Project/Area Number |
21K00871
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福田 千鶴 九州大学, 基幹教育院, 教授 (10260001)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 豊臣秀頼 / 帝鑑図説 / 豊臣公儀 / 人的資源 / 慶長期 / 文治ブレーン / 人的資源再配分 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、豊臣秀吉が没したのち、秀吉のもとに蓄積された人的資源がどのように徳川と豊臣とに再配分されたのか、という課題を設定し、取り組むものである。武将たちの動向についてはそれなりの研究蓄積があるが、本研究ではとくに知識人や芸能者といった文治ブレーンに着目し、豊臣家を継いだ豊臣秀頼を中心とした文化ネットワークを解明していく。特に着目するのが、秀頼が15歳の時に出版した『帝鑑図説』である。これは古活字本として出版され、現在、19の機関に伝本があることがわかっている。これらの史料学的検討を進めることで、『帝鑑図説』の出版に関わった人脈やこれを贈られた人脈などを解明していく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、豊臣政権において形成された人的資源が、秀吉の死後に豊臣秀頼と徳川家康とでどのように配分されたのか、という課題を設定し、その人脈を明らかにすることを目的としている。具体的には、慶長11年(1606)に出版された秀頼版『帝鑑図説』の出版に関わった秀頼側の人脈を明らかにすることで、秀頼の政権ブレーンを解明するという方法をとる。科研2年目の本年は、前年に引き続き、『帝鑑図説』の伝本調査を研究協力者とともに行った。米沢市立図書館、東北大学附属図書館、陽明文庫、東京大学附属図書館の四機関で調査を実施した。とくに米沢市立図書館では、家康版や直江版と原本比較を実施することができ、いずれも系統が違う活字が用いられていることが確認できた。また、陽明文庫本は全冊揃い本であったが、表紙装丁等から近衛忠熈のお手元本であるとわかり、出版時期に近衛家当主で、豊臣家とも交流の深い近衛信尹のお手本ではないことがわかった。なお、本年は東日本を中心に調査計画を立てており、日光東照宮に伝来する天海旧蔵本の原本調査を申請したが、文庫の原本公開はしていないということで断念せざるをえなかった。幸い、図書館に複製があるとのことなので、次年度の予算に余裕があるようであれば、複製を取り寄せることを検討したい。また、米国のニューヨーク・パブリックライブラリーのスペンサーコレクションに、秀頼版『帝鑑図説』が所蔵されていることが目録から判明した。これらは従来の研究では存在が明らかになっていなかった伝本なので、新しい発見であった。科研計画では海外調査旅費を計上していなかったが、本科研の研究期間中に調査に行けるように検討できればと考えている。以上のように、本年度は実施できなかった調査先もあるが、確実に研究計画を実施できたと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究2年目の目標に掲げていた『帝鑑図説』の所蔵機関の調査を、ほぼ計画通りに実施することができた。ただし、宗教法人の1機関のみは原本閲覧不可ということで調査を断念せざるをえなかった。そのため、おおむね順調に進展しているとの評価になった。 研究成果としては、豊臣秀頼のブレーンとして重要な人物である小出秀政や石川康勝に関する研究論文2本を公表した(「小出秀政に関する基礎的研究」「石川家文書に伝来する堀尾家・大久保家関係文書について」)。さらに、人物叢書『高台院(仮題)』(吉川弘文館)についても、ほぼ原稿を作成することができている。 また、4月から9月の半年間を東京大学史料編纂所の国内研究員として在籍し、同所に所蔵される写真版や謄写本等の悉皆調査を実施できたことで、予想を超える豊臣秀頼関係史料を収集することができた。一次史料でこれほど未見の史料があることは当初は想像もしていなかったので、一次史料から豊臣秀頼の行動を確定していく、という課題の研究基盤を大きく固めることができた。今後は収集した史料の分析が課題となるが、収集史料はほとんどが未翻刻史料であり、これらの史料を翻刻するだけでも膨大な時間を要する。そのため、残る2年の研究期間で翻刻作業を終えるのは難しいと考えられるため、公開の方法も含めて、今後の研究計画を見直す必要が出てきており、次年度に具体的に検討していきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究計画3年目であり、大阪府立中之島図書館、天理大学図書館、近畿大学図書館に所蔵する『帝鑑図説』の調査を実施する。また、東京では尊経閣文庫、成簣堂文庫の調査を実施したい。とくに成簣堂文庫本は、伝来の経緯は不明だが、目録上では「原装」とある。これまでの調査では、出版当時の原装丁を残す伝本の確認ができていないので、原本調査の成果が期待できる。尊経閣文庫本は、豊臣家との関係が深い前田家の伝来本であり、これも調査は必須である。近畿大学図書館は、三種類の伝本があるので、これを比較検討することで研究が大幅に進むことが期待できる。なお、中之島図書館以外は、調査申請に時間を要する機関ばかりなので、計画的に調査を実施していきたい。また、今年度新たに所在が明らかになったニューヨーク・パブリックライブラリーのスペンサーコレクションについても、調査もしくは複製が入手できるように、他の研究予算等の獲得も視野に入れて取り組みたい。 研究成果では、引き続き人物叢書『高台院(仮題)』(吉川弘文館)の出版を実施する。これに関する招待講演等の依頼もきているので、研究成果を市民に向けて発信していく。その他、研究協力者とともにそれぞれ『帝鑑図説』に関する研究論文を公表する(出版企画の依頼あり)。 豊臣秀頼に関する一次史料の集積については、これまでは活字本を中心にOCRにて読み込み、データを蓄積してきたが、本年度に収集した史料については、ほとんど未見の一次史料であり、まず翻刻作業が必須となる。書状史料の解読は特に難しいため、崩し字の高い読解能力を持つ研究協力者が必要となる。よって、研究体制や研究計画についても見直しを進め、最終年度に効率的に研究成果が公表できるよう努力していきたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)