Fukuoka and Kurume POW Camps in World History: Constructing the Glocal History of German Soldiers
Project/Area Number |
21K13086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今井 宏昌 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (00790669)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | ドイツ兵俘虜収容所 / 軍事史 / グローカル・ヒストリー / 日独関係史 / 福岡 / 久留米 / 捕虜 / 第一次世界大戦 / 世界史 / 地域史 / グローバル・ヒストリー / 帝国主義 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、第一次世界大戦(1914-1918)からその直後にかけて、福岡県福岡市と久留米市に設立されたドイツ兵俘虜収容所の世界を、グローバル・ヒストリーとローカル・ヒストリーの接合を目指す「グローカル・ヒストリー」の観点から再考するものである。具体的には、ドイツ兵俘虜を「越境者」と位置づけ、①彼らのドイツ本国や東アジアでの経験、ならびにそれらにもとづくドイツ・ナショナリズムや「文明国」意識が収容所内でどのように発揮されたか、②その動きに日本軍や地域社会がどのように対応したか、③そうした過程で蓄積された収容所での経験が、解放後のドイツ兵や地域社会にどのような影響をもたらしたのか、を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第一次世界大戦(1914-1918)からその直後にかけて、福岡県福岡市と久留米市に設立されたドイツ兵俘虜収容所を、グローバル・ヒストリーとローカル・ヒストリーの接合を目指す「グローカル・ヒストリー」の観点から再考することにある。具体的には、ドイツ兵俘虜を「越境者」と位置づけることで、①彼らのドイツ本国や東アジアでの経験、ならびにそれらにもとづくドイツ・ナショナリズムや「文明国」意識が収容所内でどのように発揮されたか、②その動きに日本軍や地域社会がどのように対応したか、③そうした過程で蓄積された収容所での経験が、解放後のドイツ兵や地域社会にどのような影響をもたらしたのか、を明らかにする。 2022年度は日本国内での調査のほか、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が落ち着いてきたことを踏まえ、年末に滑り込みでドイツでの調査をおこなうことができた。具体的には、俘虜収容所が建設された福岡市、熊本市、徳島市、鳴門市、松山市、大阪市、また旧外国人居留地のあった神戸市、そして俘虜の個人史料が所蔵されるヘッセン州立ダルムシュタット文書館(Hessisches Staatsarchiv Darmstadt)にて、史料・文献の閲覧、記念碑の訪問、現地研究者との面談をおこなった。また国立公文書館(https://www.digital.archives.go.jp/)、国立国会図書館(https://dl.ndl.go.jp/)、ドイツ連邦文書館(https://invenio.bundesarchiv.de/invenio/)など、史料・文献のデジタル公開が急速に勧めている各種データベースを駆使し、戦前の日独関係史料の調査・収集をおこなったほか、世界史やグローバル・ヒストリーに関する共訳書刊行、研究報告、書評執筆、シンポジウムのオーガナイズなどをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響は依然として大きかったものの、制限が徐々に緩和されるのにともない、国内の俘虜収容所跡地での調査のほか、ドイツでの調査もかろうじて年度末におこなうことができた。 その中でも最大の成果といえるのが、プロイセン王国ポーゼン(現ポーランド領ポズナニ)出身で、第三海兵大隊第三中隊所属の二等兵、タデウス・ヘルトレ(Thaddaeus Haertle)に関する研究の進展である。徳島県立文書館に所蔵される寺岡家文書の中に、通常の収容所から「分置」された「特殊俘虜」に関する記述があることは、これまでの研究でも知られていた。今回、同文書に収録された警備警察官出張所『板東俘虜収容所沿革史』(1920年/大正9年)を分析することにより、①ヘルトレが他のポーランド系俘虜と比べても、圧倒的な「トラブルメーカー」であったこと、②「分置」後も、今度はヘルトレを中心とした「特殊俘虜」同士の「不和」が表面化し、乱闘まで生じたことが明らかとなった。これらの事実は、ヘルトレがドイツ兵にとっても日本官憲にとっても、そして「特殊俘虜」仲間にとっても厄介な存在であり、彼の言動を「ポーランド系」という「ナショナリティ」でのみ説明することの困難さを明らかにしている。以上の成果については、「ドイツ兵と「特殊俘虜」―第一次世界大戦期日本の俘虜収容所における「箱庭の民族問題」― 」というタイトルのもと、ドイツ現代史研究会にて報告をおこなった。 また、ドイツ連邦文書館所蔵の俘虜関係文書(R 67)、帝国海軍省関係文書(RM 3)が2022年度中にデジタル公開されたことにともない、課題であった俘虜収容所に関するドイツ側公文書の網羅的・集解的把握が可能となり、日本側公文書との照合がきわめて容易となったことも、大きな前進であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行するうえで重要な史料としては、福岡・久留米俘虜収容所に関する日本軍内部の各種通達・報告や、収容所の様子を報じた地元紙に加え、ドイツ兵俘虜の主観を反映したエゴ・ドキュメントが重要となる。 ドイツ各地の文書館に所蔵されるこの手の史料は、すでにかなりの部分がデジタル公開されており、今後はそれらを日独双方の研究者ネットワークを通じて読解する作業が不可欠である。2023年度はそのための方策として、ドイツ本国で個人宅所蔵のドイツ兵俘虜史料の調査をおこなっているハイデルベルク大学のメルバー・琢磨博士を日本に招聘し、日独共同のデジタルアーカイブの立ち上げとシンポジウムの開催を予定している。 また、まだデジタル化されていない史料の調査のため、継続的にドイツ出張をおこなうほか、長期出張が難しい時期には、久留米文化財収蔵館を定期的に訪問し、そこに保管される史料の調査に務める。
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Report
(2 results)
Research Products
(23 results)