Project/Area Number |
21H05058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section K
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
磯辺 篤彦 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (00281189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 淳 九州大学, ネガティブエミッションテクノロジー研究センター, 特任教授 (20163305)
萩田 隆一 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50293098)
内田 圭一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50313391)
大嶋 雄治 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (70176874)
日向 博文 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70272680)
加 三千宣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (70448380)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥192,400,000 (Direct Cost: ¥148,000,000、Indirect Cost: ¥44,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥28,210,000 (Direct Cost: ¥21,700,000、Indirect Cost: ¥6,510,000)
Fiscal Year 2023: ¥28,730,000 (Direct Cost: ¥22,100,000、Indirect Cost: ¥6,630,000)
Fiscal Year 2022: ¥35,880,000 (Direct Cost: ¥27,600,000、Indirect Cost: ¥8,280,000)
Fiscal Year 2021: ¥71,370,000 (Direct Cost: ¥54,900,000、Indirect Cost: ¥16,470,000)
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Keywords | 海洋プラスチック / 微細マイクロプラスチック / ミッシング・プラスチック / 観測プロトコル / 発生量推定 / 沈降量推定 / シミュレーション / 沈降フラックス |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では、プラスチックごみとして海域に流出してのちの最終的な行方が不明であるマイクロプラスチック (MP, サイズ<5 mm)や、さらに破砕を重ねた微細MP(<1~2 mm)について、劣化と破砕による発生量や、実海域での存在量、海洋生物への吸収量や影響評価、海岸や海底への吸収量を、実験と現場観測によって定量し、これらを諸過程を統合した数値シミュレーションモデルを構築することで、全球の海洋プラスチック循環の全体像を把握し将来予測を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
微細MPを現場海域で採取し、試料を実験室に持ち帰り個数を定量する観測・分析プロトコルを作成した。モデルの妥当性評価には微細MPの現場観測結果が必須であるが、現時点で海域での観測成果論文は世界中で10編に満たない。しかも、論文ごとに現存量のばらつきが非常に大きく(100~10000個/m3)、何が正解か判然としない状況である。これは、微細MPの観測・分析に信頼できる標準プロトコルが存在せず、各研究者が試行錯誤で観測や分析を実施しているためである。大きさが数百μm以下である微細MPの観測・分析には、周辺からのコンタミによる過大評価(浮遊する化学繊維以外にも、観測・分析に用いる全てのプラスチック製品がコンタミ源である)、分析途中での欠損による過小評価(すりガラス容器の凹凸にさえ捕捉される)、そして破損による過大評価(劣化した微細MPは容易に破砕される)を克服する工夫が、従前のMP観測とは次元を超えて必要である。しかし、これらを全てを克服した論文は現時点では皆無と言って良い。我々が構築した観測・分析系では、系の全体でコンタミ個数を5粒程度まで抑え、欠損率・破損率を求め、ともに15%以下まで向上させた。続いて、別府湾における海底コアを解析することにより,1940年から2015年までのMPの堆積フラックスの経年変化を明らかにした(Hinata et al., 2023, Sci. Total Environ)。本研究は、MPの海底堆積フラックスは20年周期で増減を繰り返し、これと有意な正の相関を持つ変動パターンをクロロフィルaの堆積フラックスにも確認した発見である。この成果によって、堆積速度をモデルに取り込むことで、MP輸送に与える海洋生態系の効果のモデルへの実装に大きく道が拓けた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測プロトコルの整備を終えて、北太平洋5測点において水深1000mまでの浮遊微細マイクロプラスチックの採取分析を終えて、論文投稿準備中である。そのほか、発生機構の解明や生態系への移行と影響評価、海岸ー海洋ー海底輸送系の研究課題も順調に成果を上げている
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Strategy for Future Research Activity |
昨年同様に東京海洋大学練習船「海鷹」を利用して、太平洋からインド洋のいずれかの測点で微細MP観測を行う。主として、海鷹丸に搭載された多層採水器を用いて採水を行う。MPや微細MP発生の機構解明と発生率の定量を継続する。ウェザーメーターを用いて紫外線照射したのち、ウェザリング前後の試料の表面構造等を解析し採取試料との類似性を検討する。これによって、ウェザリングの照射時間から実環境での劣化期間への換算を試みる。実海洋での物理的刺激を模した試験による欠片の生成挙動より、MP群の発生率の推定を行う。室内水槽実験と生物動力学的解析によって、生物体内への微細MPの個体・食物連鎖・環境レベル動態モデルの構築と生体影響評価研究を継続する。体内取り込みとエンドサイトーシスを考慮した吸収排泄モデル研究を継続する。吸収量モデルの結果を海洋動態モデルに組みこむ方法の確立を目指す。加えて、質の異なるMPにアントラセン等の有害物質を吸着させた微細MP を与え、ベクター効果等の影響評価を行う。海岸-海洋間での微細MPの交換率の算定と、海岸吸収率の推算を継続する。MPの平均滞留時間の算定のため、疑似MPを作成し、これを大量に実験海岸に散布し、期間を空けた定期調査によって、散布した疑似MP数の時間減率を実測する実験を検討する。微細MPの海岸―海洋間の一次元拡散モデルの構築に着手する。瀬戸内海・北極海・東シナ海の海底下1m 深までの海底コア試料を用いて、過去70年程度の周辺陸域での急激なプラスチック利用の伸びを反映したMP堆積率の推算を継続する。色素・DNA分析を行い、MP堆積率を支配する生物過程を調べる。MP の発生、生態系や海岸・海底といった各セクターへの吸収を統合する数値シミュレーション・モデルを構築する。観測分布を再現することで精度を担保するよう努める。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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