Project/Area Number |
21K00823
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
岡本 和也 久留米工業高等専門学校, 一般科目(文科系), 准教授 (30455175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | ジュチ・ウルス / マムルーク朝 / ビザンツ帝国 / 東地中海 / ジェノヴァ / ヴェネツィア |
Outline of Research at the Start |
本研究では、13~14世紀の東地中海周辺地域に「東地中海地域圏」という新たな枠組みを提示する。そのために、ロシアとその周辺を支配していたモンゴル帝国の政権であるジュチ・ウルスに注目し、ジュチ・ウルスと外交関係を有していたエジプトのマムルーク朝で作成されたアラビア語史料に基づいた研究を行う。この研究によって、これまでモンゴル帝国内の一つのまとまりと認識されていたジュチ・ウルスの、東地中海地域における中心的な一国家であったことの存在価値が明らかになる。
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Outline of Annual Research Achievements |
ジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交関係に関するZakirovの先行研究を活用し、特に14世紀後半における外交関係の展開を整理した。また、Broadbridge, Favereau, Reuven Amitai らによる近年の先行研究を検証している。 本研究ではジャニベク(1342/3-57)以降の14世紀後半を研究対象としている。その期間においては、ジャニベクの在位15年間には、以前と比べて使節がやり取りされている回数は少ないが、ジャニベクがアゼルバイジャンを征服したことをマムルーク朝に伝えるなど、ジュチ・ウルスとマムルーク朝の交流は続いていたと考えられる。 そして、ジュチ・ウルスの混乱後のトクタミシュ(1377/78-1406)の在位期間の中でも、1384-1394年の11年間は使節交換が活発に行われており、ジュチ・ウルス混乱期に20年ほど途絶えていた交流が復活している。 このような先行研究の整理の結果から、14世紀後半をジャニベク期、中断期、トクタミシュ期と三つの期間に分け、その二つの期間の使節派遣の意図はなんだったのか、また、使節派遣が途絶えていた20年間はどうなっていたのか、という問題意識をもって、マムルーク朝時代のal-Qalqashandi、Ibn Taghribirdi、Ibn Duqmaq、al-Shuja'iらによって記された史料の読解を進めている。 そして、これらの作業に基づき、14世紀後半におけるジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交関係史に関する論文の執筆準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先行研究の整理はほぼ完了しているが、先行研究の整理と史料の選定と入手に時間を要したため、研究が遅れている。特に2022年度は、コロナ禍の影響もあり、研究活動を円滑に実施することができなかった。 現在はマムルーク朝時代のal-QalqashandiやIbn Taghribirdiなど14世紀後半のジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交史を構築するうえで中心となる史料の読解を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている研究を継続し、14世紀後半におけるジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交関係史に関する論文を執筆し、2023年度内に投稿する予定である。 2022年度の研究活動は大幅に計画から遅れてしまったため、2024年度まで研究期間を延長する予定である。そのため2024年度には、2023年度の投稿論文とこれまでの研究を活用し、13世紀後半から14世紀後半におけるジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交関係史において、ジュチ・ウルスの支配者と血縁関係にある人物が、周辺諸国家の支配者と血縁関係にある人物と結んでいた婚姻関係が、この地域を結び付ける要因として、どのような役割を果たしていたのかを検討する。 また、12 通の命令書とアラビア語史料、およびイタリア商人が作成した公証人文書を活用し、東地中海地域圏において銀がどのように流通していたのかを明らかにし、この地域の経済活動がどのように結びついていたのかを明らかにする。ジュチ・ウルスが奴隷貿易に税を課すことで銀の流通を支配していたと考えられるが、その詳細は先行研究では検討されていない。
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