腎機能変動を考慮した腎排泄型抗生物質の薬物動態解析
Project/Area Number |
21926004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅰ
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
折山 豊仁 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥540,000 (Direct Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2009: ¥540,000 (Direct Cost: ¥540,000)
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Keywords | バンコマイシン / 腎機能変動 / ベイジアン解析 |
Research Abstract |
本研究では、薬物速度論解析ソフト「NAPP」を用いた腎機能変動を考慮したベイジアン解析の予測精度に対する腎機能変動の大小の影響や、クレアチニンクリアランス(CLcr)の予測式の影響を明らかにすることを目的として検討を行った。 まず、東京大学医学部附属病院(以下当院)において過去1年間にバンコマイシン(VCM)の投与を受けた患者から30%以上のCLcr変動が認められた患者43名を抽出した。これらの患者データを対象として、CLcrと血清中クレアチニン濃度(CRE)の時間的なズレが、解析精度に与える影響を検討するため、ソフトへのCLcr入力値に、当日、および1~3日後までのCREを基に推定したCLcrを入力してベイジアン解析を実施した(0~4DAYモデル)。クレアチニンの半減期(t_<1/2cr>)が短いほど、CLcrとCREの時間的なズレは小さいと考え、t_<1/2cr>が6時間未満の患者群(Group 1、19例)と6時間以上の患者群(Group 2、24例)に分けて、実測値と予測値の残差平方和平均値の平方根を解析精度の指標として、腎機能変動を考慮しないベイジアン解析(対照モデル)と比較した。Group 1では0~4DAYモデルいずれにおいても解析精度は対照モデルと比較して有意な改善を認めなかった。一方、Group 2では1~3DAYモデルにおいて解析精度に有意な改善を認めた。また、VCMのクリアランス(CL_<VCM>)予測値に与える影響を検討するため、Group 2の患者から腎機能が単調低下傾向にある患者14例を抽出し、CL_<VCM>予測値を比較したところ、1~3DAYモデルによるCL_<VCM>予測値は対照モデルより15~20%程度低値であった。 以上の検討により、t_<1/2cr>が長い患者で投与期間中に腎機能が低下傾向にある場合には、通常のベイジアン解析により予測したCL_<VCM>は20%程度過大評価となっている可能性が考えられた。本研究で得られた知見は経験的には認識されているが、薬物動態学的に詳細な検証を加え、定量的な説明を与えた研究は過去に例が無く、極めて重要な知見であると自負している。
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Report
(1 results)
Research Products
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