Project/Area Number |
21K13090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 晃弘 東京大学, 史料編纂所, 助教 (10719272)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 寺社政策 / 近世仏教教団 / 真宗統制 / 熊本藩 / 仁和寺 / 日本近世史 / 寺社奉行 / 本山・江戸触頭 / 寺院史料 / 藩政史料 / 大名家史料 |
Outline of Research at the Start |
近世の政治権力と仏教教団は、中世以前とは異なる新たな関係を形成する。本研究では、その過程を政治史的な背景を踏まえて明らかにする。近世的な特徴の一つは、教団組織と寺社行政機構の組織的な関係にある。仏教教団においては、本山に加え、江戸触頭が置かれ、本末関係や行政的な支配系統による全国的な体制が成立する。政治権力の側では、寺社奉行を中心とする体制が構築される。その過程で両者間の交渉経路が確立し、双方の管轄範囲も確定していく。 上記の特質を解明するため、成立期である近世前期(おおよそ17世紀)を分析する。検討においては、仏教教団の全国的な体制を捉えるため、特に江戸触頭関係史料と藩の寺院行政に着目する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の実績について、(1)幕府と仏教教団の間における組織的関係の形成、(2)藩の寺院行政を組み込んだ分析の2つの面から概要を示すと以下のとおりである。 (1)については、仏教教団側の実態を明らかにすべく、本山・中本山寺院の史料の調査を行った。本課題の経費を用いた現地調査としては薬師寺・泉涌寺・西尾市岩瀬文庫があり、この他に東京大学史料編纂所の写真帳・デジタル画像を用いて、仁和寺・西大寺・金地院の史料の分析を進めた。このうち、仁和寺所蔵史料を用いて、同寺の近世前期の僧である一音坊顕證の日記の概要を明らかにする研究をまとめた。これは真言宗の教団組織、幕藩領主との関係を検討するうえで有益な史料である。 (2)については、熊本藩と浄土真宗との関係を中心に調査・研究を行った。熊本藩領の関連史料の調査として、宇土市うと学資料室、西宗寺、熊本大学附属図書館、熊本県博物館ネットワークセンター、熊本県立図書館、関連寺院の所在地である堺市中央図書館などに赴き、原本・複製資料の調査を行った。それに加えて、他地域との比較を行うべく、久留米市立中央図書館、佐賀県立図書館、都城島津邸などにおいて九州の近隣諸藩の史料を調査し、また、藩と浄土真宗の研究に蓄積がある加越能地域にても史料調査を行った。以上の調査をもとに、2022年11月の第72回佛教史学会学術大会において、「近世前期における熊本藩の真宗統制」と題した報告を行い、これまで同時代史料による研究が十分になされてこなかった加藤氏の段階における真宗統制の実態と、それが細川氏に継承されるあり様を明らかにした。 なお、上記の調査史料のうちの一部はデジタル撮影を行い、許可を得たものに関しては、所属先の東京大学史料編纂所図書室にて研究を目的とする利用者を対象に公開を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、前年度に新型コロナウイルス感染症の影響で実施を見送った史料調査を積極的に進めた。それにより、当初想定していた以上の重要な史料を見出すことができた。調査成果の一部を踏まえ、論文1件をまとめ、学会報告1件を行った。これ以外の2021年度以降に取り組んできた調査・研究成果についても原稿化を進めており、2023年度以降に公表できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
引きつづき教団組織側の史料の調査と分析を進め、それをもとに、幕府・藩との組織的関係のあり方を明らかにしていく。2022年度までの調査により、未紹介の重要な史料を複数把握し得たことから、それらを軸としつつ、関連史料の調査を行ったうえで、論文や史料紹介のかたちで成果をまとめ、学術雑誌等に投稿する。 藩政史料を用いた分析については、2022年11月の佛教史学会学術大会の報告内容を論文のかたちでまとめ、さらにそこで得られた見通しをもとに、藩領内の本末相論の解決過程における藩・本山の立場を明らかにしたい。また、その前提として、分析に用いる史料の基礎的な性格を明らかにする研究にも取り組む予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)
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[Book] 近世日記の世界2022
Author(s)
福田 千鶴、藤實 久美子
Total Pages
488
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
9784623093694
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