Project/Area Number |
21H00783
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
野崎 敏郎 佛教大学, 社会学部, 教授 (40253364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智子 京都大学, 教育学研究科, 教授 (00379041)
恒木 健太郎 専修大学, 経済学部, 教授 (30456769)
鈴木 宗徳 法政大学, 社会学部, 教授 (60329745)
三笘 利幸 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60412615)
内藤 葉子 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (70440998)
メンクハウス ハインリッヒ 明治大学, 法学部, 専任教授 (70515915)
橋本 直人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80324896)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | 日独学術交流史 / 日本社会思想史 / ドイツ社会思想史 / 日本の大学史 / ドイツの大学史 |
Outline of Research at the Start |
1880年代から1945年にいたるまでの時期において、ドイツの社会科学が日本に移入され、また日独の学術交流が進められた。本研究は、その端緒に位置する経済学者カール・ラートゲン、および彼と交流のあったドイツ人・日本人学者たちに関する新発見資料・未公刊史料に依拠して、いままで知られていなかった日独の社会科学交流史の実相を解明し、明治期日本と第二帝政期ドイツの現実のなかで苦闘した日独の社会科学者たちの姿を描き、その歴史的意義を明らかにしようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に実施した研究会とシンポジウムにおける討議に依拠して、社会学説と高等教育と社会運動との具体的な関連づけに取り組み、第二帝政期・明治中期の思潮、政治状況、大学事情等を考証した。 野崎と橋本をドイツに派遣し、各地の公文書館・図書館等を訪問し、主としてヴェーバーおよびその同時代人たちの足跡に関わる調査を実施した。野崎は、3月期に、カールスルーエ総合公文書館、プロイセン文化財枢密公文書館(ベルリン)、バイエルン州立図書館手稿室(ミュンヒェン)を訪問し、プロイセンにおけるアルトホフ体制と、バーデンにおける大学行政に関わる資料を閲覧し、前者における専制的処断を嫌ったドイツの大学教員たちがバーデンへと流出していく状況を解明した。橋本は、エディット・ハンケ氏と情報交換を行ない、第二帝政期のドイツ社会科学の学問状況に関する文献およびその著者について調査した。 メンクハウスは、日普修好通商条約に関連する考証を進めた。田中は、井上毅文相期に射程を広げ、井上毅―木下広次という熊本人脈が、森有礼と必ずしも対立的ではないことを解明した。 内藤は、マリアンネ・ヴェーバーが、夫マックスおよび新カント派哲学の影響を受けつつ、経済的自由主義の弊害を批判したフィヒテから労働権と生存権と人間の権利への倫理的関心を抽出したことを明らかにした。鈴木は、ハーバーマス初期の公共性論を手がかりとして、十八世紀のブルジョア的公共圏をモデルとする公共性論が市民的不服従の政治理論や社会運動論を受容してゆく過程を跡付けた。 三笘は、近代文化が行き着く先に、「機械的硬直化」という事態が人間に生じることをヴェーバーが見通していたことを解明した。恒木は、ゾンバルトの『ユダヤ人と経済生活』に対するフランツ・オッペンハイマーの評価が多面的なものであることを指摘し、両者の関係の再検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外渡航計画をほぼ予定通りに実施でき、ほぼ想定していた調査結果を得た。反面、ウクライナ危機をはじめとする国際情勢の激変によって、本研究開始時には予想もできなかったほど航空運賃や海外宿泊料が高騰しており、そのため、海外調査日程を極力圧縮するとともに、いくつかの国内調査の取り止めを余儀なくされた。 各自の調査および研究活動全般には進展が認められるが、反面、研究組織としての取り組みが弱かったことは反省すべきである。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の理由から、海外渡航費をはじめとして、研究資金に余裕がなくなっており、そのため、研究計画のコンパクト化が求められる。すでに実施した調査の結果は充実したものであるので、それに依拠して、現在までに解明できた事項の学際的な精査を進めることを重視して、研究成果の最終的な取りまとめ方法を案出したい。 次年度は最終年度であり、総合的・包括的・学際的な研究成果を目指している。そのため、ミーティングを多く持ち、各自の研究成果を共有し、全体の成果の統合を図る。学際的な性格のシンポジウムを計画しているが、確保できる予算も勘案して、シンポジウムの規模は小さなものとし、日独の社会科学者と大学史研究者による緊密なディスカッションを実現させたい。また、研究成果の公刊方法についても検討する。
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