加齢性サルコペニアへの炎症性サイトカインの関与とTAK1阻害による治療法の開発
Project/Area Number |
21K07339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
遠藤 逸朗 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10432759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉橋 清衛 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任講師 (30567342)
安倍 正博 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (80263812)
金井 麻衣 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90836470)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 炎症性サイトカイン / 骨格筋萎縮 / サルコペニア / TAK1 |
Outline of Research at the Start |
サルコペニアの惹起・増悪に加齢に伴う慢性炎症が重要な役割を担う可能性に着目し、炎症性サイトカインシグナルがサルコペニアをもたらす機序の解明を図る。さらに、炎症性サイトカインの細胞内シグナル伝達に枢軸的な役割を果たすTAK1を治療ターゲットとして、サルコペニアの新たな治療法開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
TGF-beta activated kinase 1 (TAK1)阻害薬が複数の炎症性サイトカインの細胞内シグナル伝達を抑制して抗炎症作用を発揮するという背景に基づき、TAK1阻害が炎症性サイトカイン誘導性の筋障害を改善できるという仮説を検証した。SKG/JclマウスにTNF-alpha過剰状態を誘導したところ、関節炎スコアの上昇とともに下肢筋容積の減少が認められたが、これは、TAK1阻害薬;LLZの投与によりコントロールレベルまで回復した。昨年度の検討により、TNF-alpha過剰状態ではI型およびII型筋線維ともに萎縮がみられたが、I型/II型筋繊維の比率に変化は見られないことが明らかとなり、不動の影響はないと考えられ、炎症性サイトカイン誘導性の筋萎縮に矛盾しない所見であった。I型およびII型筋線維の萎縮は、いずれもLLZにより改善し、LLZの投与によりI型/II型筋繊維の比率に変化はみられなかった。マウス筋芽細胞株C2C12に対するTGF-beta and/or TNF-alpha投与はMyoD1 mRNA発現を低下させるとともにI型ミオシン重鎖(myh7)、II型ミオシン重鎖(myh1, myh4) mRNA発現を低下させたが、LLZはこれらの変化をいずれもレスキューした。Westernブロットによる検討では、C2C12に対するTNF-alphaあるいはTGF-beta投与はTAK1リン酸化およびその下流のp38、ERK、Smad 2・3のリン酸化を促進し、炎症性サイトカインによる細胞内シグナル活性化が示されたが、LLZはいずれもこれらの蛋白発現を低下させた。TAK1阻害薬;LLZはTAK1リン酸化を抑制を介して、炎症性サイトカインによる細胞内シグナルを阻害することにより、MyostatinおよびMyoD1などの発現改善効果を発揮し、炎症性サイトカイン誘導性の骨格筋障害を改善することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症性サイトカイン過剰動物モデルおよびin vitroの系において筋萎縮あるいは筋管細胞萎縮がみられ、この所見をTAK1阻害薬が改善できた。この機序として、TAK1阻害薬によるTAK1リン酸化の抑制の誘導、上昇したMyostatinの発現抑制と低下したMyoDの発現上昇、そしてMyoDの下流にある骨格筋蛋白のmRNA発現回復が起こっていることが示された。in vivoおよびin vitro両方の系でTAK1阻害薬が炎症性サイトカイン誘導性筋萎縮を改善できる可能性を示したことから、概ね順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
SKG/JclマウスにおいてTNF-alphaと同様に上昇することが報告されている炎症性サイトカイン;IL-1 betaについてもin vivoにおいてその発現を確認する。同時に、C2C12においてIL-1 beta添加による所見変化の評価をTNF-alpha, TGF-betaと同様に行い、myostatin, MyoD famlilyやミオシン重鎖mRNAの発現変化およびLLZによるレスキュー効果を確認する。さらに、骨格筋のdegradationの系であるAtrogin-1, MuRF-1などのE3 ligaseについても、TNF-alphaおよびIL-1 beta添加によりその発現が上昇し、LLZによりレスキューできるかどうかを確認する。 またこれら因子のmRNAの発現のみならず蛋白発現についても確認をし、論文化をすすめる。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)
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[Presentation] TAK1阻害による炎症性サイトカイン誘導性骨格筋障害の改善2023
Author(s)
金井麻衣,遠藤逸朗,大西幸代, Byambasuren Ganbaatar, 寺町順平,原倫世,瀬部真由,阪上浩,福本誠二,松本俊夫, 安倍正博
Organizer
第96回日本内分泌学会学術総会
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