膵島移植における免疫寛容誘導を目的とした細胞治療法の開発
Project/Area Number |
21K08635
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 正明 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (40789848)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 了一 北海道大学, 大学病院, 助教 (10645287)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | 膵島移植 / 免疫寛容 / 細胞治療 / 幹細胞移植 |
Outline of Research at the Start |
臨床臓器移植において免疫寛容状態を誘導する試みが、数多くで行われてきた。我々はレシピエントから臨床生体肝移植前に得られたリンパ球をドナー細胞と、抗CD80/CD86抗体存在下で共培養することで免疫抑制性細胞を作成し、肝移植後患者に輸注する臨床研究を行った。生体肝移植10例中7例で免疫抑制剤を完全に中止しても、長期間にわたり拒絶反応が認められない、免疫寛容状態を誘導し得るという結果を得た。本研究はこの免疫寛容誘導法を膵島移植に発展させることで、臓器不足と免疫抑制剤による弊害という大きな課題を、一気に乗り越えることができる革新的な治療戦略を目指す臨床試験、臨床応用に繋げるための基礎医学研究である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
有効な免疫抑制細胞の誘導法の確立 有効な免疫抑制細胞の誘導法の開発。 マウス脾細胞、抗CD80/CD86抗体、CTLA4-lg抗体を用いて、有効な細胞誘導条件を見出す。誘導細胞のphenotypeをFACSで検証し、ドナー抗原に対する免疫抑制効果を、MLRで検証し、 臨床膵島移植で応用可能な免疫抑制細胞誘導法を確立する。 誘導された免疫抑制細胞を膵島や、再生医療学的手法で誘導された細胞を、移植後の細胞傷害の主体であるマクロファージ(RAW 264.7cell)や、Kupffer細胞と共培養し、細胞傷害の指標となるHMGB1、マクロファージ・Kupffer細胞の活性変化(IL-6, IL-12, TNF-α産生)、炎症反応や細胞機能に関わる遺伝子を解析するとともに、免疫抑制細胞が移植膵島、炎症担当細胞へ与える影響を検討する。これまでの我々の研究に準じ、免疫抑制細胞を同種同系マウス膵島移植モデルのレシピエントに輸注し、移植後早期の膵島傷害に対する効果をin vivoで検討する。 細胞移植モデルを用いた免疫寛容誘導の検証 齧歯類膵島移植モデルにおいて、免疫寛容誘導を検証する。 誘導された免疫抑制細胞をマウスアロ膵島移植レシピエントに輸注し、移植膵島の生着期間延長効果を検証する。移植部位(肝臓)の炎症状態を、炎症サイトカイン発現(PCR)で検討し、さらにレシピエントの脾臓細胞を用いてMLR、IFN-g ELISPOT assayにて免疫抑制効果を検証する。 大動物膵島移植モデルにおける免疫抑制細胞の有効な投与方法の検証 臨床膵島移植は肝臓内移植が基本であるが、皮膚下、腎臓皮膜内など、他部位への移植も想定される。誘導された免疫抑制細胞の適切な投与方法、投与経路を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有効な免疫抑制細胞の誘導法の確立 これまでの臨床試験で用いた方法に準じ、既にマウス脾細胞やリンパ球を用いた基礎的研究を開始している。これらの結果をさらに発展させ、マウス脾細胞、ヒト末梢血単核細胞(PBMCs)、抗CD80/CD86抗体、CTLA4-lg抗体を用いて、有効な細胞誘導条件を見出すべく研究を進めてきた。これまで、マウスの脾臓細胞を用いて免疫調整細胞の誘導条件は確立することができ、さらに、誘導細胞のphenotypeをFACSで検証し、ドナー抗原に対する免疫抑制効果を、MLRで検証し、確認することができた。誘導細胞はドナー抗原特異的な免疫抑制効果を有することを確認した。現在、どの細胞群が免疫抑制効果を有するのかの検証を行うとともに、マウス膵島移植モデルを用いて、その免疫抑制効果を検討中である。 臨床膵島移植で応用可能な免疫抑制細胞誘導法を確立する。 誘導された免疫抑制細胞を膵島や、再生医療学的手法で誘導された細胞を、移植後の細胞傷害の主体であるマクロファージ(RAW 264.7cell)や、Kupffer細胞と共培養し、細胞傷害の指標となる HMGB1、マクロファージ・Kupffer細胞の活性変化(IL-6, IL-12, TNF-α産生)、炎症反応や細胞機能に関わる遺伝子を解析するとともに、免疫抑制細胞が移植膵島、炎症担当細胞へ与える影響を検討する。 現在まで、免疫抑制細胞をRAWCellとともに培養することで、マクロファージの活性抑制効果があることを確認した。既に、免疫抑制細胞を同種同系マウス膵島移植モデルのレシピエントに輸注し、移植後早期の膵島傷害に対する効果をin vivoで検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞移植モデルを用いた免疫寛容誘導の検証。齧歯類膵島移植モデルにおいて、免疫寛容誘導を検証する。 誘導された免疫抑制細胞をマウスアロ膵島移植レシピエントに輸注し、移植膵島の生着期間延長効果を検証する。さらに再生医療学的に誘導された細胞の移植モデルでも同様の検証を行い、 臨床応用の可能性を検証する。移植部位(肝臓)の炎症状態を、炎症サイトカイン発現(PCR)で検討し、さらにレシピエントの脾臓細胞を用いてMLR、IFN-g ELISPOT assayにて免疫抑制効果を検証する。研究分担者後藤は、免疫寛容時の免疫状態の研究をこれまで数多く行っており、膵島移植後の免疫状態解析を中心に担当する。さらに、NFKB抑制、IRR刺激といった 治療法を併用することで、少ない移植膵島数での生着期間延長効果を検証する。 大動物膵島移植モデルにおける免疫抑制細胞の有効な投与方法の検証する。これまで我々が行なった臨床生体肝移植での臨床試験では、誘導された免疫抑制細胞は、静脈内投与された。一方、臨床膵島移植は肝臓内移植が基本であるが、皮膚下、腎臓皮膜内など、他部位への移植も想定される。今後に控える大動物膵島移植モデルによる検討を見据え、誘導された免疫抑制細胞の適切な投与方法、投与経路を、これまでの我々の報告を踏襲し、検討する。 大動物を用いた前臨床試験における検討準備。前臨床試験:カニクイザル細胞移植モデルにおいて、今後、免疫寛容の誘導を検証する。解明された方法で誘導された免疫抑制細胞を、これまでの我々の報告した方法を踏襲し、前臨床試験として、カニクイザルを用いた膵島移植モデルで検証することを想定している。本研究ではその前段階として、膵島の単離精製法の確立、および再生医療学的に誘導された細胞を移植し、前臨 床試験に備えるための基礎的DATAを得る。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)