近世債権法史の再検討―九州大学所蔵資料を手掛かりとした研究基盤の再構築―
Project/Area Number |
21K01107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
和仁 かや 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90511808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶嶋 政司 九州大学, 附属図書館, 助教 (80403939)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 日本法制史 / 金田平一郎 / 近世債権法 / 九州帝国大学 / 史料保存 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、前近代日本における債権法制及び慣習に関する学問基盤の構築とそのための基礎的資料の整備をと目的とする。具体的には、かかる研究の先駆者である金田平一郎が、戦前期九州帝国大学を拠点として蒐集し現在九州大学附属図書館が所蔵する近世法制史料群について、集積過程や背景をも含めた丁寧な再構築に努める。加えて目録整備やデジタル化を通じて、基礎的共有財産として広く学界へ提供し、同時に債権法制史料活用のためのコンテンツ化を試みる。 歴史資料の保存や活用の可能性を多面的に探ることで、近世九州北部地域を具体例とした債権規範とその影響についての研究を進め、債権法制への地域的・歴史的視座をも模索したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、前近代日本の債権法制及び慣習に関する学問基盤の構築とそのための基礎的資料の整備とを目的とする。とりわけ、かかる研究の先駆者である金田平一郎が、戦前期九州帝国大学を拠点として蒐集した近世法制史料群に焦点を当て、未整理史料の目録整備やデジタル化を図りつつ研究を深め、関連する地域史料の活用可能性をも模索するものである。 2年目に当たる本年度の主立った実績としては、以下の3点が挙げられる。 まずは、九州大学所蔵の法制史料に含まれる未整理分のうち、昨年度に「大阪塩町四丁目(現・大阪市中央区南船場)記録」について、研究補助者(RA)の助力を得て整理が完了したのを受け、解題及び目録を公刊したことである。また九州地域の史料としては、昨年度に引き続き、九州文化史所蔵の豊前小倉藩領の大庄屋日記の一部の翻刻・紹介したのに加え、天草崎津文書の目録、またこれらの史料収集の拠点となった九州文化史の事務日誌も一部公刊した。 2つ目に、金田文庫に含まれる債権関係史料、とりわけ北部九州地域の証文類につき、整理を進めると同時に、関連資料の調査・撮影・整理を行った。 なかでも法制史料に含まれる筑後地域の未整理の文書群、また各種近世裁判関係資料は、引き続き重要な検討対象となろう。また蒐集過程及び現在に至るまでの保存・管理状況につき、図書館関係者への聞き取り調査も実施した。さらに口頭報告の機会を二度ほど得て、隣接諸分野始め様々な分野の研究者に資料状況の詳細を提示し、今後の整理・検討について多くの知見を得た。 3つ目に、 分析対象であるかかる史料群への理解を、背景にある問題関心も含めてより精密なものとするために、学問的に金田にも大きな影響を与えた法制史学のパイオニアである宮崎道三郎に関する検討を進め、論文を執筆・公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度も前年度に引き続き、コロナ禍の影響は少なからず受けたものの、出張制限等が緩和されたこともあり、前年度までの遅れはそれなりに取り戻せたのではないかと考える。オンライン手段の活用ではなお代替不可能な調査・撮影作業もあるが、そのノウハウが蓄積されてきたことで、オンライン・対面の使い分けは格段にスムーズになってきたように思われる。 次年度以降も引き続きコロナの影響には備えつつ、対面での作業機会を出来るだけ確保するよう努め、研究計画を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究計画にとって中間地点を迎えることとなる。従って、これまで得られた成果について確認すると同時に、様々な視角からの今後に向けたさらなる知見を得るために、本年6月に早稲田大学で開催予定の法制史学会、就中ミニ・シンポジウム「法制史学資料の来し方と行く末ー紙媒体資料・蔵書の継承に向けてー」を重要な機会として位置付け、最大限活用することを考えている。なお本シンポジウムについては、活字化の上公刊する予定である。 また、九州大学所蔵の債権関係史料に関する調査・整理、ならびに検討も引き続き実施する。 未整理史料としては、前年度に引き続き大部の大坂関係資料につき、整理および目録公刊を予定している。加えて【研究実績の概要】にも記した筑後地域史料についても、出張機会の確保やメンバー間でのデータ共有を最優先事項とすることにより一層整理を進め、債権契約や担保をめぐる独自の慣行や、金銭融通に関する慣習等の実態の抽出・分析に繋げたい。また戦災で既に原本が失われた法制関係史料等についても、保全・修復措置を施しつつ比較分析の素材としたい。九州大学所蔵以外の関連史料の調査、さらには重要と思われる史料の翻刻・紹介にも引き続き努める。 同時に、これらの史料蒐集の重要な背景として、戦前の九州地域において帝国大学を軸に成立ないし形成されつつあった学問・蔵書ネットワークを丁寧に跡付けて立体的な再構築を図るための諸作業も継続する。他地域の同様のネットワークとの比較分析や、隣接諸分野の専門家も交えた検討会及び研究会も、引き続き適宜開催したいと考えている。そしてこれらの成果についてまとめるべく、前年度の聞き取り調査で得られた史料状況もさらに検証し、法制史学の史料としてもきわめてユニークな法制史料に関する論文の執筆にも着手したい。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)