エピゲノム制御を介した転移性乳がん発生機構の解明と新規乳がん治療法の開発
Project/Area Number |
21K06829
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
古室 暁義 近畿大学, 医学部, 講師 (50512274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | エピジェネティクス / 乳がん / Histone demethylase / 浸潤 / 転移 / Super Enhancer / 発現制御 / エピゲノム |
Outline of Research at the Start |
特に悪性のBasal-like type乳がんは、若年性の女性に発症し転移も早期に起きるものの、効果的な治療法はないために死亡するケースが多い。そのため治療法の開発が急務である。本研究は、ヒストン脱メチル化酵素UTXの機能を阻害した場合の乳がん転移促進のメカニズムを明らかにするとともに、転移性細胞、腫瘍内免疫細胞、がん微小環境を標的とした乳がん治療の基礎研究として、興味深い結果が報告できると期待される。本研究の成果が明らかとなれば、ヒストンメチル化酵素阻害剤や免疫チェックポイント阻害剤を臨床応用する際に治療が有効な症例を予測する上でも、極めて重要な研究となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
the Ubiquitously Transcribed Tetratricopeptide Repeat on chromosome X(UTX)はヒストンH3の27番目のリジン(H3K27)のメチル基を取り除き転写を制御するヒストン脱メチル化酵素として同定された。一方、近年、UTXは、ヒストン脱メチル化活性によらないヒストン修飾やエンハンサー活性を制御することも明らかになってきた。しかし、Utxと乳がんとの関与については、依然として不明な部分が多い。 これまでの検討で、乳腺組織得意的にUtxを欠損させたマウスと乳がん発症マウス(MMTV-PyMTマウス)の複合変異を持つ乳がん発症マウス (Utx KO; PyMTマウス)では、腫瘍増殖や肺転移が促進し、乳がんの悪性化を起こしていた。Utx KO; PyMTマウス由来の乳がんオルガノイドは高い浸潤能を持つことを見出した。この時、様々ながんおいて発現が亢進し、浸潤・転移の促進やがん幹細胞性の維持に関与する因子として報告がある転写因子High mobility group AT-hook 2 (HMGA2)に着目し検討を行ったところ、Utx KO; PyMTマウス由来の乳がんオルガノイドの転移・浸潤において、HMGA2が影響を及ぼしていることが明らかになった。また、BET阻害剤であるJQ1によってUtx KO; PyMTマウス由来の乳がんオルガノイドの高い浸潤能が完全に抑えられることを見出した。この時、JQ1によってHMGA2の発現も抑制されていることが分かった。shRNAやsgRNAによるHMGA2のノックダウンで、Utx KO; PyMTマウス由来の乳がんオルガノイドの浸潤能が抑制され、肺転移も抑制されることが確認できた。Utxの発現が低下することで悪性化を伴う乳がんに対しては、HMGA2の発現を抑えることで転移や浸潤を抑えることができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Utxの発現低下によるHMGA2の発現上昇やJQ1による発現抑制の制御メカニズムを調べるために、HMGA2の遺伝子座近傍のスーパーエンハンサーの活性化を検出しようと、Chip-SeqやCUT&RUN-Seqを試みたが、Utx KO; PyMTマウス由来の乳がんオルガノイドにはLuminal typeやBasal typeの細胞が混在するためか、うまく検出できず時間を要した。しかし、HMGA2の遺伝子座近傍のスーパーエンハンサー領域に発現する新たなスーパーエンハンサーRNA:seRNAを発見し、興味深い結果が得られ、さらに検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
Utx KO; PyMTマウス由来の乳がんオルガノイドで特異的に高い発現をしているHMGA2遺伝子座近傍のseRNA が見られ、JQ1によってこのRNAの発現は抑制されていた。HMGA2の発現が高いマウス乳がん細胞株4T1でも、今回着目しているHMGA2のスーパーエンハンサー領域の活性化と、このseRNAは発現していた。このことから、Utx KO; PyMTマウス由来乳がんオルガノイドでのHMGA2の発現は、HMGA2のスーパーエンハンサー領域の活性化による発現制御が行われている可能性が示唆された。現在、これまでの検討結果をもとに学術論文の投稿を進めている。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)