Project/Area Number |
21K00815
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
坂口 貴弘 創価大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80462175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | アーカイブズ / 公文書管理 / 文書館 / 電子メール / デジタル遺産 |
Outline of Research at the Start |
公文書管理改革の一環として、政府は公文書の電子決裁や電子媒体への全面移行の方針を打ち出した。大半の業務記録がデジタル方式で作成される現在にあっては、電子メールをはじめとする電子文書のうち、国立公文書館等へ移管すべきものを適切に選別し、保存・公開する制度や手法を確立する必要がある。 本研究は、電子文書の移管・保存・公開を可能にする包括的システムの構築に向けて、諸外国の制度や動向を分析するとともに、国内における現状を調査する。とりわけ、文書作成主体とアーカイブズ機関の連携に基づく「評価選別」のあり方に注目し、電子文書管理に適した評価選別制度の設計や運用に関する実践的ガイドラインを提示したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
公文書管理改革の一環として、政府は公文書の電子決裁や電子媒体への全面移行の方針を打ち出した。大半の業務記録がデジタル方式で作成される現在にあっては、電子メールをはじめとする電子文書のうち、国立公文書館等へ移管すべきものを適切に選別し、保存・公開する制度や手法を確立する必要がある。 本研究は、電子文書の移管・保存・公開を可能にする包括的システムの構築に向けて、諸外国の制度や動向を分析するとともに、国内の都道府県・政令指定都市における現状を調査する。とりわけ、文書作成主体とアーカイブズ機関の連携に基づく「評価選別」のあり方に注目し、電子文書管理に適した評価選別制度の設計や運用に関する実践的ガイドラインを提示したい。 本年度は海外調査として、2023年10月にアラブ首長国連邦で開催された国際アーカイブズ評議会アブダビ大会に参加し、本研究に関する情報の収集及び諸外国の研究者との意見交換を行った。 また国内調査として、2023年11月に高松市公文書館、香川県立文書館、三豊市文書館を訪問し、公文書の評価選別・保存・公開の制度や基準、及び電子行政文書や電子メール等の扱い等についてインタビュー調査を行った。その成果をもとに、今後の国内調査の計画・方法等についても検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、本研究のテーマにおいて重要な位置を占める電子記録の評価選別について、米国の状況を調査・分析した。その成果について、記録管理学会の研究大会で発表するとともに(2023年5月28日)、発表内容を発展させた論文が同会の学会誌『レコード・マネジメント』に掲載された。また、電子公文書の管理・保存・利用をテーマに国立公文書館が開催したアーカイブズ研修IIにおいて講義を行った(2024年2月1日)。 第二に、米国における電子記録管理の背景にある公文書管理制度の展開と現状について分析を進めた。その成果について、法制史学会総会におけるミニ・シンポジウムで「電子記録管理論から見る裁判記録の課題―アメリカ連邦政府を中心に」と題して報告した(2023年6月11日)。ここで取り上げた裁判記録管理の問題については、専門家として取材を受け、コメントした内容が神戸新聞に掲載された(2023年6月19日)。 第三に、近年の欧米における電子記録論や評価選別論の背景にあるアーカイブズ学研究の動向について理論的把握を試みた。その成果については、研究代表者が翻訳者の一人となり刊行された『続・アーカイブズ論:記録の仕組みと情報社会』(明石書店、2023年2月)の翻訳を進める過程で生かすとともに、同書の要点を整理して日本アーカイブズ学会のウェブサイトに寄稿した。また、電子記録の時代におけるアーカイブズ編成・記述のあり方を議論した日本アーカイブズ学会大会の企画研究会(2023年4月)では、本研究の成果をもとに論点整理を担当した。当日の議論の深化に寄与するとともに、その内容を同会の学会誌『アーカイブズ学研究』に寄稿した。 以上の理由から、全体としてはおおむね順調に進展しているものと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)国内調査 公文書館を設置している自治体または公文書管理条例を制定している自治体を対象に、公文書の評価選別・保存・公開の制度や基準、及び電子行政文書や電子メール等の扱いについて調査し、資料を収集する。質問紙調査を基本としつつ、特色ある取り組みを進めている自治体等については訪問による面接調査等を通じて情報を収集する。 (2)海外調査 電子文書の管理について先進的なアメリカ、近年この分野の改革が進むイギリスを対象に、まず各国の中央政府アーカイブズの調査で全体的動向を把握する。あわせて、本研究のテーマにつき特色ある取り組みをしてきたアーカイブズ機関を調査する。調査にあたっては、研究協力者として各国のアーカイブズについての知見や人脈が豊富な研究者と分担して共同調査を行うことで、調査の円滑化と深化を図りたい。 (3)文献・規格調査 海外調査と前後して、国内の図書館等に所蔵のないARMA International機関誌等の専門文献や、文書管理・アーカイブズ関連のISO規格、ガイドライン等を分析し、日本における取り組みと比較分析して、電子文書の評価選別をめぐる論点や課題を抽出する。 (4)研究成果の発表 上記の成果をもとに、国内外の複数の学会で発表を行うとともに、各国のアーカイブズ学研究者と議論を深める。その内容を発展させた論文を学術雑誌に投稿する。
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