効率的情報創出・処理システムとしての契約・法・裁判の体系的構築に関する研究
Project/Area Number |
21K13212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 貴文 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 准教授 (00761488)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 物権 / 契約 / 二重システム論 / 物権法定主義 / 任意法規 / 契約法 / 消費者法 / 情報処理 / デフォルト / ネットワーク効果 / 民法 / 法の経済分析 |
Outline of Research at the Start |
現代の法律学においては、裁判規範としての機能だけではなく、より広い観点から法の機能を分析する理論が求められている。本研究は、そのような法の機能を情報という観点から分析しようとするものである。法は裁判所が紛争を解決する際に必要な情報を提供するものであり、裁判所にとっては紛争を解決するためのコストを節約するという意味を持つ。また、個人に対して自由を認める契約法は個人に情報収集・処理の利益とコストを内部化して効率的な情報生産の手段として機能する。このように、情報という観点から契約法の意義を探究し、あるべき契約法の姿を提示しようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までに行った研究や文献整理、書き溜めていたアイデアなどをまとめ、本研究課題の主要部分となる論文を公表した。 当該論文では、異なる権利ないしルールの確定方法(これは、権利やルールの形態の違いとも表現することができる)が存在する理由を明らかにした。権利の確定方法としては、個別の権利義務当事者間について一つずつ決めるという方法と、多数者に対して一律に確定するという方法という二つの確定方法がある。なぜこのような異なる種類の確定方法が存在するのか。この問いに対して本論文では、コストのかけ方の異なる確定方法を使い分けることによって、ルール設定者の情報処理能力の限界に対処している、ということを明らかにした。すなわち、もしルール設定者の情報処理能力が完全であれば、コストをかけずに各当事者に適合した権利を設定することができる。しかし実際には情報処理能力は限られているので、人間社会では、上記の二つの確定方法を使い分けることによってそうした限界に対処している。 このような二つの確定方法は、法の様々な場面で見られるものである。本研究では、民法における最も基本的な権利形態である物権と契約について、上記の考え方から検討を行い、物権と契約も情報処理能力の限界に対処するための異なる権利形態であるということを明らかにした。 さらに本研究では、これらの権利かくて方法の違いから、それぞれについての派生的な制度が生じてくることを示した。物権と契約については、物権法定主義と任意規定がそれにあたる。 このように、本年度の研究では、多様な権利の確定方法が存在することの意義、およびそこから派生して生じる様々な法制度について、情報処理能力の観点から分析を加え、一定の知見をえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究課題の目標であった、情報処理能力の観点からの私法理論の基本的枠組みについて、一定の考察を加えることができた。もっとも、まだ残された課題もあり、また様々な領域での応用的研究も必要であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究の過程では、研究により構築された基本枠組みについては、なおその妥当性を考察するために、さまざまな具体的分野に適用してみることの必要性が明らかとなった。そこで今後は、当該基本枠組みについての応用的研究を遂行する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)
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[Book] 消費者法の作り方――実効性のある法政策を求めて2022
Author(s)
丸山絵美子,大屋敏裕,吉政知広,松田貴文,得津晶,牧佐智代,横溝大,高橋祐介,森貞涼介,福島成洋,室岡健 志
Total Pages
242
Publisher
日本評論社
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