Project/Area Number |
21H02499
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
玉田 洋介 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (50579290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 貴之 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00546997)
石川 雅樹 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 助教 (00586894)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
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Keywords | 幹細胞化 / 多細胞生物 / 植物 / iPS細胞 / パイオニア因子 / 幹細胞 / 細胞初期化 / 動物 / リプログラミング |
Outline of Research at the Start |
植物と動物の幹細胞系において、幹細胞ニッチや非対称分裂といった基本メカニズムは共通しているものの、分子レベルでの共通性があるかどうかは分かっていない。申請者らは、植物と動物に共通する初の幹細胞化因子を発見するなどの成果をあげてきた。こうした研究をもとに、植物と動物に共通する幹細胞化の分子機構が存在するという仮説を立て、それを検証することで多細胞生物を貫く幹細胞化の基本原理を解明することが本研究の目的である。そのために、植物における幹細胞化の分子機構を解明して動物と比較するとともに、植物幹細胞化と動物iPS細胞誘導に機能する因子を植物と動物で入れ替えて機能するかどうかを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1, 植物と動物の幹細胞化因子を入れ替えて発現させることで、それらの因子が植物と動物において共通に幹細胞化に機能するか解明することを目標に研究を進めた。薬剤処理に応答してiPS細胞誘導因子LIN28、OCT4の過剰発現が誘導されるコケ植物ヒメツリガネゴケ株について、LIN28、OCT4過剰発現による栄養成長期における表現型を観察した。また、LIN28、OCT4以外のiPS細胞誘導因子については誘導過剰発現ヒメツリガネゴケ株の作出を継続した。マウス胎仔線維芽細胞からのレトロウイルスベクターを用いたOCT4、SOX2、KLF4導入による初期化にSTEMINとCSP1を加えることの効果を樹立効率等の観点から評価した結果、明らかな効果はみられなかった。 2, 植物幹細胞化因子の機能解析を行い、動物幹細胞化因子の機能との共通点・相違点を解明することを目標に研究を進めた。STEMINがヒメツリガネゴケ幹細胞化におけるクロマチン構造変換に機能するかを検証するために、ヒメツリガネゴケの野生型とSTEMIN遺伝子欠失株の茎葉体と切断葉を用いた単一細胞核RNA-seqとATAC-seqを行い、シーケンスデータの取得に成功した。また、iPS細胞誘導因子と相互作用して多能性関連トランスクリプトーム制御に機能する因子のヒメツリガネゴケオルソログ遺伝子について、さらなる多重破壊株の作出を行った。 3, DNA損傷によるヒメツリガネゴケ幹細胞化のメカニズムを明らかにするとともに、動物の細胞初期化にもDNA損傷が機能するか解明する研究を進めた。ヒメツリガネゴケを用いて、DNA損傷によって発現が著しく上昇するDNA修復の鍵因子のプロモーターレポーター株の作出を継続し、実際にDNA損傷によってプロモーター活性が誘導される株を得た。また、1本鎖DNA損傷がマウスiPS細胞のある多能性マーカー遺伝子の発現を促進するという知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における研究目標である、(1) 幹細胞化因子の機能が植物と動物を貫いて保存されているか解明、(2) 植物幹細胞化因子の機能解析と、動物幹細胞化因子との相違点の解明、(3) DNA損傷による幹細胞化機構の解明、の3つについて、研究が順調に進展しており、成果が得られている。以上から、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1, 幹細胞化因子の機能が植物と動物を貫いて保存されているか解明 薬剤処理に応答してiPS細胞誘導因子LIN28、OCT4の過剰発現が誘導されるコケ植物ヒメツリガネゴケを用いて、これらの因子の過剰発現によって幹細胞化が促進されるか否かを検証する。また、その他のiPS細胞誘導因子については誘導過剰発現株の作出を継続する。株が得られ次第、過剰発現を誘導して幹細胞化の表現型を観察する。マウス胎仔線維芽細胞以外の細胞からのOCT4、SOX2、KLF4導入による初期化に対して、STEMIN遺伝子とCSP1遺伝子が与える影響について検討する。 2, 植物幹細胞制御機構の解明と動物との比較 前年度に取得した、ヒメツリガネゴケ野生型とSTEMIN遺伝子欠失株の茎葉体と切断葉を用いた単一細胞核RNA-seqとATAC-seqのデータを用いて、幹細胞化している細胞の遺伝子発現変化とクロマチン構造変化を解析する。そして、STEMINが制御する遺伝子を同定し、その制御ネットワークを推定するとともに、STEMINがリプログラミングにおけるクロマチン構造変化に機能するのかを検証する。また、iPS細胞誘導因子と相互作用して多能性関連トランスクリプトーム制御に機能する因子のヒメツリガネゴケオルソログ遺伝子などの幹細胞関連遺伝子について、ヒメツリガネゴケを用いた機能解析を継続する。 3, DNA損傷によるヒメツリガネゴケ幹細胞化機構と動物細胞初期化への機能の解明 DNA損傷によって蛍光タンパク質の蓄積が誘導されるプロモーターレポーター株を用いたイメージングによって、DNA損傷と幹細胞化との関連をより詳細に解明する。また、これまでに得られたDNA損傷によるヒメツリガネゴケ幹細胞化過程の単一細胞核RNA-seqのデータを解析し、DNA損傷応答から幹細胞化までの細胞の軌跡を解明するとともに、DNA損傷による幹細胞化を制御する鍵因子を同定する。さらに、DNA損傷が動物細胞の初期化に与える影響について検討する。
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