Project/Area Number |
21K00987
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
飯塚 義之 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員研究員 (90804203)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 石器石材 / 非破壊化学分析 / 可搬型蛍光X線分析装置 / ネフライト / ヒスイ岩 / 新石器時代 / 縄文時代 / ヒスイ |
Outline of Research at the Start |
人類が先史時代に用いていた石器の石材について、これまで目視観察によって行われてきた定性的な情報を、化学分析の手法を用いて定量的に扱うことで、石材の正しい理解を進める。正しい石材の理解によって、時代や地域ごとの差異や、普遍的な石材の存在、石材の特性による用途の違いや石材ごとの石器製作技法やその進化を議論する。ヒスイやネフライトなど一部特定の石材についてはその来源や分布域の変遷を議論する。
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Outline of Annual Research Achievements |
石器は先史文化を特徴づける代表的な文物の一つである。道具や装身具として利用されていた石器は多種多様な岩石で製作されており、それら岩石を正しく理解することは、地域的、時期的な相違と変遷を正しく知るために重要である。特定の石材は産地が限定的であるため、物質移動や文化交流を議論する上でも注目されている。しかし経験に頼ることの多い岩石の肉眼による判別には限界があり、誤った観察記録が残されていることが多い。本研究では可搬型蛍光X線分析装置(p-XRF)を利用した石器の非破壊化学分析による簡易判別法を独自に開発し、石材の再評価を進めている。 コロナ禍移動制限期間にはp-XRF分析法の改良を進め、また先史時代に使用されていた石材原岩の鉱物学的な分析をEPMA(電子線プローブマイクロアナライザー)とSEM-EDS(走査型電子顕微鏡-エネルギー分光X線分析法)を用いて行い、データベースを作成してきた。2023年5月の制限解除後は、予てより準備していた日本国内、特に、北日本・東日本の縄文時代を中心とした石器石材の分析調査を再開した。現地調査で借用することが出来た石器資料は、台北(中央研究院地球科学研究所)の実験室において、SEM-EDS法による非破壊定量分析を行った。 特に「玉類(ネフライトとヒスイ岩)」の原岩、及び出土遺物の分析調査を通じて、下記の3つの成果を得た。1)岩手県地方(地質帯名「根田茂帯」)に新たな緑閃石ネフライトの産地を確認した。2)この石材を利用した石斧は縄文時代後晩期に広く東北地方で活用されていた可能性を見出した。また、3)日本には産しない石材(透閃石ネフライト)で製作されていた石器類の存在を確認した。成果の一部は公表を始めている。 https://researchmap.jp/yiizukaies/published_papers
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年5月、日本政府当局による新型コロナ感染症対策のための移動制限が解除されたため、予てより準備していた日本国内、特に、北日本・東日本の縄文時代を中心とした石器石材の分析調査を再開することが出来た。分析調査を進める中で、事前の文献調査で把握していた以上の膨大な数の未報告資料が潜在していることがわかった。調査対象地域は当初計画より拡がり、それに伴い調査対象資料数、すなわち累積分析データ数を増やすことが出来た。移動制限期間中に実験室で進めていたデータベースとの対比を含め、調査結果については学会発表や報告書で公表を始めている。したがって、成果は、当初の予想を上廻り進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
第4(最終)年度となるが、実験室においてEPMA、SEM-EDSを用いた岩石学的、鉱物学的な化学分析を進める一方、秋季までは昨年度より続く現地調査を行う予定である。特に縄文時代の石器資料が多数出土、収蔵されている北海道、東北地方での調査を行う。調査地の埋蔵文化財管理担当者および考古学専門職の方々とはすでに打ち合わせを済ませ、収蔵施設から再発見した資料や新たな出土品を含めた分析調査を進めていく。 成果の一部は、日本考古学協会千葉大会(2024年5月)で発表を行う。分析調査結果についてのまとめも論文化の準備を進める。 当初計画の日本以外の海外渡航調査について:東南アジアへの調査は、2023年夏の調査でp-XRFでの分析を完了したため今年度の渡航は行わなず、調査結果については、共同研究者との議論の後、公表準備を進める。中米(マヤ文明)への現地調査は、一部の成果報告(論文化)が叶った一方で、別科研費(基盤A)の運用が、2024年度から始まったため、そちらの活動として行うこととする。したがって本科研については、日本国内の調査に重点を置き、成果のまとめにつなげていく。 一方で、本計画の成果を踏まえ、全国に潜在する埋蔵文化財資料の再発掘(再確認)の必要性も高い。こうした成果を踏まえ発展的な調査計画の準備(文献調査や聞き取り調査)も進めていく。
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