CNP3及びOSTNの臨界期制御における役割の解明
Project/Area Number |
21K12616
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90030:Cognitive science-related
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中森 智啓 北里大学, 一般教育部, 講師 (50725348)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 刷込み行動 / 神経可塑性 / 幼少期学習 / ナトリウム利尿ペプチド / オステオクリン / 臨界期の制御 / 学習 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、成立可能な時期(臨界期)が限定されている鳥類の刷込み行動を学習モデルとして用い、ナトリウム利尿ペプチドのCNP3及びオステオクリン(OSTN)の、臨界期制御や刷込み学習の成立過程や記憶の固定段階における役割を調べ、幼若期における神経可塑性の新たな神経基盤の発見を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、成立可能な時期(臨界期)が限定されている鳥類の刷込み行動を学習モデルとして用い、ナトリウム利尿ペプチドのCNP3及びオステオクリン(OSTN)の臨界期制御における役割を調べ、幼若期における神経可塑性の新たな神経基盤の発見を目標としている。今年度は、OSTNの受容体であると思われるナトリウム利尿ペプチド受容体3(NPR3)に着目し、その機能を解析した。哺乳類の骨や筋肉においてはOSTNはNPR3に結合し、その機能を発揮することが知られているが、脳神経細胞や鳥類においてOSTNの受容体は明らかになっていなかった。そこで、OSTNにAP(アルカリホスファターゼ)を融合させたタンパク質を作成し、NPR3を発現させたHEK293細胞との反応を確認したところ、OSTNはNPR3発現細胞に受容されることが分かった。また、細胞内のcAMP活性を蛍光によって解析可能なタンパク質(Pink Flamindo)を使用し、NPR3発現細胞においてOSTNの働きを調べた。その結果、OSTNが受容体NPR3に結合した場合、細胞内のcAMP活性が一時的に低下することが分かった。 さらに、NPR3の生体における機能を調べるために、終脳に発現しているNPR3をRNAi法によりノックダウンさせた個体を作成し、刷込み行動への影響及び、OSTNの機能として明らかになっていた神経突起の伸長の抑制への影響を調べた。NPR3ノックダウン個体では、刷込み学習で獲得した記憶が長い期間保持できないことが分かり、また神経突起の伸長の抑制も起こらないことが分かった。一部の研究に研究協力者の内田彩水香が参加し、学会発表等を行った。 以上から、OSTNはNPR3を介し神経突起の伸長をコントロールすることで、記憶の保持を促進する働きがあることが示唆された。本研究の結果をまとめた学術論文の投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、鳥類の刷込み行動を学習モデルとして用い、CNP3及びOSTNの臨界期制御における役割を調べ、幼若期における神経可塑性の新たな神経基盤の発見を目指している。そのために、まず臨界期中に発現が高いCNP3及び臨界期の終了時以降に発現が高いOSTNが臨界期の開始・終了時期を制御しているのかを行動学的に解析した。CNP3を学習前に脳内に投与した場合、刷込み学習に必要な時間が短縮された。CNP3発現細胞の近傍にはCNP3の受容体であるナトリウム利尿ペプチド(NPR)1および2を発現する細胞が存在し、CNP3は受容体を介し環状グアノシン-リン酸(cGMP)を活性化させることで、複数のプロテインキナーゼ活性を調節し、細胞の活動性を変化させていると考えられる。また、OSTNを学習成立後に脳内へ投与した場合、獲得された記憶の保持期間が延長されることや、受容体の発現を阻害した場合、刷込みの獲得が起こったとしても記憶の固定化が起こらないことが分かった。さらに、神経細胞の形態的な変化におけるOSTNの働きを詳細に調べた結果、幼若期の脳においてOSTNが神経突起の分岐を抑制する役割を持つことが分かり、記憶獲得後の神経突起の分岐の抑制がその後の記憶固定の過程および記憶の長期保持に重要な働きを持つことが分かった。この働きの細胞内メカニズムを解析したところ、OSTNは受容体NPR3を介し、細胞内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)の活性を低下させていた。これらのことから、CNP3は臨界期の開始・維持に、OSTNは記憶の保持に、それぞれ関与していることが示唆された。 以上の内容をまとめた学術論文を投稿(1本は発表済み)し、また研究学会等での発表も行なった。そのため、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在投稿中の論文の査読結果から、追加実験等を行い論文を完成させる。今後の展開としては、OSTNの受容体であるNPR3は異なる細胞内ドメインを持つ複数のサブタイプが存在するため、これらの機能を明らかにすることが重要であると考えられる。これまで解析を行ったサブタイプは、cAMPの活性調節ドメインをもつタイプのものに限定していたが、ニワトリ雛の脳内においては、cAMP活性調節機構を持たないものも発現している。それぞれのサブタイプの神経突起の変化における働きを調べ、どの細胞内ドメインが記憶の固定化に重要な働きを持っているかを特定することが今後の主な方針である。さらに、cAMP活性の調節と神経突起の伸長抑制を直接的に結び付けるメカニズムは未だ解明されておらず、その点にも注目して解析を行っていく予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Presence of sibling during the learning phase of imprinting affects escape behavior from a new object in chicks.2023
Author(s)
Chiba, Y., Tsuchida, K., Maekawa, F., Nakamori, T., Inaoka, H. and Ohki-Hamazaki, H.
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Journal Title
Neurosci. Res.
Volume: 190
Pages: 60-66
DOI
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Peer Reviewed
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