犯罪映画の快楽:大衆娯楽映画としての戦後犯罪映画の製作と鑑賞に関する総合的研究
Project/Area Number |
21K12904
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
ク ミナ 明治学院大学, 文学部, 研究員 (90868978)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 犯罪映画 / 在日朝鮮人 / 反共主義 / 他者 / 木下惠介 / 映画音楽 / 作家主義 / 映画における意味作用 / 松本清張 / アダプテーション / 井手雅人 / サスペンス / 顔 / 点と線 / パク・チャヌク / 復讐三部作 / ジャンル映画 / 東映 / 文学作品の映画化 / スリラー / 映画産業 / 映画研究 |
Outline of Research at the Start |
1939年の映画法制定により上映が禁止された犯罪映画は、敗戦後、様々な産業的・社会的・文化的事象に関わりながら製作され、プログラム・ピクチャーを支える大きな柱となったのだが、犯罪映画に関する総合的な研究は行われてこなかった。本研究では、敗戦直後から1960年前後までの犯罪映画を取り上げ、戦後日本の犯罪映画に見られる四つの様相に着目し、いわゆるエンタテインメント系のジャンル映画として犯罪映画が与えた映画的快楽を多角的に考察する。戦後日本の新しい時間性および空間性を象徴する様々な事象との関連で犯罪映画の製作と享受を検討ことで、犯罪映画の意味を映画史および戦後史の文脈に新たに位置づけることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本映像学会大会で1960年代の韓国映画における在日朝鮮人の表象について発表を行った。在日のキャラクターは1960年代半ばから韓国映画に本格的に現れ、韓国と北朝鮮の境界線上を危うく行き来する犯罪組織の一員として映画に登場する場合が多かった。これは韓国映画において在日の表象が反共主義のフィルターを通して形成されたことを示唆する。このようにステレオタイプ化された在日のキャラクターが1960年代に登場した理由を探るべく、まず当時の言説から韓国社会が冷戦の産物として南北の間に設置された境界線の暴力性を内面化していく様子を浮かび上がらせた。そうすることで、国民と民族の境界を画定する国民国家の境界線の存在が在日のステレオタイプが形成されるのに大きな影響を与えたことを明らかにした。そのうえで在日の「越境」に焦点を当てて映画分析を行うことで、祖国としての北朝鮮の正統性を否定し、韓国の閉鎖的な国民国家システムの自己完結性を強化するために在日の表象が映画に用いられたことを解明した。 日本映像学会の機関紙『映像学』には「木下惠介の映画における恋する男と音楽――『お嬢さん乾杯』(1949)と『遠い雲』(1955)を中心に」という査読論文を掲載した。本論文は以上の2作品のなかに複数の音楽が重なって不協和音を生み出すシーンがあること、また両作品とも「石津圭三」という名の男性が主人公として登場し、両作品の間にプロット上の連続性が見出せることなどに着目し、両作品を貫通するモチーフと映画音楽の関係性を分析したものである。本論文は音楽の過剰性を手がかりに、映画音楽が物語叙述の行う表面的な意味づけに吸収されない痕跡を残しうる可能性を明らかにしており、本論文で用いた分析方法は物語内容を伝達する意味作用の観点からは余分なものに見える犯罪映画ならではのサスペンスを映画音楽の観点から検討する際に応用できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定だった文学作品のアダプテーションに関して研究論文を発表することはできなかったが、上記の通り学会での研究発表と査読論文の実績を出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には上記の学会大会での発表内容をもとに研究論文を発表する予定である。犯罪映画に登場する他者(在日)の表象が朝鮮戦争後の韓国社会の分断と分裂の歴史を縫合し、社会統合に対する欲望を想像的に実現するうえでいかに働いたかを解明することが本論文の目標である。それと同時に1950年代半ば以降に製作された日本の犯罪ものに関する研究にも再び取り組む。これまでは1950年代半ば以降に製作されたクイズ形式の犯罪もの(映画、テレビ、ラジオ)をジャンル論的な観点から分析してきたが行き詰まりを感じたため、メディア横断的に見出せる「拡大」という特性に焦点を当て、マーシャル・マクルーハンをはじめとするメディア論を導入して分析する可能性を探るべく調査を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)