A new phenomenological approach to religious space: The logos of Amida faith in Kyushu
Project/Area Number |
21K12850
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Kyoto Women's University (2022) Ryukoku University (2021) |
Principal Investigator |
リュウシュ マルクス 京都女子大学, 文学部, 講師 (40881488)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 九州 / 阿弥陀信仰 / 山岳信仰 / 民間信仰 / 神仏習合 / 巡礼 / 現象学 / アドルノ / 長崎 / 佐賀 / 宗教空間 / 空間論的転回 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、九州の空間が表現する阿弥陀信仰に注目する。研究代表者は、空間が宗教にとって物理的な場を与える意味での補助的な研究対象にとどまらない、宗教を表現し創造する独自の機能を有するものだと考える。 その空間分析の目的は、空間をとおしてこれまで対立する傾向にあった文献学と民俗学とを融合させ、前者の普遍性と後者の具体性との両方の長所を活かし、学際的な阿弥陀信仰理解を提示することである。 具体的には、フィールドワークをとおして現地の空間とそれにまつわる宗教行為とともに特定の宗派を超えた阿弥陀に関する教義書を分析し、九州独自の阿弥陀空間を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、フィールドワークによる資料収集を中心に研究課題を進めた。4回に亘り大分県・宮崎県・鹿児島県・福岡県にて調査を行った。大分県の調査は、4つの地域に絞った。1つ目は宇佐神宮である。本神宮は廃仏毀釈により仏教的な要素が大幅に消されたが、神仏習合の伝統を新たな形で継承するところが多いため、阿弥陀信仰の重要な側面である。2つ目は、天台宗の代表な拠点であった六郷満山である。近世までの状況と比べ、寺院ネットワークが衰弱したといえるが、富貴寺を初め現在も多数の寺院が国東半島の宗教的風土を形成しており、それについて詳しく調査した。3つ目は、空間的構造が他の事例と大きく異なる霊山寺(大分市)である。4つ目は、臼杵の磨崖仏である。宮崎県では、延岡市の今山大師にて調査を行い、宮崎市では西本願寺別院と真栄寺を訪問した。もう一つの調査対象は都城市であった。当地は隠れ念仏関係の遺跡が多く、その関連で田島と蓼池のかくれ念仏洞と安楽寺を訪れ、最後に都城歴史資料館で史料収集した。鹿児島県では、清水磨崖仏群(南九州市)と鹿児島市内の念仏洞を中心に調査を行った。前者は、平安後期から明治時代まで掘られた摩崖仏群からなる宗教空間である。後者の関連では、西・東本願寺の別院を訪問し、花尾かくれ念仏洞と都迫の念仏かくれ窟の現地調査を行った。福岡県の主な調査対象は、久留米市にある善導寺と宗像市の宗像大社と鎮国寺と太宰府市にある六所宝塔跡であった。善導寺は、九州に建立された唯一の浄土宗大本山であり、空間的にも独自の浄土宗を展開してきた。宗像は主に神仏習合とその分離という関連で重要な調査地で、六所宝塔跡は最澄の空間的コンセプトを象徴するものとして本課題には欠かせない事例である。以上の調査で獲得した情報は、本課題の一次資料であり、その収集によって今後の論文執筆と資料公開にあたって必要となる土台を築くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属期間の変更の際に必要となる手続きによって生じた遅れに加え、コロナ感染症が相変わらず流行していた。そうした予期できなかった事由の他、お盆の時期には寺院が非常に訪れにくいため8月も見送らなければならず、最終的に現地調査の遂行が現実的になったのは本年度の後期であった。その時点で速やかにプロジェクトを進めたが、本年度の主な実施内容は、資料収集であった。それは本年度の主な目標ではあったが、図面作成依頼および動画公開が間に合わなかった。したがって、進捗状況は「やや遅れている」と判断する。しかしその反面、予想以上に進む点もあり、今後の成果発表に向けて十分なデータ獲得ができた。次年度は、論文に加え、アプリと動画による研究成果公開を直ちに用意できる。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールドワークは基本的に完了したため、次年度は、データを分析し、成果公開に注目する。 やむをえず動画シリーズの開始は遅れたので、次年度の夏に公開を予定しており、動画の言語は日本語にし、英語とドイツ語の字幕をつける。その動画シリーズは、当初計画していた講演集の代わりに作成する。シリーズの各回の内容は次のとおりである:概説、特定の国に注目した回(「肥前」など、全9回)、国境の横断的テーマ(「山岳」など、全4回)、まとめと結論。 図面作成依頼は、境内のみではなく、広範囲の地図も作成し、それをもとに「宗教空間」の新たな定義を考察し、次年度に提示する予定である。そして当初、研究計画書になかったUnityによる3Dモデルを作成し、研究成果の新たな公開方法を試み、次年度には公開する予定である。 次年度は現時点で、国際学会での発表1つおよび国内講演1つを予定しており、基本的には論文執筆に注目する。また本プロジェクトの成果を包括的にまとめる学術出版物の草稿は、次年度内に仕上げる予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)