就労者の生体リズムの乱れの低減を目的として、眼内に入射する光の分光強度をサングラス様のレンズフィルターを装着することで制御するために、生体リズムに影響する波長と視認性を確保するための波長をバランスよく透過するフィルタの開発を行い、その効果を実験的に検証した。 生体リズムに影響を与える530nmを中心とする波長の光を遮光し、かつ、サングラスの安全規格を定めたJIS T7331(ISO14889)の規定を満足するレンズフィルターの分光透過率分布を解析的に明らかにした。算出した分光透過率を持つレンズフィルターを誘電体多層膜蒸着にて試作し、メガネフレームに取り付けてサングラスとして被験者が使用できる試作品を開発した。開発品の効果に対する検証実験として、開発品を装着しない場合、装着した場合、開発品と同じ視感度透過率を有するND(Neutral Density)タイプのサングラスを装着する実験を各3日間行い、尿中のメラトニン代謝物、心拍変動、睡眠・活動量を計測した。、その結果、定性的ではあるが開発したフィルタが睡眠に与える影響が確認された。加えて、装着時に問題となる視認性について、交通信号の表示が明確に認識でき、昼間の運転時に使用できる可能性を確認した。色覚特性(色弁別特性)については、色覚特性測定実験を行ったところ、B~G、Y~Rの色域で弁別機能の顕著な低下が認められた。この点については、今後、改善の余地があると考えられる。
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