菟玖波集の全注釈による、古連歌古俳諧に見る中世社会の慣習風俗についての研究
Project/Area Number |
21K00310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 剛生 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30295117)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 素眼 / 連歌寄合 / 文和千句 / 付合 / 福井久蔵 / 里村玄俊 / 里村玄陳 / 菟玖波集 / 勅撰和歌集 / 南北朝時代 / 二条良基 / 小槻量実 |
Outline of Research at the Start |
○菟玖波集の、本文・成立・入集作者に関する研究を深化させ、付句の注釈を進める。 ○菟玖波集の「寄合語集成」を編纂し、付合に見る、中世の慣習風俗を分析する。 ○「寄合語集成」を附した『菟玖波集全注釈』(全2冊、仮称)を刊行する。 ○『菟玖波集全注釈』から句意・付合の解説を縮約し、文庫本の刊行を準備する。また英文訳を開始し、電子書籍化とあわせて、もって連歌文芸の一般への普及を図る。
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Outline of Annual Research Achievements |
○新出の伝素眼筆菟玖波集巻15を調査、本文を吟味し、成果を論文として公表した。伝素眼筆本は原本に限り無く近いとされる善本であるが、現在まで巻14と20しか知られていなかった。巻15は、それ自体の価値はもちろん、他の写本との比較において、どの本がより素眼本に近い本文を忠実に伝えているかをより明確に示している。この本の出現は、菟玖波集研究にとり、大きな福音となろう。 ○学習院大学図書館・西尾市立図書館から、複数の菟玖波集写本の画像を購入した。これらは素眼本であったらしき里村玄俊・玄陳両筆本と校合されており、その書入は、素眼本が現存しない巻で大きな価値を持つ。とくに学習院大学図書館蔵阪家本は厳密に校合されているが、問題の玄俊・玄陳両筆本の本文は薄い紫墨で記され、複写では判読不可能であった。今回カラー画像を入手し、格段に校合の精度・能率を上げることができた。この結果として、学習院本を底本とし、他本で校合したとされる校本菟玖波集新釈や朝日古典全書版の菟玖波集は、本文が学習院本そのままではなく、多数の箇所が校訂されているらしいことも明らかになった。 ○これまで別々に翻刻されていた連証集・和歌集心躰抄抽肝要・連歌付合の事・修茂寄合・恵俊連歌寄合・宗祇袖下など鎌倉室町期の連歌寄合から連歌語彙を集成し、検索できるようにした。 ○文和千句・紫野千句以下、南北朝期の現存する連歌会本文を集成し、検索できるようにした。 ○上のように、貴重な発見があり、また寄合語などのデータ整備を終えた為、当初の目的である、菟玖波集全注釈も急ピッチで進んだ。数度の協議を経て、全注釈は三弥井書店より「中世の文学」のシリーズとして上下2冊で刊行することになった。頭注・本文・補注の形式で、真名序・仮名序と、巻11、1024句まで収める上冊を2024年10月にまずは刊行するスケジュールで、3月現在、入稿原稿がほぼ完成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
○伝素眼筆本巻15という、数十年来、渇望・探索されていた菟玖波集古写本の一部が出現し、その調査が叶ったこと。さらに素眼本が失われている巻でも、学習院大学蔵阪家本のカラー画像により、校合された里村玄俊・玄陳両筆本を通して、素眼本の復原がかなり高精度に可能となったこと。この結果、全注釈を進めるためには欠かせない、新たな本文批判の規準ができたこと。 ○連歌寄合語彙の集成と検索、南北朝期連歌一座本文の集成と検索といった、連歌注釈のためには欠かせない索引データベースを試行ではあるが作成できたこと。 ○上の成果を生かして、まずは目標である菟玖波集全注釈の刊行計画が整い、上冊の原稿化が年度末3月までに遂行できたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
○23年度は、年度初めに原稿入稿した菟玖波集上冊の刊行に全力を傾注したい。それとともに、下冊の刊行の準備を進める。現在、下書きは巻14・雑三まで終わっており、残り600句ほどである。これらを終わらせて、原稿清書に着手する予定である。 ○24年度と25年度には菟玖波集全注釈の下冊を刊行する。他出一覧・作者略伝・各種索引などの編纂もあわせて準備する。 ○さらに全注釈刊行の成果として、広く連歌史に関わる問題を論文として公表する。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)