Project/Area Number |
21K13950
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
北村 遼 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究職 (10838379)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ミューオン / イオン源 |
Outline of Research at the Start |
素粒子標準模型を超えた新物理により起こりうるミュオニウム-反ミュオニウム転換過程を世界最高感度で探索するためには、信号事象である反ミュオニウム由来の負ミュオンを積極的に同定する新実験手法に加えて、背景事象となる負ミュオニウムイオンの生成を極限まで抑制することが重要である。 そのため負ミュオニウムイオン生成を原理的に抑制しつつ、負ミュオンを高効率で取り出せるイオン解離装置 (イオナイザー) を開発する。 本研究ではイオナイザー開発と原理実証実験を実施して、今後の物理測定に向けた基礎データを取得する。
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Outline of Annual Research Achievements |
素粒子標準模型を超えた新物理により起こりうるミュオニウム(Mu)-反ミュオニウム(Mubar)転換過程の探索に向けて、従来のMubar崩壊由来の電子と陽電子を検出する手法に代わり、Mubarを構成する負ミュオンを直接検出する新たな実験を計画している。新手法では、負ミュオンと誤同定されうる負ミュオニウムイオン(Mu-)が実験感度を制限するバックラウンドとなる。そのため本研究では、電子イオン解離反応を用いたイオン解離装置(イオナイザー)を開発することで、Mu-の誤検出を抑制して実験感度の向上を図る。 イオナイザー内部では、大量の電子を用いてMubarをイオン解離したのち、負ミュオンを取り出す。令和4年度は、負水素イオン源の電子閉じ込め磁場を計算するための計算コード群を改良して、イオナイザーからのビーム引き出し電極系の設計に取り組んだ。昨年度に準備した粒子反応計算ツールであるGeant4と別に、輸送計算には大強度陽子加速器施設J-PARCのイオン源などの負水素イオン源分野で実績のあるfortranベースの計算コード群をミュオン用に改良してコード開発を進めた。 令和4年度の実績として、電子閉じ込めにJ-PARCイオン源と同様の永久磁石によるマルチカスプ磁場配位を作った条件下で、ミュオンをプラズマから引き出せることを計算コード上で確認した。令和5年度のイオナイザー試作機製作に向けて制御電源の手配を進めると共に、継続してイオナイザー電極系の最適化と試作機製作を進める。 また、Mu-Mubar転換過程の探索実験における実験感度評価について、共同研究者らとオンラインでの打ち合わせによる議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電子によるMubarのイオン解離は、従来に例の無い新しいアプローチであるため、対象となるミュオンの反応過程を定量的に評価するための数値計算手法の開発が重要となる。負水素イオン源の研究分野で確立したプラズマ計算手法をミュオン用イオナイザーへと応用する点が本研究の要点の一つであり、イオナイザー試作機の評価の基礎となる。一連の計算フレームワークは複数の計算コード群から構成されており、それらを横断的にカスタマイズすることで反応過程の計算を進めている。 当初計画では、Geant4をベースとした計算ツールの開発を目指したが、準定常状態のプラズマにおけるミュオンの挙動を計算するために、当初の計画には無かったJ-PARCイオン源におけるプラズマ計算で使用されているfortranベースの計算コード群を改良した計算ツール開発を進めることとした。閉じ込めた電子によってプラズマが存在する条件下でのミュオン引き出し系の計算にて、閉じ込め磁石と引き出し電極配置の最適化を行っている。 現段階では、J-PARCイオン源の構成をベースとした設計で一定の引き出し効率が得られる見通しであるため、令和5年度でシミュレーション検討に基づく試作機を製作してオフライン試験を実施する予定である。 そのため、現在までの進捗状況は計画よりやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度では、イオン源研究者の助言と協力の下で、ミュオン輸送計算のシミュレーション開発に一定の見通しが経ちつつある。そのため、令和5年度には閉じ込め磁石や電極配置の最適化に一定の目処をつけて、専門家の助言を仰ぎながら試作機の製作へと移行する。イオナイザーの特性や問題点の抽出に向けて、試作機のオフライン試験を行う実験室等の調整を共同研究者と進めている。 包括的にイオン解離過程を理解するためには、試作機から得られた実験データと数値計算結果の定量的な比較が重要である。そのため、試作機のオフライン試験では、水素ガスを用いたプラズマ発生を始めとする具体的な試験手順の検討を開始している。遅滞無く計画を進められるよう、共同研究者と継続して緊密な研究進捗の議論を進める。 また、イオナイザーを用いた場合における、Mu-Mubar転換過程の探索実験における実験感度評価について、共同研究者らとも継続した議論を進める。
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