Project/Area Number |
21K01321
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠藤 知子 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (00609951)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 職場デモクラシー / ケア / デモクラシー / 構造的不正義 / ケアデモクラシー / I.M.ヤング / 労働者協同組合 / 社会正義 / 職場民主主義 / 社会的経済 / 協同組合 / 福祉国家 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、経済に対する民主的コントロールの方法として改めて注目されている職場民主主義論を福祉国家再編の議論の中に位置付けて検討する。また、これまで別々に論じられることの多かった職場民主主義と福祉の生産における当事者参加の議論を結びつけることで経済民主主義の概念と制度構想を更新する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、規範政治理論における職場デモクラシー論の「範囲」の問題を(1)個別の組織内部の民主的実践と社会正義との関係、(2)職場デモクラシーと再生産労働との制度的関係という二つの観点から検討することである。2023年度の研究計画は、(1)の研究成果を発表するとともに(2)に関する検討を進めることであった。 (1)に関しては、アイリス・ヤングの構造的正義論を用いて個別組織内部の民主主義と社会全体の正義を関係づける議論をまとめた英語論文が政治学の国際ジャーナル、Political Studiesに掲載された。ヤングの構造的正義論によれば、人々を社会的に位置付ける社会構造は制度を媒介とする多数の人々の行為によって生成される。これまで構造的不正義を是正するための集団的行動は、主に権力者に訴えて上から制度変革を目指すこととして理解されてきたのに対し、本稿では、職場デモクラシーを含む民主的組織を人々の行為や社会関係を方向づけるボトムアップの制度形成として捉えることで、個別の民主的実践と社会全体の構造的正義との関連を指摘した。 (2)に関しては、近年活発化しているケアリング・デモクラシーに関する議論を念頭に、ケア実践とデモクラシーの関係について考察する英語論文を執筆した。これまでの参加民主主義論では、市民の日常的な民主的参加の現場として職場が焦点化されてきた。しかし、現在は大勢の人々が安定雇用から排除される一方で、ケアが重要な社会的協働の現場として再認識されるようになっている。本稿では、ケアの倫理に基づく参加民主主義論の再考を試み、「他者の声を引き出す社会関係の形成」としての拡張した民主主義理論を提示した。本稿の議論は招待を受けて参加したワークショップ'Justice in the Labour Market'(ポンペウ・ファブラ大学)で発表し、海外ジャーナルに投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の二つの研究目的に関する英語論文一本は掲載に至り、もう一本は完成させて投稿することができた。これらの論文において、個別の民主的実践と社会正義の関係、ケア実践におけるデモクラシーについて一定の議論を進めることができた。一方で、それぞれの議論をさらに深めるとともに、包括的な観点から経済民主主義の制度構想という全体的な研究課題における位置付けと関連づけをすることが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、当初の研究目的であった職場デモクラシーの「範囲」の問題(社会全体の正義との関連、再生産労働との制度的関係)に加え、研究を進める上で重要な問題として浮かび上がってきた職場デモクラシーとディーセントワークの関係について考察を行う。職場デモクラシーは労働者にとってより働きやすい職場環境や労働条件を整備しうると考えられる一方で、社会目的と仕事の融合はオーバーワークや「やる気の搾取」につながるとの議論も存在する。24年度はこれらの議論を整理・検討する英語論文を執筆する。また、これまでの研究成果を統合・総括する作業を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)