西洋思想史における「近代的視覚」の再考-遠近法と時空間の複数性
Project/Area Number |
21K00101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
長尾 寛子 中部大学, 現代教育学部, 教授 (70379866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科, 名誉教授 (30207980)
隠岐 さや香 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60536879)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 美術史 / 近代思想史 / 近代科学史 / 絵画 / 時空間表現 / 視覚体験 / 視覚芸術 / 思想史 / 近代絵画 / 時間表現 / 空間表現 / 遠近法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は主に①遠近法に基づく近代絵画に美学的基礎を与えたシャフツベリ伯、ハリス、レッシングなどの絵画論を分析しつつ、②近代西洋絵画の代表作における複合的な世界の表現の技法的分析③ルネサンスから19世紀にいたる複数世界論および幾何学・数学の思想史的・科学史的解明、④「近代的視覚」の思想史的再考を通じ、外から観察される世界とその中で生きる世界、瞬間と過去と未来、夢と現実が同一の画面に統合された西洋近代の視覚体験を再構成して、「モダニティ」の観念によって一面化されてきた近代西洋の多彩で豊かな知的枠組みを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では西洋近代絵画が与える視覚体験の本来の知的枠組みを明らかにすることを目的としている。このうち本年度では近代西洋絵画と東洋絵画との実証的な比較を通じて、以下の点について空間意識の異同を明らかにした。 1中世日本と中国では南北朝、唐朝の絵画を受け継いだが、時空間表現の点で対照的な展開を見せた。中国では北宋において、写実を突き詰めることで自然の真実を表現するという唐代の美学に基づき、徹底的な写実が追及され、その結果として、近代西洋絵画の窓から見た風景とは対照的な、その中で人間が生きる空間を表現する時空間表現の技術が完成した。日本では詩歌と結びついてnarrative paintingが発達し、絵巻物の形で時間表現の方法が追及された。以上の違いは宋元絵画が輸入されることで大和絵と漢画という中世日本美術における二つのスタイルを生んだが、この二者は時空間表現の相違に基づくデッサンが異なる点で絵画様式としても区別でき、その相互関係が以後の中世日本絵画の展開の基礎となっていった。 2近代西洋画の時空間表現に対して東洋的な表現の近代的再構成を行った竹内栖鳳などの先駆者を受け継ぎ、京都の日本画壇では同時代西洋での新しい展開を吸収しつつ、引き続き時空間表現の探求が行われた。 3現代のアカデミックな洋画における表現方法では、近代西洋絵画における空間表現の伝統が引き続き生かされており、伝統的なバロック絵画以来の明暗法が引き続き意図的に使用されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が予定していた在外実地調査については、本務校で副学部長を務めたために、業務多忙であり出張が果たせなかったが、それ以外の研究については代表者、分担者それぞれが順調に進行させている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進行しているので、代表者、分担者がそれぞれの担当課題の解明を進めつつ、随時全体会議を行って全体総括を開始していく。2024年度は、可能であれば延期していた在外調査を実施する。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)