多チャンネル計測による弾性波速度と減衰特性の空間分布の同定
Project/Area Number |
21K04217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22010:Civil engineering material, execution and construction management-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 義和 日本大学, 理工学部, 教授 (20339253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 孝弘 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (10345358)
小田 憲一 日本大学, 理工学部, 准教授 (70632298)
中村 勝哉 日本大学, 理工学部, 助手 (70843548)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | AEトモグラフィ法 / 波線追跡 / 位置標定 / 分解能 / 弾性波速度分布 / 最小二乗法 / 擬似三次元 / AE位置標定 / 到達時刻 / 弾性波トモグラフィ法 / 減衰トモグラフィ法 / 逆問題 / 波線追跡法 / 有限要素法 |
Outline of Research at the Start |
構造物内部に生ずる損傷の発見は, それらの構造物の維持管理において非常に重要な問題であるが, このような構造物内部の損傷を発見する方法については, 従来より研究が進められているものの, これを十分な精度で把握するための手法は確立されていない. そこで本研究では, 近年普及が著しいワンボードコンピュータとMEMS センサーを組み合わせた安価な多チャンネル観測システムと, 弾性波速度トモグラフィ法における初動走時を対象とした観測方程式と有限要素法による伝達関数を対象とした観測方程式を組み合わせることによって, 構造物内部の状態を高精度に評価する手法を確立する.
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Outline of Annual Research Achievements |
AEトモグラフィ法(AET)において、2021年度には、最終的な弾性波速度分布の同定結果に対する弾性波発信位置の位置標定の分解能の影響を明らかにした。これについては、従来の波線追跡に基づく方法では要求される計算資源の問題から数値実験等が実施できず、直接その影響を確認することができなかったため、本研究では、この数値実験を波線を直線として仮定し、解析に必要な計算資源を低減することによって数値実験を実施し、その結果から高い精度で弾性波速度分布を同定するためには、弾性波の発信位置の分解能を向上させる必要があることを示した。また、AETによる実構造物の健全性診断に必要な弾性波の到達時刻の高精度な読み取りについては、到達時刻の高精度な読み取りが可能な時系列データを選別し、その選別された時系列データから弾性波の到達時刻を読み取る手法の開発を行った。2022年度には、AETにおける逆解析手法として非線形最小二乗法を採用し、更に観測方程式を線形化する際に弾性波速度分布の変化が弾性波の発信時刻に及ぼす影響を考慮するように定式化を行った。2023年度には、三次元効果が無視できないような事例を対象に、擬似三次元解析を導入した。これにより、厚みのある板状の構造物に対して少ない計算資源で高精度な結果を得ることが可能となった。また、2023年度に入って漸く世界的な半導体不足が解消し、研究遂行に必要な機材が入手出来たため、計測システムの構築に着手した。この計測システムの構築については、利用を想定していたRaspberryPI等においては、要求されるサンプリング周波数での安定した計測が困難であることが明らかとなったため、別途用途に適合したものについて調査を行った。この結果、目的に耐える計測機器を見つけることができたが、これを制御するプログラムの開発を行う必要が生じたため、その準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度には、2022年度までに行われた手法の開発に加え、解析手法への擬似三次元解析の導入と計測システムの構築の開発を行った。擬似三次元解析の導入については、従来より弾性波速度トモグラフィ法やAEトモグラフィ法において、ある程度厚みがある板状構造物では、発振点と受振点の距離が近く、更に発振点と受振点が異なる面に存在する場合に解析結果における三次元効果が無視できないことがあることが指摘されてきた。このため、弾性波速度トモグラフィ法及びAEトモグラフィ法において、観測方程式を構成する際に用いられる発振点から受振点迄の波線長の算出の際に、簡易にその厚みを考慮する手法を開発した。この手法では、疑似的に三次元解析を行うことによって、厚みが無視できない板状構造物において、三次元解析を行うことによって生ずる要求解析資源の急激な増大を避けつつ、適切に三次元効果を考慮することを可能にした。また、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う半導体不足等に起因し、研究の遂行に必要な機材の入手が困難であったが、2023年度になってそれが漸く解消に向かい、必要な機材を確保することが出来たため、これに伴って、計測システムの構築に着手することが可能となった。この計測機材については、単体で計測を行う制御プログラムが提供されているものの、複数の機材を同期させて計測するような制御プログラムが提供されていない。しかし、ハードウェアとしては、そのような機能を備えていることから、その機能を利用しうる制御プログラムを開発することによって、多チャンネル計測システムを従来の計測システムと比較して安価に構築できると考えている。このため、2023年度においては、この制御プログラムの開発に必要なFPGAを対象としたプログラムについて調査を始めた。このような状況から、本研究については、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に引き続き、解析手法の改良及び新機能の実装、解析コードの整備と計測システムの構築を進める。解析手法については、2023年度には弾性波の回折や屈折を考慮するために波線追跡をした上で、解析精度の向上のために弾性波の発振点同定の分解能を向上させてきたが、これに伴う解析規模の増大に対しては、複数の計算コアを有する中央演算装置のみを用いた並列化によって対応することを試みてきた。しかし、将来的には更なる解析規模の増大が見込まれているため、これに対応するために、開発しているプログラムを中央演算装置と画像処理装置を汎用計算に利用するGPGPUを併用するヘテロジニアスな分散処理システムへ拡張することを試みる。ヘテロジニアスな分散処理システムの構築に際しては、このような目的に広く利用されているSYCLによる実装を目指しており、まずはその開発を行うためのシステムを構築する。その上で、現在開発を進めている解析プログラムをSYCLに対応したものに書き換えることによって、ヘテロジニアスな分散処理システムへの拡張を実現する。また、当初より予定されている周波数応答に基づいて材料物性の空間分布を同定する機能を実装し、それと弾性波速度分布との関連性を考慮することによって観測情報を増加させ、より高精度な健全性診断を可能とする手法の開発を進める。計測システムについては、引き続きFPGAを対象とした制御プログラムの開発について調査を進め、まずは、配布されている単体での計測を目的とした制御プログラムの解読を行い、それを踏まえて、複数の計測装置を同期させて動作させる制御プログラムの開発を試みる。また、これらに並行して、開発された手法や計測システムの性能を評価するためのデータを取得するために、人工的に損傷を模擬した供試体を作成し、その供試体を利用した模型実験を実施する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(22 results)