Project/Area Number |
21K13400
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
|
Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
黒岩 美翔 長崎県立大学, 経営学部, 准教授 (30828273)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
|
Keywords | CSR戦略コントロール / コーポレート・ガバナンス / 内部統制 / ESG / PACTE法 / ERM / COSO / サステナビリティ情報 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、多国籍企業の社会的責任(CSR)活動を促すコントロールの日仏米の比較研究を通して、持続可能性を考慮した全社的リスク・マネジメント(ERM)フレームワークの適用可能性(国ごとの適切な適用)を検証することを目的としている。具体的には、CSR活動に積極的な多国籍企業の中で行われているコントロール活動とリスク・マネジメント体制の事例研究を行う。そしてその分析をもとに、これまでの研究で明らかにしてきたコントロール論とトレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO)内部統制との関係を念頭に、持続可能性を考慮した新しいCOSOのERMフレームワークが様々な多国籍企業に適用可能かを検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に続き、フランスで制定されたコーポレート・ガバナンスに関連する法律である「PACTE法」が企業のマネジメント・コントロールにどのような影響を与えるのかについて研究を進めた。 さらに、PACTE法の中の「使命を果たす会社(ソシエテ・ア・ミッション)を実践しているフランスのダノン社における状況について、アニュアルレポートや株主総会資料を基に分析を行った。また、PACTE法を制定する元となったNotat-Senard報告書についても調査を行い、その制定の背景について明らかにした。 加えて、CSR戦略コントロールの側面から、サスティナビリティマネジメントコントロールの事例研究も増えてきていることから、それらを整理した。組織内外でサスティナビリティに対する関心が高まる中で、サスティナビリティに関するコントロールとガバナンスの関係に重点をおいて研究を進めている。 PACTE法の制定によって、それまで企業内で実施されていたようなサスティナビリティ活動に関する様々な規制が外部化されてきている。 上記の状況を踏まえた上で、2024年度にはフランスにてダノン社のCSR戦略コントロールについて研究を行っているパリ東大学のモケ氏にインタビューを行う予定であることから、PACTE法がフランスのコントロール論にどのような影響をもたらしているのか等、課題点を抽出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、昨年度に引き続きフランスにおける社会的価値重視の企業を中心に文献、資料調査を行い、研究結果を学会や学術冊子で発表した。 研究成果は2023年5月20日に日本管理会計学会九州部会にて「フランスにおける使命を果たす会社(societe a mission)導入についての一考察―Moquet(2010)の視点から―」のテーマのもの発表を行った。 また、昨年度研究していた社会的・環境的価値を重視するコーポレート・ガバナンスに関する導入事例としてダノン社の状況を取り上げた研究については「社会的価値を重視するコーポレート・ガバナンスについての研究―ダノンの事例をもとに―」のタイトルのもと『九州経済学会』第61集、2023年12月にて論文が掲載されている。 これまでの研究では、文献・資料調査にとどまっており、実際のフランスにおけるコントロール論の変化や、企業内部における影響についてインタビュー等を行うことができなかったため、やや遅れている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、PACTE法をはじめとする社会的・環境的問題にアプローチするフランスの最新の動向について、これらの取り組みが実践の場においてどのように適用されているのかインタビューを行う予定である。そこで、フランスの会計学者であるモケ教授(パリ東大学)にインタビューを行い、現状について調査する。モケ教授はダノン社の社会的責任戦略コントロールについて研究を行っていることから、このようなコーポレート・ガバナンスの変化が内部のコントロールにどのような影響を及ぼしているのかをヒアリングする。また、モケ教授の社会的責任戦略コントロールのフレームワークにPACTE法がどう位置づけられるのかについても確認する。 さらに、このフランスのPACTE法は任意であるが、今後義務化される可能性はあるのか、日本をはじめとする他国は追随することになるのかどうか等意見交換を行う予定である。その上で、内部統制フレームワークへの影響をCOSO側と、フランス国内側とから検討することにしたい。
|