Project/Area Number |
21K06095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 友美 京都大学, 理学研究科, 助教 (10362435)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 光制御 / 細胞機能 / 光操作技術 / 光受容体 / 脂質輸送体 / 生体膜機能 / 膜機能 |
Outline of Research at the Start |
我々は既に、出芽酵母においてフリッパーゼの活性を光制御するシステムを確立している。そのシステムを利用し、光制御可能なヒト・フリッパーゼの検索とヒト培養細胞におけるフリッパーゼ活性の光制御を目指す。フリッパーゼは、生体膜での非対称なリン脂質分布の形成・維持に関与し、小胞輸送・細胞骨格動態・情報伝達・アポトーシス細胞の除去・細胞分裂など多くの細胞機能制御において重要な役割を担う。これら細胞機能に関して、どのように時空間的な精密さを以って活性が制御されるのか、そのメカニズムは未だ分かっていない。そこで、そのメカニズム解明への貢献を目的に、ヒト培養細胞にて利用可能な光操作システムの確立を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「脂質輸送体フリッパーゼの活性を光操作する技術の確立」である。フリッパーゼは生体膜での非対称なリン脂質分布の形成・維持に必要であり、様々な細胞機能制御において重要な役割を担う。これらの細胞機能が、フリッパーゼによってどのように制御されているのか、そのメカニズムは不明な点が多い。そこで、そのメカニズム解明への貢献を目的に、様々な生物でも利用可能な光操作システムの構築を試みた。我々は既に、出芽酵母においてフリッパーゼの活性を青色光受容体フォトトロピンによって光制御するシステムを確立している。そのシステムを用いて、ヒト・フリッパーゼ及び植物フリッパーゼ活性の光制御について検討した。先ずは、いくつかのヒト及び植物のフリッパーゼ遺伝子を酵母発現系ベクターにクローニングした。それら遺伝子を、酵母フリッパーゼキナーゼFpksの制御によってフリッパーゼの活性を検定できる酵母株に導入した。その結果、Fpks制御下にて機能するフリッパーゼを数種類取得することに成功した。得られた因子はどれも、Fpks制御下にある酵母フリッパーゼと類似した配列を有しており、この結果は得られた因子が青色光受容体フォトトロピン(PHOT)による制御を受ける可能性を示していると考えている。植物フリッパーゼに関しては、PHOTとの相互作用をはじめとする、制御メカニズムの一端を明らかにすることができた。その情報を元に、ヒト・フリッパーゼキナーゼを同定するとともに、キナーゼによるフリッパーゼの普遍的な制御メカニズムの解明に迫ることができると考えている。今後、これら解析を行うことで、フリッパーゼ活性の光操作技術を確立し、これまで明らかとなっていなかったフリッパーゼによる細胞機能制御のメカニズムを解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、ヒト培養細胞の細胞機能を光で制御する技術の確立をめざし研究を進めている。光制御のツールとして緑藻の青色光受容体CrPHOTを利用し、a) CrPHOTによって制御可能なヒト・フリッパーゼを取得する。(b)得られた候補フリッパーゼの情報を元に、CrPHOT導入ヒト培養細胞での酵素活性、及び(c)膜機能・細胞機能の光制御を解析する。(d) CrPHOTの代わりにフリッパーゼを制御しうるヒト・キナーゼを取得すること、を計画した。2022年度は、計画(a)については多少遅れているものの、(d)の研究は概ね順調に進めることができ、新たな情報を得ることにも成功したので、その状況を下記する。 (a) CrPHOTによって制御可能なヒト・フリッパーゼの取得。前年度に引き続き、CrPHOTによる制御検定を行う前に、結果が判別しやすい酵母キナーゼFpksによる検定を行うことにした。ヒト・フリッパーゼ遺伝子のクローニングをし、得られた遺伝子を酵母に導入することでFpksによる制御を検定した。その結果、Fpksによって活性化されうるフリッパーゼの取得に成功した。得られたヒト・フリッパーゼは、Fpksのターゲットである酵母フリッパーゼと配列上類似していることも判明した。また、異種生物のフリッパーゼの配列を比較することで、キナーゼによって制御される領域の推定も行っている。 (d) ヒト・フリッパーゼキナーゼの取得。フリッパーゼを制御しうるヒト・キナーゼを取得する目的で、Fpksキナーゼに類似したヒト・キナーゼを酵母fpks変異株に導入した。その結果、数種のキナーゼ候補の取得に成功した。さらに、これら候補因子のキナーゼ領域のみの断片を酵母株に導入すると、全長領域を導入した場合に比べフリッパーゼ活性化の程度が飛躍的に上昇することも判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究に引き続き、以下の4つの研究項目について研究を進めていく予定である。 (a) CrPHOTによって制御可能なヒト・フリッパーゼの取得。CrPHOTで制御可能な酵母の解析系を確立することで、前年度に得られたフリッパーゼについて光制御検定を行う。さらに、活性の有無を判別するために解析系を改良することで、より鮮明な結果を得ることを目指す。また、配列情報をもとに、キナーゼによるフリッパーゼの制御領域の同定とフリッパーゼ活性制御へのキナーゼの役割について明らかにする。 (b) 養細胞での脂質取込活性の測定。上記(a)の解析を進めながら、先ずはヒト培養細胞にCrPHOTや恒常的活性化型CrPHOTを導入し、CrPHOT依存的な脂質取込活性を解析する。また、CrPHOTによる活性制御が既に証明された酵母フリッパーゼを培養細胞に同時に導入することで、脂質取込活性が測定できるのかも試してみる。 (c) フリッパーゼ候補が関与する膜機能・細胞機能の測定。上記(a)で取得されたフリッパーゼ遺伝子の情報を元に、CrPHOT導入ヒト細胞において膜機能や細胞機能が光制御できるか解析する。特に、小胞輸送や細胞骨格形成、細胞運動に着目し解析を進める予定である。 (d) ヒト・フリッパーゼキナーゼの取得。得られたキナーゼについて、ヒト・フリッパーゼとの相互作用を中心に解析を行うことで、フリッパーゼキナーゼとして機能の有無について明らかにする。また、既知の情報をもとに、フリッパーゼキナーゼの役割についてさらに考察をすすめる。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)