Revisit a Redfield ratio as a reference value in marine bioactive element cycles
Project/Area Number |
21K12219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芳村 毅 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (20371536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 勲 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (00195455)
今井 圭理 北海道大学, 水産学部, 助教 (40725983)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | レッドフィールド比 / プランクトン / 有機物粒子 / サイズ分画 / 生元素 / 元素組成比 |
Outline of Research at the Start |
海洋の主たる基礎生産者である植物プランクトンによる炭素と栄養素の利用比率として,全海洋を平均的に示したレッドフィールド比(C:N:P:Si=106:16:1:16)が知られています。この値は気候予測のシミュレーションモデルにおいても使用される基準値です。しかし,実際には4元素を同時に分析した実測データは十分ではありません。また,この値は多様なサイズのプランクトン群集をひとまとめで示した値です。海洋環境が変わりつつある中で,固定値であるレッドフィールド比を使い続けることは,将来の海洋物質循環および気候を予測するうえで不十分です。サイズ別の元素組成比を実測することで,この課題を解決します。
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Outline of Annual Research Achievements |
海洋によるCO2の吸収・固定量は植物プランクトンによる炭素と栄養素の利用比率によって変化します。その比率としてレッドフィールド比が良く知られており,気候変化を予測する生態系モデルにおいて固定値として使われていますが,実測データの蓄積は十分ではありません。また,プランクトン群集はサイズの異なる多くの種で形成されますが,それらをひとまとめにしたバルクとしての比率しか議論されてきませんでした。将来の海洋環境の変化によりプランクトン群集組成が変化すると予測されていますが,その変化が生態系に与える影響を評価できません。そこで,本研究は有機物粒子のサイズ分画手法を確立したうえで,各サイズ画分の主要4元素組成比(炭素:窒素:リン:ケイ素)に関するデータを取得します。 研究一年目に海水中の有機物粒子をサイズ毎に分画するための手法として「限外ろ過方式」と「逐次ろ過方式」を検討し,「逐次ろ過方式」が適していることを明らかにしました。研究二年目の2022年度には,本手法を北海道サロマ湖の海水サンプルに適用したところ,有機物粒子の主要4元素組成比が粒子サイズにより大きく異なることが確認できました。これらの分析を進める過程において,サイズ分画にナイロンネットフィルターを用いると炭素,窒素,リンの深刻な汚染が発生すること,ポリカーボネート製メンブレンフィルターはメーカーやロット毎に炭素,窒素のブランク値の変動が大きいことが判明しました。今後はフィルターブランク値を慎重に評価しながら,高精度化学分析を進め,実海域のサイズ別有機物粒子の主要4元素組成比が海域や季節によりどのように変化するかを解明します。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究一年目である2021年度は海水中の有機物粒子をサイズ毎に分画するための手法として「限外ろ過方式」と「逐次ろ過方式」を検討しました。その結果,限外ろ過方式はサイズ分画手法として不適当であることが明らかとなり,逐次ろ過方式を採用することとしました。研究二年目である2022年度はサロマ湖において6月および9月にフィールド調査を行い,逐次ろ過方式を用いての海水サンプル中の有機物粒子をサイズ分画し,主要4元素組成比を測定しました。コロナ感染症拡大の影響で理化学製品の入手が困難なものがあり,サイズ分画に用いる孔径20 umポリカーボネート製メンブレンフィルターをナイロンネットフィルターで代替する措置を取りました。しかし,ナイロンネットフィルターはフィルター自体が炭素,窒素,リンの深刻な汚染源となることが明らかとなり,20 um以上の大型粒子の元素組成データを得られないこととなりました。そこで9月は,手元にあった孔径10 umポリカーボネート製メンブレンフィルターを用いてサイズ分画することで,3サイズ画分の元素組成比を明らかにできました。ただし,データ取得を重ねることで,ポリカーボネート製メンブレンフィルターの炭素および窒素のブランク値がロット毎にかなり変化することが判明しました。研究三年目では,複数メーカーのフィルターを比較することを含めて,製品ロット毎のブランク値を慎重に確認しつつ,フィールドデータを蓄積することを目指します。
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Strategy for Future Research Activity |
研究二年目である2022年度には,一年目に確立した有機物粒子のサイズ分画手法をサロマ湖の海水サンプルに適用し,有機物粒子の主要4元素組成比が粒子サイズにより大きく異なることが確認できました。三年目となる2023年度には,複数の海域の海水試料を用いて,有機物粒子のサイズ別での元素組成比を測定し,海域や季節による元素組成比の変化を把握します。まず,これまでバルクでの有機物粒子の元素組成データが蓄積されているサロマ湖において,サイズ別元素組成比データをさらに蓄積します。また,プランクトン量の季節的な変化が顕著である厚岸湾においても試料を採取します。厚岸湾では,北海道大学厚岸臨海実験所の伊佐田准教授がプランクトン組成に関するデータを取得していることから,我々のサイズ分画有機物粒子のデータと合わせて検討することで,化学データと生物データの融合が期待できます。これらの現場データの取得に先立ち,ポリカーボネート製メンブレンフィルターの製品ロット毎の炭素,窒素,リン,ケイ素ブランク値を慎重に評価し,現場サンプルへの適用を進めます。これらのデータは過去に発表されたことのないものであり,高精度化学分析により価値あるデータを創出していきます。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)