文学テクストとしての近代日本語歌詞に関する総合的研究
Project/Area Number |
21K00298
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
|
Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
小林 洋介 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (00757297)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 歌詞 / 詩 / ポピュラー音楽 / 唱歌 / 定型詩 / 中原中也 / 朝の歌 / 諸井三郎 / 世界音楽全集 / 日本近代詩 / 音数律 / ナラトロジー / ラジオ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、明治以降(特に戦間・戦中期)の歌曲の歌詞を文学テクストとして位置づけ、その内容、さらには流通と享受の様態を調査・分析することにより、次の4つの目的を達成しようとするものである。 ①歌詞と他の文学ジャンル(特に詩や散文詩)との相互交渉の様態を解明すること。 ②七五調・五七調をはじめとする定型による言語表現の歴史に関する記述を更新すること。 ③テクスト論や物語論(ナラトロジー)を援用し、歌詞の〈語りの構造〉を整理し記述すること。 ④歌詞の内容から時代の大衆思想を抽出し記述すること。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は残念ながら、多忙により、主として本研究課題に係る内容の研究成果を公表することはできなかった。ただし、不十分ながら、以下のような進捗があった。 ・(学術論文)小林洋介「引用される自作、参照される作家―岡本かの子「老妓抄」における短歌―」(2023年7月『国語と国文学』)において、既発表の短歌が同じ作家の小説に引用されるという事態が持つ意味について考察した。この成果は、既発表の詩が歌詞として再発表される事態について考える際にも有効である。 ・また、上記論文のための調査の過程で、岡本かの子の詩に楽曲が付され歌詞テクストとなっている可能性が浮上した。従来、岡本かの子の作品が歌詞テクストとなっている事例は知られておらず、もし確認できれば重要な発見となる。ただ、仮にそのような歌曲が存在するとしてもある特定の仏教宗派の中でのみ流通したものである可能性が高く、確認することが困難であり、2023年度中には確認することができなかった。これについては2024年度においても引き続き調査を行う予定である。 ・8月に古賀政男音楽博物館(東京都渋谷区)に出張し、近現代ポピュラー音楽に関する情報を収集した。また、そこで得られた情報を元に関連する資料を購入した。 ・10月に熊本大学に出張し、熊本大学キャンパスミュージアム企画展「きこえくる熊本の《歌》と《声》」を見学し、主に明治期の文部省唱歌に関する新たな知見を得た。 ・10月の熊本出張の際、熊本市内で、山田高明氏(有明工業高等専門学校助教、日本語学)と会談し、今後の共同研究について基本的な合意に達した。ただし、山田氏の別の研究計画との兼ね合いから、共同研究の具体的な開始時期や方法等については保留となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
・所属研究機関における校務が非常に多忙であったことが最大の理由である。教学委員(教務関係を所掌)の立場にあったが、ちょうどカリキュラム改訂の時期に当たっていたため、教務関係の業務だけでも深夜まで及ぶことがあり、研究時間を確保することは困難であった。
・同時並行で研究分担者として携わっている他の科研費研究課題(20K00347〈私小説性〉の計量的分析と国際比較による〈自己語り〉文学の発展的研究)に係る学術論文、小林洋介「引用される自作、参照される作家―岡本かの子「老妓抄」における短歌―」(2023年7月『国語と国文学』)を発表し、これは本研究課題の進捗にも寄与するものではあるが、これに加えてさらなる研究成果を公表する余力はなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
・2023年度中に実施した調査出張の成果を踏まえ、2024年度中に2本の学術論文を公表する予定である。いずれも、以前に学会で口頭発表を行った内容を発展させるものであり、1本は島村抱月・相馬御風作詞「カチューシャの唄」(1914)に関するもの、他の1本は1940年のいわゆる紀元二千六百年記念事業において創作された歌詞テクストに関するものである。前者は学会誌に投稿し、後者は所属研究機関である千葉大学の紀要に掲載することを想定している。
・当初、研究協力者として想定していた山本亮介氏のほか、2023年度中に新たに情報交換を行った日本語学の研究者との間で、2024年度中にさらなる情報交換の機会を設けたい。ただし、残りの研究期間を考慮し、当初予定していた研究会の開催が現実的かどうかは慎重に検討する。
|
Report
(3 results)
Research Products
(2 results)