Project/Area Number |
21K13094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
遠藤 みどり お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (90623611)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 後宮 / 東宮 / 中宮 / 日本古代王権 / 日本古代史 / 天皇制 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本古代の王権構成者(天皇・太上天皇・皇太子・皇后など)の居住形態の再検討を行い、日本古代王権構造の特質のさらなる解明を目指すものである。具体的には「東宮」「中宮」「後宮」のような王権構成者の居所を指す語から派生して、王権構成者そのものを指すようになった語(=居所派生語)に着目し、日本国内の用例だけでなく、中国・朝鮮三国の用例と比較検討することで、日本古代の居住形態の特質を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本古代の王権構成者(天皇・太上天皇・皇太子・皇后など)の居住形態の再検討を行い、日本古代王権構造の特質のさらなる解明を目指すものである。 本年度は、昨年度行った「中宮」「後宮」についての検討結果を、現在執筆中の中公新書『日本の後宮』に盛り込むため、中国における後宮制度の検討をさらに進めた。その結果、中国で「後宮」の語が一般的に使用される以前には、「宮イ(門+違のつくり)」「六宮」という語が使用されていたことが明らかとなった。いずれも、妻は夫の後ろから支えるとする女性観に基づいた用例であり、天子の居所の後ろの宮にたまたま妻妾たちが住んだのではなく、中国における理想的な夫婦関係にもとづき、キサキたちの居所が天子の居所の後ろに位置づけられたと考えられる。こうしたキサキの位置づけは、日本古代の社会慣習とは異なるものである。 一方、昨年行えなかった「東宮」についての史料収集と検討も行った。そのなかで、日本における「東宮」について、皇太子の宮としての「東宮」とは異なるとする事例があることが分かった。具体的には、平城天皇の譲位後に転居した「東宮」である。だが、六国史における「東宮」の用例をみると、皇太子の存在しない時期以外に、皇太子の宮ではない「東宮」と考えられる事例を見出すことができなかった。先行研究で平城譲位後に転居した「東宮」が皇太子の宮とは異なるとするのは、当時、のちの嵯峨天皇が皇太子として存在していたためだとみられるが、むしろ、嵯峨の即位を促すためにあえて皇太子の住む「東宮」へ移動したと考えることも可能である。以上から、日本の「東宮」は「後宮」と異なり、天皇の宮の東方に常設された宮で、基本的に皇太子の居所として使用されたことを確認出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「後宮」「中宮」「東宮」ともに検討を行い、一定の成果を得ることができたが、新書執筆に手間取り、今年度行う予定であった研究成果の公表(研究発表)を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
「後宮」「中宮」「東宮」という居所派生語の分析から、王権構成者の居住形態の再検討を行うという本研究の目的は、一定の成果を得ることができたが、いずれも公表に至っていない。最終年度である次年度は、新書の刊行と研究報告を行うことで、目標を達成したい。
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