Project/Area Number |
21K12958
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Doshisha University (2022-2023) Ritsumeikan University (2021) |
Principal Investigator |
諏訪 暁 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 助教 (20876809)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | ネオ・ヴィクトリアン文学 / ヘテロトピア / ジェンダー / セクシュアリティ / クイア |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台とする現代歴史小説であるネオ・ヴィクトリアン小説において、女性のジェンダーとセクシュアリティがどのように描かれているかをミシェル・フーコーの論じる「ヘテロトピア」との関連から検証する。 現実に存在しながらもその現実を構成している社会規範に抵抗する可能性を持つ「ヘテロトピア」が女性作家によって書かれたネオ・ヴィクトリアン小説内でどのように描かれ、ヘテロトピア的空間を通して女性がどのように新たなジェンダー・セクシュアリティの規範を模索しているかを読み取ることで、ネオ・ヴィクトリアン小説の特殊な時間性、空間性によって生み出される効果について明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、前年度までの研究結果に基づき、ネオ・ヴィクトリアン文学におけるヘテロトピアの概念の有用性、ネオ・ヴィクトリアニズムの文化的な意義について検証を試みることを目的とした。令和4年度にサラ・モスの小説Signs for Lost Children(2015)における精神疾患を持つ女性向けの保護施設がヘテロトピアとして機能していることを日本ヴィクトリア朝文化研究学会で研究成果として発表したが、先生方からいただいたフィードバックをもとに内容を発展させ、主人公アリーと並行して描かれる夫トムが灯台技師として日本に滞在している間に訪れるヘテロトピア的空間についても考察した。特に、江戸後期から明治にかけて日本全国にあったとされる「迷子しるべ石」の描写は、現実と虚構というふたつの空間をつなぐ役割を果たしており、アリーとトムの合わせ鏡のような関係を象徴的に表現するものであると論じた(モスの小説のタイトルSigns for Lost Childrenはこの迷子しるべ石を説明した言葉である)。2023年9月にイギリス・サリー大学で開催されたBritish Association for Victorian Studies Annual Conferenceにおいてこの研究成果を発表した。また、サラ・ウォーターズの小説Tipping the Velvet(1998)の舞台版(2015)において、19世紀のミュージック・ホールの支配人という役柄でありながら観客に直接語りかけ、物語に積極的に介入するThe Chairmanの役割に注目し、舞台が上演される劇場そのものがヘテロトピア的空間として作用していることについても考察し、2023年10月にスペイン・バレンシア大学で開催された学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度中に研究成果発表の内容に基づいて論文を完成させる予定であったが、執筆が遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の期間までは当初令和5年度までの予定であったが、前述のとおり研究成果を論文として投稿することがまだできていない。そのため、令和6年度まで研究期間を延長し、論文の執筆に取り組む。ネオ・ヴィクトリアニズムに関する論文が多数出版されている学術雑誌への投稿をめざしている。
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