弥生時代における石器生産・消費システムの学際的再検証
Project/Area Number |
21K00970
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森 貴教 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30775309)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柚原 雅樹 福岡大学, 理学部, 助教 (30330898)
月山 陽介 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00533639)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 弥生時代 / 石器 / 立岩遺跡 / 石材原産地 / 材料解析 / 川島殿ヶ浦遺跡 |
Outline of Research at the Start |
本研究では福岡県飯塚市立岩遺跡群の学術発掘調査を実施することにより、弥生時代における石器生産について明らかにするとともに、福岡県内の高等学校等に所蔵されている未報告の立岩遺跡群採集資料を用いて学際的な研究を実施する。具体的には、岩石学・地球科学的分析による立岩系石庖丁の石材原産地の推定、材料解析・マイクロ/ナノ表面物性分析による石器石材の材料工学的背景の解明、実験考古学的手法を用いた石庖丁の機能・操作方法の推定である。 以上の分析を総合化し、弥生時代における石器生産・消費システムについて実証的に明らかにすることを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、弥生時代の代表的な石器生産遺跡である、福岡県飯塚市立岩遺跡群における石器生産の実態解明を目的として、発掘資料ならびに未報告の採集資料を用いて学際的な研究を実施するものである。具体的には、岩石学・地球化学的分析による立岩系石庖丁の石材原産地の推定、材料解析・マイクロ/ナノ表面物性分析による石器石材の材料工学的背景の解明である。 本研究開始時は、立岩遺跡群下ノ方遺跡の学術発掘調査を立案していたが、やむを得ない事情で調査することが実質不可能となったため、代替案として飯塚市歴史資料館所蔵の川島殿ヶ浦遺跡採集資料の調査・報告に急遽切り替え、今年度はその整理を進めた。 立岩系石庖丁の使用石材の岩石学・地球化学的分析に関しては、研究分担者の柚原を中心に検討を進めた。これは2021年度に下ノ方遺跡および焼ノ正遺跡で採集した石庖丁未成品の破片と脇野亜層群・千石峡周辺の礫を全岩化学組成により比較するものである。現在、共著論文として投稿中である。また、弥生時代の石器生産遺跡である下ノ方遺跡および貴船神社で採取した砥石について地球科学的分析をおこなった。偏光顕微鏡観察と主成分ならびに微量成分元素分析、希土類元素分析により、貴船神社の砥石は関門層群脇野亜層群の砂岩、下ノ方遺跡の砥石は古第三系堆積岩である可能性が示された。 このほか研究分担者の月山と、北部九州弥生時代の主要な石器石材に対する材料工学的検討の準備として供試体である岩石の成形加工をおこなった。今後、強度試験を実施し、力学的検討を進める。 以上のように、今年度は弥生時代の石器生産に関して各種の理化学的分析を進め、データを蓄積することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で2022年9月上旬に予定していた立岩遺跡群・下ノ方遺跡の学術発掘調査が実質不可能となり、本研究の計画を変更することとした。しかし立岩系石庖丁の使用石材に関する岩石学・地球化学的分析についてはデータが蓄積され、論文化を進めることができた(掲載決定)。脇野亜層群の堆積学的検討も進めており、考古学分野においても有意義な考察が可能となる見通しである。また、弥生時代の石器石材である「層灰岩」についても継続的に研究を進めた。とくに佐賀県吉野ヶ里遺跡出土の層灰岩製石器について、石材原産地推定に関する学際的研究をおこない共著論文(『九州考古学』98)を発表することができた点は特筆される。 以上のように、当初の予定から変更が生じたものの、研究目的に則したかたちで共同研究を順調に遂行できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
以下の3つの項目について研究を進め、総合的にまとめる予定である。 ①2022年度、下ノ方遺跡の発掘調査の代替案として資料調査をおこなった飯塚市川島殿ヶ浦遺跡の採集資料(臼井コレクション)について、2024年度末に報告書として内容をまとめる。 ②脇野亜層群の泥岩・砂岩と「層灰岩」の全岩化学組成に関する検討を継続的に進める。 ③弥生時代の各種の石器に用いられた石材に対する材料解析(比重試験、圧縮強さ試験)を行い、力学的な材料特性を明らかにする。供試体の成形加工までは終了しているため、試験は2024年6月に実施する予定である。
|
Report
(3 results)
Research Products
(20 results)