An empirical analysis of the effect of fraudulent accounting on auditor judgment
Project/Area Number |
21K13396
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾関 規正 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (60846038)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 財務会計 / 監査 / 実証研究 / 虚偽表示 / 不正 / 修正再表示 / 監査報酬 / 不正会計 / 不正リスク / 財務報告 |
Outline of Research at the Start |
財務報告上の意図的な虚偽表示である不正会計は、財務報告の信頼性を揺るがす問題である。監査人は不正による重要な虚偽表示を防ぐ役割を持つため、その行動には不正リスクの情報を含むと考えられる。本研究は、不正会計に対する監査人の判断に着目し、企業の不正会計が監査人に及ぼす影響を実証的に分析する。不正会計の実行や発覚に対する監査人の反応やそれが生じる不正会計の特徴を分析するとともに、監査人が反応する不正会計の兆候を調査する。そして、監査人の行動が不正会計の予測に役立つかどうかを検証する。不正会計に対する監査人のリスク評価の実態を解明し、不正会計の予測に用いることでその発見や防止に貢献する意義がある。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、企業の不正会計によって監査人の判断に生じる変化を実証的に明らかにすることである。本研究課題は、不正会計に対する監査人のリスク識別や監査人に生じる帰結の実態を示す証拠を提供する点に学術的な貢献がある。また、実務家に向けて監査人による不正対応の理解を促す意義がある。本課題では、不正会計と監査人の実態を調査する前提として、日本の上場企業において財務報告上の虚偽表示が発覚している実態を調査し、発覚による株式市場や監査人に与える影響の重大性を明らかにする。そのうえで、虚偽表示が発覚する前の段階で監査人に起こる変化を通じ、未発覚の段階での監査人によるリスク識別の有無を分析する。監査人による不正リスク評価の要因を探り、潜在的な不正リスクと監査人の判断との関連を解明する。 本研究課題は次の具体的な課題に取り組んでいる。まず、本課題における分析対象となる(1)日本における財務報告上の虚偽表示の実態を調査する。また、監査人の反応や帰結を調査する前提として、(2)虚偽表示の発覚後における投資家の反応の大きさや監査人に対するペナルティの大きさを明らかにする。そのうえで、(3)虚偽表示の発覚する前から後にかけて不正リスクに対する監査人の判断の実態を分析する。そして、(4)監査人の判断に影響しやすい不正リスクを示す兆候を探索し、監査人の判断に生じる変化やその兆候が不正リスクを示す指標となるかどうかを検証する。 これまでに、(1)のテーマについて調査した内容をまとめた論文を国内雑誌に掲載した。また、(2)の投資家の反応を示す研究については国内学会での研究発表を行った。(2)の監査人に対するペナルティを示す研究を国際学会で発表し、海外査読誌向けに論文を改訂中である。(3)および(4)の研究については、今後において取り組む計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では2023年度までに(4)までの研究を進める計画としていた。しかしながら、これまでに分析対象の拡大や(2)のテーマを追加的に実施したため、計画と比べて遅れている。 まず、当初は不正会計に起因する虚偽表示事例のみを対象とした計画であったが、誤謬事例を含む虚偽表示事例全般を調査の対象とした。理由として、不正会計と誤謬は共に財務報告上に虚偽表示があり、監査人が発見すべき点で違いはなく、監査人の反応や帰結を包括的に検証するためである。 (1)の調査では2020年までの虚偽表示事例(不正および誤謬)を全般的に収集し、本研究課題の予備的分析を行った。この結果は論文にまとめ、2022年度に公刊した。 次に、虚偽表示全般の発覚による重大性を示すことを理由に(2)のテーマを追加している。その一つとして、財務報告の目的に挙げられる投資家の意思決定に生じる変化を調査した。虚偽表示の発覚による投資家間の情報の非対称性に及ぼす影響を測定し、株価からは見えにくい株式市場における帰結の実態を明らかにした。この研究成果は2022年度に国内学会にて発表し、2023年度は論文の執筆を進めている。2024年度には論文を完成させる予定である。 また、虚偽表示発覚時の監査人の帰結について、本研究課題の開始前より継続的に取り組む研究テーマを改訂し、重要な虚偽表示発覚により監査人が経験する処分を分析した。この結果は2021年度に国内学会で研究発表した内容を更新して2023年度に海外学会で発表し、英文査読雑誌に投稿した。結果は採択されなかったが、2024年度は査読結果を踏まえた改訂と他の雑誌への投稿を予定する。 そして、2024年度では本研究課題の残る課題(3)(4)に取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の期間の3年が経過したが研究の進捗が遅れていることから、1年間の期間延長を行った。 2024年度においては、進捗中の(2)投資家や監査人の帰結に関する課題について、論文の執筆や改訂を完了し、査読雑誌への投稿を予定する。次に、(3)虚偽表示発覚前後の監査人の判断に生じる変化やその要因の実証分析について、分析および論文執筆を行う。その結果を研究会または学会において報告し、査読雑誌への投稿を行う。 (2)は論文の執筆段階を各種の英文校正ツールを利用して効率的に作成する。 (3)や(4)の課題の今後の推進方策として、研究会または学会における報告や査読誌への投稿を具体的な目標として設定し、その目標に合わせて成果を出していくものとする。そして、他の研究者からの意見を取り入れることで、研究を推進していくものとする。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)