Empirical Study of Russian and Soviet Representation in Modern Japanese Literature: From the Viewpoint of Media and Publication
Project/Area Number |
21K12969
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02050:Literature in general-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松枝 佳奈 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (60870061)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 比較文学 / 比較文化 / 日本近現代文学 / ロシア認識 / ロシア表象 / 日露文化交流史 |
Outline of Research at the Start |
日本近現代文学の諸作品に表れたロシア・ソ連認識およびその表象を、比較文学・比較文化史的観点から実証的に分析する。小説や詩のみならず、新聞や雑誌、書籍に掲載された文学者たちのロシア・ソ連関係の評論や随筆も重要な分析対象とする。日露および日ソの二国間の政治・社会・文化関係を背景に、文学界とジャーナリズム界、出版界を横断してロシアとソ連を表象し、論じた文学者たちの活動を包括的に考察する。それにより、特に文学者の政治・文化面でのロシア・ソ連に対する憧憬や、日露・日ソ関係の展望への期待、同時代の日本の政治や社会の状況に対する批判的な態度が解明される見通しである。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度も、令和3年度に引き続き、日本近現代文学の諸作品や関連する諸媒体に表れたロシア・ソ連認識およびその表象を、比較文学・比較文化史的観点から実証的に分析した。 第一に、明治末期から大正期までの文学者のロシア認識やロシア文学・文化の受容を、新たな対象を追加したうえで、複数回にわたる資料調査を実施しながら考察した。第二に、日露戦争期の日本とロシアの総合雑誌における相互認識および相互イメージの実態と変化について、過去の調査結果にくわえて新たな資料調査を行い、詳細に分析した。第三に、日本の現代文化の一ジャンルである漫画に表れた日露戦争期とその前後のロシア認識およびロシア表象の研究に着手した。 上記一点目については、東北大学附属図書館所蔵漱石文庫における夏目漱石旧蔵書を調査し、漱石が読んだロシア文学関連書籍の包括的な調査を実施した。特に漱石がそれらに施した書き入れや線引きなどに注目し、特に漱石がイギリスのロシア文学概説書やロシア文学評論の英訳を読んでロシア文学の知識や情報を得るなど、20世紀初頭の英語圏でのロシア文学受容やロシア文学研究の影響を強く受けていることを裏付けた。上記二点目については、昨年度の総合雑誌『太陽』におけるロシア認識の研究成果を踏まえ、同時代のロシアの挿絵入り大衆雑誌における日本認識と比較しながら、戦争の進展にしたがって、強い敵対心が少しずつ薄れ、相手国の兵士との交流や、双方の社会状況や文化の事情などの報道や紹介が増えているという共通点があることを明らかにした。上記三点目については、野田サトルの漫画『ゴールデンカムイ』の登場人物を分析することで、それらのモデルとなった人物を見出し、現代日本におけるロシア理解や日露文化交流の促進に寄与する可能性を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は研究成果の公表が着実にできており、当初の計画以上に進展していると考える。まず令和3年度の森鴎外と『椋鳥通信』におけるロシア認識の研究を査読付き論文として発表することができた。つぎに夏目漱石のロシア文学受容の研究についても国際学会で口頭発表を行い、査読付きプロシーディングスとして投稿し、雑誌寄稿論文も執筆しており、掲載許可を待つ状況である。さらに日露戦争期の日本とロシアの総合雑誌における相互認識および相互イメージの実態と変化の研究は、査読付き投稿論文として発表することができた。そして漫画に表れた日露戦争期とその前後のロシア認識およびロシア表象の研究は研究会における招待講演として口頭発表しており、令和5年度に査読付き英語論文として公表する予定である。なお当初、昨年度の計画に入れていた東京大学附属総合図書館鴎外文庫での一次資料の調査も今年度実施することができ、来年度に成果発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
夏目漱石のロシア文学受容の研究は令和5年度も継続し、同時代のイギリスや英語圏におけるロシア文学受容やロシア文学研究との関係を視野に入れた査読付き投稿論文を執筆する。漫画に表れた日露戦争期とその前後のロシア認識およびロシア表象の研究も、令和5年度に査読付き英語論文として公表する。東京大学附属総合図書館鴎外文庫での一次資料の調査と分析の成果についても口頭発表ないしは論文執筆に着手する。当初の研究計画から変更し追加した研究課題として、令和4年度から調査に着手していた小説家の夢野久作 (1889-1936)の小説と著述物に表れたロシア認識とロシア表象の分析を継続し、査読付論文を投稿する予定である。また令和5年度の国際学会で、第二次世界大戦後の日本の作家によるドストエフスキー受容について口頭発表を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)