低侵襲でハイスループットな悪性中皮腫の早期診断法の確立
Project/Area Number |
21K07250
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
吉川 良恵 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10566673)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 和恵 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80724806)
江見 充 兵庫医科大学, 医学部, 特別招聘教授 (90221118)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | 悪性中皮腫 / ゲノムコピー数解析 / 予後予測 / ゲノムコピー数変化 / ゲノム不安定性 / digitalMLPA |
Outline of Research at the Start |
本研究は、極めて予後不良の腫瘍である悪性中皮腫(MM)の、低侵襲的な早期発見・再発モニタリングシステムを構築することが目的である。MMの変異形式は、塩基配列レベル変異よりゲノムコピー数変化、特に染色体破砕・再構成の結果、コピー数の低下/上昇が繰り返す激しいコピー数変化が生じている。後者は腫瘍組織では網羅的に捉えにくい。我々が開発したdigitalMLPAをMM用にさらに改良し、腫瘍組織でゲノムコピー数変化と患者予後・免疫チェックポイント阻害剤の有効性との関連解析を行う。並行し、極めて低頻度で腫瘍が混在する血中循環腫瘍細胞に本技術を適用し、低侵襲的な早期発見・再発モニタリングシステムを構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫(malignant mesothelioma: MM)は化学療法等治療抵抗性の極めて予後不良(診断後生存中央値約1年)の腫瘍で、世界中で今後さらに患者数が増えることが見込まれる。その変異は、塩基配列レベル変異は小児がんレベルと少なく、技術的に捉えにくい微小欠失が複数個所で起こり、激しいゲノム再構成(chromothripsis-like patterns:CTLP)が生じている。CTLPが悪性化との関連性や、免疫チェックポイント阻害剤の有効性に寄与する可能性があるため、エクソン単位のゲノムコピー数(CN)変化を精度高く解析可能なMLPA(Multiplex ligation-dependent probe amplification)と次世代シークエンス解析を組合せた新規手法digital MLPA を開発している。網羅的にゲノム再構成を検出できるようにMM 用に改良し、digital MLPA とターゲットシーケンスによりMM の変異を捉えている。特に、予後良好と不良患者のゲノム変化を比較することで、早期診断マーカーや予後関連因子を探索することが目標である。同法を用いた腎細胞がんのCN解析では、患者予後悪化とCN変化数の増加には相関が見られ、1年内に転移が生じた予後不良患者由来の腫瘍でCDKN2A遺伝子に両アレル欠損が検出された。しかし、MMでは5年以上生存の予後良好者でもBAP1遺伝子周辺にCTLPが検出され、意外にも本領域のCTLPは予後と関連しないようだった。CDKN2A遺伝子の両アレル欠損頻度は予後不良者より低いものの検出され、CN変化の個人差が大きい。さらに解析検体数を増し、MM 患者の早期発見・再発モニタリングを実現可能な分子マーカーを同定し、目標を達成する。その過程でゲノム不安定性を誘発する標的分子が見つかれば、将来の治療法開発につなげる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MMは一層の中皮由来のため、早期では腫瘍細胞数が少ない、または肥厚部分に散在して存在するため腫瘍含量が低い。バイオプシーや外科摘出検体100検体以上解析したが、コピー数比0.2以上の変化を示したのは5割強で、腫瘍含量を増す工程が必要である。そこで、Formalin-Fixed Paraffin-Embedded(FFPE)検体からLaser Capture Microdissection (LCM)により腫瘍細胞を切出し、digitalMLPA解析を試みた。本解析は、塩濃度,ゲノム断片化の影響を受けやすく、比較対象として血液DNAを用いると見かけ上多くのCN変化が検出されたが、変化に連続性が乏しくfalse positiveと思われた。そこで、同一スライド切片上の腫瘍と非腫瘍(リンパ球集積領域や肺)を単離し、精製によるDNAロスを避けるため粗抽出DNAを用いてdigitalMLPA解析を実施することで、CN変化を捉えることが可能であった。今年度は17名の5年以上生存患者の解析を実施した。しかし、解析に必要なDNA量を確保するためには多大な時間と労力が必要でハイスループットとは言えない。そこでLCMによらない腫瘍細胞濃縮法を検討したところ、LCMと同様のCN変化の検出を確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のように、同一スライド切片上の腫瘍と非腫瘍の比較であれば、10年近く保存したFFPE検体でも再現良くCN変化が捉えられることを確認できた。今後予後不良検体も含め、FFPE解析検体数を増し、予後関連因子を同定する。 またMMで、塩基配列レベル変異の報告は少ないが、CN変化頻度の髙い領域に存在するX遺伝子に着目し、ノックアウトマウスの作製を実施している。本遺伝子は血液腫瘍でゲノム不安定性を誘発するという報告があることから、悪性中皮腫のCTLPの誘発に寄与していないか検証予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(10 results)