21(S21),28(S28)及び35(S35)日齢のほ乳を続ける子豚を各4頭供試した。また,21日齢で強制離乳した子豚28(W28)及び35(W35)日齢も供試した。各子豚を麻酔後,小腸を摘出した,8等分して胃側を小腸1,盲腸側を小腸8とした。各小腸の一部を常法によりHE染色標本作製後,飲細胞を観察した。各小腸のマルターゼ(MA),スクラーゼ(SU)及びラクターゼ(LA)活性を測定した。各小腸の一部は反転サック法を用いて乳糖の分解・吸収(AB)活性を測定した。 【結果及びまとめ】S7で最もLA活性が高く,S21ではS7と比較するとLA活性は漸次減少していたものの引き続き高い活性を維持していた。また,S21のMA及びSU活性が他の日齢と比較して最も高値を示した。S28になるとLA活性はS21と比較すると半減し,MA及びSU活性も減少した。S28はW28と比較してMA活性は小腸後部で1.5~2.3倍,SU活性は小腸後部で1.4~2.4倍,LU活性は小腸後部で1.7~3.2倍,AB活性は2.1~4.7倍であった。S35はW35と比較してMA活性は小腸後部で1.6-1.9倍,SU活性は小腸後部で1.7~1.9倍,LU活性は小腸後部で3.7~6.2倍,AB活性は0.7~L6倍であった。一方で,飲細胞はS28では殆ど確認できなかったが,W28では小腸7~8で飲細胞が確認できた個体が認められた。一方で,S35及びW35では飲細胞は認められなかった。以上の結果から,離乳時期は少なくとも28日齢以降が好ましいと推察された。
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