The Anthropology of Vulnerability: How can we talk about people vulnerable to sufferings
Project/Area Number |
21H00654
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
竹沢 尚一郎 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (10183063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深海 菊絵 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 外来研究員 (00895980)
近藤 有希子 愛媛大学, 法文学部, 講師 (10847148)
森田 良成 桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (30647318)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 被傷性 / 紛争 / 貧困 / 性 / 人類史 / 被災者 / 戦争避難民 / 災害被害者 / ポリアモリー / 内戦と記憶 / 苦難 / 難民 / 性的マイノリティ |
Outline of Research at the Start |
2016年、米国の人類学者Sherry Ortnerは、失業や疾病、戦争、災害等に苦しむ人々を対象とする「暗い人類学が人類学の中心的テーマになっている」と断言した。この発言の背景にあるのは、グローバル化と新自由主義の進展による大量の移民や難民の出現、工場移転の結果としての失業や短期雇用の増加である。急速に変わりゆく現代世界の中で、人類学がその使命とされてきた「異文化研究の学」にとどまることは可能なのか。むしろそれは研究対象と研究方法の根本的な改変を必要としているのではないか。本研究の目的は、苦難に満ちた現代世界に生きる多様な人々を包括的に研究するための新たな方向性を見つけることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の竹沢は、東日本大震災の被災者のもとでの調査研究を実施した。とくに福島原発事故の避難者のもとで聞き取り調査をおこない、それをもとに2022年2月に著書を出版した。そのデータとフランスにおける原子力発電所からの放射能汚染に関するデータとを比較するために、海外調査を実施するための準備をおこなった。 そのほか、人間にとって被傷性とは何かを人類史の観点から明確にするために文献研究を実施した。この問題に関しては、次年度以降に著書を出版の予定である。 研究分担者の森田は、インドネシア領西チモールの農村で現地調査を実施するために、文献調査およびこれまでに実施した研究成果の再分析をおこなった。東チモールおよび西チモールの双方で、国家主導の開発がおこなわれ、それにともない大きな社会的・文化的変化が生じているので、そのデータを収集し分析している。 研究分担者の深海は、過去に提出した博士論文を出版するために全面的に書き直しをおこなっており、それに際して補足的データを取得するためにアメリカ合衆国で現地調査を実施するための準備をした。海外調査が完了し次第、そのデータを組み込んで著書を出版の予定である。 研究分担者の近藤は、ルワンダの農村部で、過去の虐殺によって被害を受けた地域社会の再建の問題を考えてきたが、国家がつくる被害と救済の物語を受け入れることができないでいる人びとが、どのような見解をもち、それをどのような身体的所作において表出しているかを、さまざまな角度から分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の竹沢は原発事故避難者や放射能汚染対策に関して、国内調査および海外調査を実施する予定であったが、コロナ禍により受け入れ機関との調整がつかず、その一部を実施することができなかった。 研究分担者の森田は、インドネシアで海外調査を実施する予定であったが、コロナ禍により現地調査を実施することができず、文献調査に重点を置いた。次年度以降に海外調査を行うべく、準備を進めている。 研究分担者の深海と近藤は、予定していた研究をほぼ実施することができている。ただ、コロナ禍により予定していた海外調査や国内調査を実施できなかったので、次年度以降に予定していた文献調査等に力点をおいて研究を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
竹沢は従来の研究を継続し、原発事故の被災者の苦難と再建に関するデータをまとめると同時に、国際比較の観点からヨーロッパで現地調査をおこなう。それに際しては、大量の文献調査が必要である。また、人間の被傷性に関し人類史の観点から取りまとめをおこない、それを出版するべく準備を進める。これについても、大量の文献調査が必要である。 研究分担者の森田は、インドネシアで現地調査を行う予定であり、インドネシア領の西チモールと独立国である東チモールが、国家の開発計画との関係で社会と経済にどのような違いが生まれているかを研究する予定である。 研究分担者の深海は、アメリカ合衆国でポリアモリーを実践している人びとのもとで海外調査を実施し、それを踏まえて過去の博士論文の書き直しをおこない、著書を出版する予定である。 研究分担者の近藤は、これまで調査研究をおこなってきたルワンダと、その隣国のブルンジで現地調査をおこなう予定である。おなじような内戦を経験しているこの2つの国で、内戦の記憶がどう語られ、語られないでいるかの比較研究をおこなうつもりであり、そのための文献調査等の準備を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)