室町幕府支配下での在国領主の現地支配―在京領主支配との比較から―
Project/Area Number |
21K00867
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大薮 海 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (80748054)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 伊勢神宮 / 荘園 / 御厨 / 御園 / 給主 / 北畠氏 / 守護 / 伊勢国司 / 支配 / 権威 / 石垣 / 石積 / 威信財 / 醍醐寺 / 久我家 |
Outline of Research at the Start |
室町時代、地方はどのように支配されていたのか。現在では、幕府による守護を介した支配や、在京領主による地方からの収益吸収構造が指摘され、通説となっている。しかし守護や京都だけに注目していては、守護の支配が及ばなかった地域や、地方独自の動きを捉えることはできない。そうした地域や動きも捉えてこそ、室町時代の支配体制の全体像が明らかとなろう。まずはその代表例である伊勢国、特にその南半国を取り上げ、同地域を本拠とした、いずれも非守護の北畠氏や伊勢神宮、さらには在京領主の醍醐寺や久我家の現地支配を検討することで、守護を中心としない地域構造を明らかにし、室町時代支配体制の全容解明の第一歩とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、在国領主である伊勢神宮の所領支配の方法について検討を行った。 伊勢神宮は伊勢国の飯野郡・多気郡・度会郡の三郡を直轄地として支配し、さらにそのほかの伊勢国内の郡や他国においても御厨や御園を有しており、中世を通して巨大な荘園領主であった。 しかしその支配実態の解明は、在京領主や興福寺などの他寺社権門のそれと比較して進んでいるとはいいがたい。その理由として、伊勢神宮の人的組織の頂点に立つ祭主は在京していたものの、経営組織は伊勢国内にあったため、現在の京都を中心とする研究傾向においては看過されてしまっている点が挙げられる。しかしその関係史料は豊富に遺され、『三重県史』などにより史料の活字化や整理が近年大きく進展した。今こそ研究を進める好機であるといえよう。 よって本研究では、伊勢国内の伊勢神宮領について、神三郡内の所領と神三郡外の所領に分けた上で史料の残存状況が比較的良好な場所を複数選択し、鎌倉期から戦国期にわたって支配体制とその変化の検討を行った。 検討結果については論文を執筆中で学術雑誌に投稿予定であるため、詳細はそちらに譲ってここでは概要のみを記す。従来は南北朝期の北畠氏の伊勢国入部以降、伊勢神宮領への北畠氏の介入や侵食が始まったとされ、15世紀半ばにそれがおおむね達成されたと考えられてきた。しかし個々の伊勢神宮領について検討してみると、北畠氏の介入や侵食があったことは確かであるものの、伊勢神宮側に強固に残された権利があったことや、北畠氏の介入や侵食は他国でいうところの守護等による荘園侵略とは性質が異なるものであったことが判明した。北畠氏と伊勢神宮(神宮領)との関係を捉えるためには、他国の例を援用するのではなく、北畠氏の伊勢国内での立場を踏まえた上での検討が必要であるといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により史料の現地調査が難しい状況が続き、さらに年度内の論文執筆という目標を達成できなかったため、「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は醍醐寺や久我家を検討対象とする予定であるが、上述のように三重県での史料調査を行えていない。そのために予算の次年度繰り越しを行った。よって本来の研究計画に加えて、三重県での史料調査を訪問先とも相談しながらできるだけ行うようにしたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)