中世後期フランス・ネーデルラントにおける「魂の統治」と「聖なるものへのアクセス」
Project/Area Number |
21K00948
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
轟木 広太郎 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (60399061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
図師 宣忠 甲南大学, 文学部, 教授 (60515352)
青谷 秀紀 明治大学, 文学部, 専任教授 (80403210)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 魂の統治 / 聖性 / フランス / ネーデルラント / 異端 / 告解 / 異端審問 / 統治 / 中世国家 |
Outline of Research at the Start |
ヨーロッパ中世の霊性にかかわる歴史は、一面では、いかにして「魂の統治」を組織化するか、また聖性へのアクセス権を誰がもつか、という問いをめぐる聖俗関係の展開として見ることができる。本研究では第一に、13世紀のローマ=カトリック教会が、告解と異端審問の組織化をつうじてどのように独自の「魂の統治」プログラムを確立していったか、またそれに対する反動がどのように展開したのか、その過程を描き出す。第二に、14、15世紀において、フランスおよびネーデルラントの君侯が、教会の聖性独占の動きに対して、どのようにして聖性へのチャンネルを再び開こうとしたのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
代表者の轟木は、以下の4つの方向で仕事を進めた。(1)フィリップ4世時代に起こった魔術事件について史料調査を行った。トロワ司教ギシャールが王妃殺害に魔術を使ったとの疑惑をかけられた事件の一件資料を、パリの国立古文書館で収集するとともに、事件の分析を開始した。(2)フィリップ4世時代のテンプル騎士団事件についての検討を継続した。(3)説教史料のなかにあらわれる悪魔降霊術の史料の紹介と分析を執筆したさ(2024年度中に刊行予定)。(4)告解および贖宥について検討をはじめた。 図師は引き続き南フランスの異端審問に関連して、以下の3つの観点から研究を進めた。(1)13・14世紀南フランスの異端審問において審問官をつとめたドミニコ会士がいかに尋問を進めたのかを検討した。(2)13世紀にミラノ北方で殉教し、一年後に列聖されたヴェローナのペトルスについて分析した。(3)クレモナのモネタによるカタリ派の教義に関する議論を検討した。 青谷は以下のように、中世末期から近世初頭のネーデルラントにおける都市民の霊性についての政治権力について研究を進めるとともに、論文を発表した。(1)14~15世紀のブルッヘにおいて都市エリート及び中間層が囚人のために行った寄進の分析から、市内における霊的ネットワークのあり方を明らかにしようと試みた。(2)ネーデルラントにおける統治意識と関係する歴史・地誌の展開をまとめた論文を発表した。 また、今年度は9月に明治大学で研究会を開催した。轟木が、「たとえ陰謀だとしても -テンプル騎士修道会訴訟(14世紀初頭)と共通善-」と題して、テンプル騎士団事件と贖宥、悪魔降霊術をテーマに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究会は1回のみの開催であったが、代表者の轟木の報告をもとに、メンバーが共同研究全体の見通しについていっそう共通認識を深めることができた。 また、以下のように個々のメンバーがそれぞれ研究課題を進めることができた。 轟木はフィリップ4世治下のテンプル騎士団事件について各種の史料的検討を進めたほか、告解・贖宥の検討を開始させたし、説教史料にも取り組んだ。 図師は南フランスの異端審問研究を、とくに異端思想との関連においても進めた。 青谷はネーデルラントについて都市(ヘント)民特有の霊性について研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度ということであり、複数の研究会を開催するとともに、個々人が自分の担当フィールドについてまとめをおこなう。成果は、論文集(電子データ)としてまとめて公刊したい。 轟木は、中世後期における魂の統治、「聖性」へのアクセスについての総まとめを行い、個別テーマについて(テンプル騎士団事件やトロワ司教事件など)モノグラフを著す。 図師は、南フランスの異端審問、青谷は都市的な聖性やネーデルラント君主にかかわる霊性にういてそれぞれまとめる。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)