Research on the Portuguese arrival in East Asia based on multilingual historical sources
Project/Area Number |
21K00810
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 楽章 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (10332850)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ポルトガル / 東アジア / 中国 / 日本 / 朝鮮 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ポルトガル人の1510年代の広東・福建到達から、1540年の浙江到達、1542年の琉球漂着、1543年の日本到達、1544年の朝鮮漂着にいたるプロセスを、ポルトガル私貿易商人によるアジア間貿易と、華人海商の密貿易ネットワークの同時的拡大という、海域アジア史の全体状況のなかで検討し、あわせてポルトガル人来航にともなう西洋式火器の伝播・普及過程を考察する。これにより16世紀前半におけるポルトガル人の東アジア来航と西洋式火器の伝播を、中国・南海産品、日本銀の交易を中心とする、華人海商・倭寇勢力の密貿易とポルトガル私貿易商人のアジア間貿易の同時並行的拡大という全体状況のなかで解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画の第二年目として、昨年度に引きつづき、16世紀前半におけるポルトガル人の東アジア来航と関連する、欧文・漢文・和文の一次史料と、和文・中国文・欧文の研究文献の調査・研究を進め、その成果を学術論文として公表するとともに、国際学会における学術報告としても発表した。 まず和文論文としては、19世紀以来の琉球をめぐる海域史研究の動向と課題を総述した論考を発表し、また15-16世紀の東アジア海域における銅銭の移動と、明朝と日本における銅銭流通と撰銭問題についても論考を公刊した。 また中国語論文としては、明治期から現在に到る日本における海域史研究の進展を総合的に論述した論考と、16世紀前半に東・東南アジア海域に来航したポルトガル人が、文献史料や地図に記録した「琉球」情報を網羅的に紹介・検討した論考を完成し、いずれも台湾において近刊の予定である。 また国際学会における学術報告としては、2022年8月に台湾で開催された国際学会で、ポルトガル人による初期「琉球」情報についてオンライン報告を行った。また2022年12月には、台湾の中央研究院歴史語言研究所主催のシンポジウムにおいて、ポルトガル人の東アジア来航前後における、ユーラシア海上・陸上貿易による銀の中国流入を、ポルトガル史料・漢文史料とペルシア語史料の欧訳によって考察した研究を報告した。中央研究院とは、今後もユーラシアの海域・陸域交流に関する学術交流を進め、シンポジウムの成果を『成大歴史学報』特別号として刊行する予定である。 以上の研究活動を通じて、16世紀前半におけるポルトガル人の中国・琉球・日本・朝鮮航に関連する海上貿易、商品や貨幣の移動、地理認識の拡大などに検討を加えた。これらの研究実績と、昨年度までの研究成果、および来年度以降の研究を総合して、ポルトガル人の東アジア来航をめぐる全体状況の解明をめざしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は各国語の一次史料や研究文献を活用して、16世紀前半におけるポルトガル人の東アジア海域への来航過程を全体的に解明するという研究課題に関して、和文・中国文の研究論文を執筆ないし刊行するとともに、台湾の国際学会において最新の研究成果を公表するなどして、着実に研究成果をあげることができた。このため本年度は、研究課題はおおむね順調に進展したといえる。 ただし本年度は、当初は夏季休暇を利用して、ポルトガル・スペインに渡航してリスボン国立図書館・インディアス総文書館などにおいて史料・文献調査を行うことを計画していたが、現地では新型コロナの流行がなお十分に鎮静化しておらず、長期間現地に滞在して調査を行う場合、感染のリスクを否定できない状況であった。このため本年度も昨年度の中国・台湾調査に続き、海外における史料・文献調査は断念せざるを得なかった。この点に関しては、今後支障がなければ、あらためて海外調査を実施したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は3年間の研究計画の最終年度であり、2021年度・2022年度の研究成果をふまえて、ポルトガル人の東アジア海域来航をめぐる全体的な歴史状況の検討を進めることにしたい。具体的には、特に1540年代におけるポルトガル人・華人海商による胡椒などの南海産品の対中輸出と、日本銀の生産急増による日本銀の対中輸出が並行的に拡大するなかで、ポルトガル私貿易商人が華人海商とともに南シナ海域から東シナ海域へと航海・交易圏を拡大し、その過程で琉球・日本・朝鮮に到達したプロセスを、各国語史料の総合的に利用して解明することをめざす。 そのために、日本国内において関連する各国語史料・研究文献の調査を進めるとともに、支障がなければ、夏季休暇にポルトガルに渡航し、リスボン国立図書館においてポルトガル語を中心とした史料・研究文献の調査を行うことを計画している。またその研究成果を、国内外で研究論文や学界報告として公表するとともに、最終的には専著として公刊することをめざしている。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)