差止請求権に基づく「違法な商品」の回収請求に関する基礎的・比較法的研究
Project/Area Number |
21K01211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
根本 尚徳 北海道大学, 法学研究科, 教授 (30386528)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 差止請求権 / 回収請求権 / 回収請求 / 差止請求 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,差止請求権に基づく「違法な商品」の回収請求の可否について,①差止請求権の一般法理に根ざした基礎的考察と②ドイツ・ヨーロッパの判例・学説を素材とする比較法的考察とをともに行い,個々の紛争類型(被侵害法益)ごとの回収請求の個別的要件および効果の具体的内容(要件・効果の個別・具体論)と,それらの紛争類型に共通して妥当しうる一般的判断枠組み(要件・効果の一般論)とを明らかにしようと試みるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究成果の本格的なとりまとめに注力した。 すなわち,差止請求権に基づく「違法な商品」の回収請求の可否に関するドイツおよびヨーロッパにおける近時の議論状況を整理・分析し,日本法への示唆の獲得に努めた。 具体的には,上記請求をその請求内容とする差止請求権(回収請求権)の成否をめぐるドイツの判例の概要(この点について否定的であった戦前のライヒ裁判所の判例の特徴,および,最近になって立て続けに出された当該請求権を肯定する連邦通常裁判所の5つの判例それぞれの内容)を跡付けた上で,それらの判例の変遷やヨーロッパ法の動向に刺激されながら展開された学説上の議論を分析し,回収請求権をめぐる原理的・実務的論点(訴訟法上のそれを含む)を見極めた。そして,これらの論点に検討を加えつつ,日本において回収請求権を認めることの可否について,考察を深めた。 そして,以上の研究成果に基づく学術論文の執筆を開始した。 また,2023年3月に来日されたフランツ・ホフマン教授(エアランゲン・ニュルンベルク大学教授。回収請求権に関する論文〔F. Hofmann, Unterlassung und Rueckruf im Lebensmittelrecht im: M.Moestl und K. Purnhagen (Hrsg.) Massnahmen und Sanktionen im Lebensmittelrecht, Frankfurt am Main, 2021, S. 81 ff.〕を執筆されている)と複数回,面会し,当該請求権に関するドイツ・ヨーロッパにおける最新の議論状況について知見の提供を受けるとともに,この問題に関するホフマン教授の見解について質問し,さらに,詳細な意見交換を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の終りまでに,差止請求権に基づく「違法な商品」の回収請求の可否をめぐるドイツの議論の概要(判例と学説とのそれぞれの展開の具体的な軌跡)および当該議論において争われている実体法上・訴訟法上の論点を網羅的に把握することができた。 また,それらの論点に関する考察を進め,日本における当該請求の可否に関する見通し(私見の基礎)を固めることができた。 さらに,以上のような①ドイツにおける議論の整理・分析および②それらの作業から得られる日本法への示唆,そして,③上記請求の可否に関する私見をまとめる学術論文の執筆を開始した(現時点において,すでに上記①に関する部分を概ね書き終えている)。 加えて,2023年12月にドイツにおいて公刊された,上記請求に関する研究書(博士論文。C. Klinger, Zum Verhaeltnis von Unterlasssungsanspruch und Rueckrufanspruch, Baden-Baden, 2023)を入手し,その検討を行った。すなわち,そのような検討を通じて,当該請求に関するドイツの最新の議論状況について知見を得るとともに,本研究におけるドイツの判例および学説によるこれまでの議論の整理(その特徴や残された問題点の把握など)の妥当性を確認することができた。 なお,上記研究書における分析に示唆を得て,当該請求の可否をめぐるオーストリアにおける判例および学説の詳細な検討を実施した。その成果は,上記学術論文の一部としてこれを取り込む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の成果を1つの学術論文にとりまとめる作業に集中する。 当該作業を効率的に,また効果的に進めて行くために,以下のような複数の具体的方策を採る。 第1に,引き続き,差止請求権に基づく「違法な商品」の回収請求の可否に関するドイツ,オーストリアおよびヨーロッパの文献の有無を幅広く調査し,発見し次第,可及的速やかに入手し,その解析に努める(上記請求の可否如何は,差止請求権(妨害排除請求権・不作為請求権)の一般法理に深く関わるものであるため,調査・収集すべき文献は,当該請求に直接に関わるものに限られず,差止請求権一般に関連するものもこれに含まれる)。 第2に,上記学術論文の執筆作業が一定の区切りを見せた段階で,その都度(複数回にわたって),国内の研究会において,これに基づく研究報告を行い,本研究の成果について広く学術的な批判を受ける(そして,それらの批判に基づくさらなる分析を上記論文の内容に反映させる)。 第3に,ドイツやオーストリアの判例や学説に関する分析については,(例えば,それらに関する疑問などが生じた場合に)上記請求の可否に関して造詣の深いドイツ人研究者に,インターネット上の通信手段を活用して,適宜,助言などを求める(とりわけ,すでに言及したとおり,フランツ・ホフマン教授とはすでにこの問題について詳細な意見交換を実施しており,引き続き,その協力を得ることが可能である)。 第4に,上記第1の作業および第3の作業の一環として,ドイツの研究機関に短期間,滞在し,最新の研究成果の有無などについて実地に調査するとともに,ドイツ人研究者と,対面の形で,例えば上記学術論文の内容に関する,比較的長時間の,集中的な意見交換を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(28 results)