Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
アーニー・パイル劇場は、占領下の連合軍専用慰安施設であり日本人の立ち入りが禁じられていた。そのため日本演劇史の研究対象から除外され、内実は明らかにされてこなかった。しかし近年、劇場の総監督であった舞踊家・伊藤道郎と旧東京宝塚劇場の日本人製作関係者が協働で作り上げた上演作品の内容が、徐々に明らかになってきた。本研究では、日本、東南アジア、南米、北米の風俗と民族舞踊を題材とし、各文化のイメージを客体化することで象徴的に舞台の上に「展示」するという伊藤道郎の演出戦略を考察する。これにより、戦後の伊藤道郎の舞踊創作活動を再評価し、新たに演劇史・舞踊史に位置づける。