Project/Area Number |
21K01188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 信太郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (50243746)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 死因究明 / 死因認定 / 鑑定 / 検視 / 法医学 / 司法解剖 / 法医鑑定 / 検視制度 / 検死 / 刑事裁判 |
Outline of Research at the Start |
刑事裁判において死因の認定が争点となる事件が散見される。犯罪死か自然死かについて評価を誤ることは、重大犯罪の埋没や冤罪の原因となる。事後的にそれが犯罪死であることが判明しても、死体が焼却された後では、刑事事件としての立件は困難であるし、仮に起訴しても公判を維持し、適切に犯罪者を処罰するのは難しい。逆に被害者が病死など犯罪以外の理由で死亡したに過ぎないのに、無理に犯罪死であると判断すると無実の者を処罰する危険を生む。そこで、本研究では、ドイツ法を参考にしつつ、死因を巡る事実認定適正化のために、まず捜査段階(死因究明、及びその後の公判段階(死因認定)のそれぞれの観点から分析、検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、刑事裁判において、死因の認定にまつわる誤判事例が発生する要因を探求し、そのような誤判が生じない方策を提示することを課題とする。死因をめぐる誤判発生原因には、死因究明制度それ自体に内在する問題と、刑事裁判における事実認定上の問題があるように思われる。本年度は、特に死因をめぐる事実認定の問題に焦点を当て、裁判員裁判で審理される死因認定の困難性について分析を行った。具体的には、死因をめぐって第1審と控訴審の判断結果が分かれた事例を取り上げ、有罪・無罪が分かれた根拠を検討した。 そこから得られた知見としては、事実認定の任に就く裁判員が専門家証人である法医学者や専門医などの証言を理解するのに苦心していること、また、専門家の公判廷での証言のうち、事実報告として許される性格を持つ証言と、裁判官・裁判員の判断に本来委ねられるべき法律問題に属する領域にかかわる証言との境界線が明瞭に区別できていないこと、さらに医学界でいまだ定着していない新規証拠や新規な見解がしばしば提出され、そのことが事実認定に困難を来しているのではないかということがわかってきた。そうした知見は、令和5年度に論文として公刊し、さらに刑事判例研究会でも報告した。 その他、国外の状況を把握するために、コロナ禍の影響で令和5年まで実施できなかったドイツ調査を令和6年3月に行い、ケルン大学法医学研究所において法医学研究者と面接を行った。このドイツ調査で得られた情報や知見も論文にまとめ公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は、死因究明体制に関する基礎的文献と、刑事裁判において死因認定が争点となった判例の分析を行った。死因究明関連の文献および刑事判例の分析は、比較的進んでいる。しかし、ドイツ調査は、令和3年、4年の2か年にわたって、コロナ禍の影響により予備調査、本格的調査ともまったく実施できず、また令和5年も研究遂行に有効な訪問先との連絡調整に時間を要したため、やや進捗が遅れた。ただ、令和6年になってコロナ感染症防止策に関する各種の規制がすべて廃止されたため、先方の関係機関と調整がついたこともあり、令和6年3月に渡独し、ケルン大学法医学研究所長(法医学者)に面談を行うことができた。もっとも当該面談は、予備調査の段階にとどまっており、司法解剖の現状や研究所の活動内容などについては情報を得られたものの、刑事裁判における鑑定書の位置づけ、訴追側証人と弁護側証人の見解が対立した場合の刑事裁判官の対応策については未解明である。令和6年度は、まだ解明していない点を含め、本格的な調査を実施することで情報の獲得と分析を行う必要がある。 また、国内における面接調査については、北海道大学医学研究院の附属施設である死因究明教育研究センター教員と情報交換を行い、また札幌地区の弁護士、裁判官に対して実施した。ただ、警察(検視官)や検察官といった捜査機関の関係者には面接できなかったので、ドイツ調査と並行して国内の各大学、関係機関において調査を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツにおける死因究明体制の分析については、コロナ禍の影響を受けて海外調査の実施が遅れたが、予備調査を行うことができたので、現在、その面接調査の結果を検討中である。また、面接の結果だけでなく、文献収集とその翻訳を継続して実施し、ドイツにおける死因究明制度の理解を深め、さらに令和6年度における本格的な面接調査の準備を進める。また、法医学研究所だけでなく、特に刑事専門の弁護士や刑事法研究者とも面接を行い、死因究明体制の問題だけでなく、死因認定の問題点も視野に入れて認識を深め、このテーマに関する研究を成果につなげる。 日本の死因究明体制と死因認定の分析については、北大法医学教室の法医学者に対する面接を継続して行なっているが、法医学教室や講座を有する他大学にはまだ現地調査を行っていないので、関連機関や大学へ出張して情報の獲得を遂行する。したがって、現段階では、研究計画の変更等はない。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)