Project/Area Number |
21929013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅳ
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤野 知子 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教
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Project Period (FY) |
2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥450,000 (Direct Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2009: ¥450,000 (Direct Cost: ¥450,000)
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Keywords | TDM / 薬物動態 / 抗生剤 |
Research Abstract |
グリコペプチド系抗生剤、アミノグリコシド系抗生剤等の一部の抗生剤については、TDMに基づく投与量設計が、臨床において広く実施されている。TDM対象となっている抗生剤の多くは腎排泄型薬剤であることから、患者の腎機能に応じた初期投与量設計が行われるが、投与開始後のTDMの結果、投与量変更が必要となる例も少なくない。一方、これらの薬剤はカルバペネム系やセフェム系などの広域抗生剤と併用されることが多いが、それらの多くも腎排泄型薬剤である。そのため、上述のような例では、併用抗生剤の濃度コントロールも不良となっていることが予測され、薬物動態学的観点からはTDM対象薬剤と同様の投与量調整が必要と考えられる。本研究では、TDM対象抗生剤の中からバンコマイシン(VCM)を選択し、VCMの投与量と、併用抗生剤の投与量の整合性に関する実態調査を実施した。その後、整合性が取れていない症例に関して、併用抗生剤の血清中濃度を測定することで、動態学的問題を検討した。 2008年7月から2009年9月のVCM投与症例中、TDMの結果VCMの減量が必要となり、かつ減量前後に血清中濃度の測定を行った64症例における併用抗生剤の投与量を調査した。投与量は、添付文書上の最大投与量に対する割合(%)で評価した。抽出された64症例において、VCM投与量は平均で79.3%から49.7%に減量していた一方で併用抗生剤の投与量は87,5%から84.7%とほぼ不変であり、TDMによりVCMの減量は成されているが、その多くの場合、併用腎排泄型抗生剤の減量は行われておらず、VCMの投与量と併用腎排泄型抗生剤の投与量には非整合性が存在することが明らかとなった。そこで、VCMとの併用例が最も多かったメロペネム(MEPM)に関して、VCM併用時の血清中濃度を実測した。その結果、VCMの減量が必要であった症例では、併用のMEPMの血清中濃度にバラつきが大きい傾向にあり、血清中濃度が適切にコントロールされていない症例が見受けられた。これより、薬物動態学的には、TDM非対象の腎排泄型抗生剤に関しても、投与量の調節を行う必要性があることが示唆された。
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