Project/Area Number |
21K13264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
中坊 勇太 奈良大学, 社会学部, 講師 (40825923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 現在バイアス / 賦課方式年金 / 世代重複モデル / 公的年金 |
Outline of Research at the Start |
公的年金制度が経済成長や経済厚生に与える影響について数多くの研究蓄積があるが、その多くは時間割引率が一定な指数割引を前提としている。しかし多くの経済実験で、人間は目先の利益にとらわれて現在に近いほど多く割り引く、現在バイアスを持つことが明らかとなっている。 以上を踏まえて本研究では、現在バイアスと公的年金制度を同時に扱えるモデルを構築する。そのモデルを用いて、現在バイアスをもつ個人にとって公的年金制度の存在が経済成長と経済厚生にどのような効果をもたらすのかを明らかにする。さらに年金制度改革は現在バイアスを持つ個人にとって、経済成長と経済厚生の観点から望ましいか否かも明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、 1.賦課方式年金の存在は個人の貯蓄を減らして物的資本蓄積を阻害することで経済成長率を低下させる。 2.賦課方式年金が経済厚生を高めるのは、人口成長率が利子率よりも高い、いわゆる「動学的に非効率」な状態の場合である。 という有名な結果について、現在バイアスを考慮したモデルにおいて再考することである。個人が現在バイアス選好をもつことを仮定し、現在バイアスの存在が、賦課方式年金を組み込んだ経済成長モデルにおいて、経済成長率や経済厚生にどのような影響を与えるのかについて分析を試みている。 前年度までに構築したモデルでは、公的年金と経済成長率、公的年金と経済厚生の間の関係性に現在バイアスの強さがどのような影響をもたらすのかについて、明確な結果が得られなかったため、本年度は前年度に引き続き、モデルの修正に取り組んだ。分析の際に当初採用していた離散型の世代重複モデルでは、分析の都合上3期間以上のモデルが必要であり、また、関数形を対数効用などの扱いやすいものにした場合、現在バイアスのパラメーターが公的年金と経済成長率、公的年金と経済厚生の関係性に一切影響しなくなるという欠点があることが判明した。また、関数形をCRRA型などより一般的なものに変更すると、資本のダイナミクスの導出が困難になることもあり、モデルの修正作業に多大な時間を要した。結果として離散型のモデルではなく、連続型世代重複モデルを用いて分析を行うことに変更した。ベースとなるBlanchard-Yaariモデルに現在バイアスと賦課方式年金を組み込み、モデルの構築作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
モデルの構築作業に想定以上の時間を要し、公的年金を組み込んだ経済成長モデルにおいて、現在バイアスの存在が経済成長率や経済厚生に与える影響について、明確な結果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初採用していた離散型のモデルでは分析上の困難があるために、対応策として連続型のモデルに変更して分析を行っている。研究計画の変更のため、研究期間の1年延長を申請し承認された。今後は変更したモデルを用いて、現在バイアスが公的年金と経済成長率・経済厚生の関係性に与える影響について分析を行っていく。
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