Project/Area Number |
21K14000
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17030:Human geosciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo (2023) National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention (2021-2022) |
Principal Investigator |
姫松 裕志 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (50846376)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 衛星SAR / 西之島 / 荷重変形 / 地殻変動 / 火山 / 溶岩流 / リモートセンシング / 合成開口レーダー / 有限要素法 / マグマ貫入 / カルデラ / 火山噴火 / 衛星データ |
Outline of Research at the Start |
火山噴火に伴う溶岩流は我々の生活を脅かす火山現象のひとつであるが,低頻度現象であるため観測実績は少ない.溶岩流研究の潮流は流動解析による再現と予測である一方,物性の複雑さから再現手法は成熟しておらず,流動機構の実態解明もすすんでいない.本研究では衛星レーダによる溶岩流の3次元動態を観測する手法を提案し,構造解析による地殻の荷重変形機構の解明を通して溶岩流の流量推定手法を開発する.流下中の溶岩流流動速度分布と層厚分布を明らかにし,溶岩流の荷重がもたらす地殻の荷重変形を再現する物理モデルの構築を通して,溶岩流の流量とその時間発展を明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度はこれまでの研究対象であったSierra Negra火山に加えて、西之島を研究対象に追加し、データの解析と検証のために追加で時間を要した。西之島は2019年11月頃から2020年にかけて噴火活動が活発化し、大量の溶岩噴出を伴い、島の中央部に火砕丘を形成したことが報告されている。JAXAが運用しているALOS-2/PALSAR-2データにSAR干渉法を適用したところ、新たに溶岩流が定置した領域では地表面の様子が大きく変化したことから変動を捉えることは困難であった。画像相互相関に基づく変位抽出の手法であるピクセルオフセット法を適用しても、溶岩流直上における変形を捉えることは困難であった。一方、溶岩流定置領域の周縁部において沈降を示唆する衛星視線距離の伸長が認められた。衛星視線距離の変化量はいずれも最大で10cm程度で、変形はおよそ溶岩流定置領域から50mの局所的な範囲で認められた。検出した地殻変動が溶岩流の荷重に伴う変形と仮定して、半無限均質弾性体における矩形の領域で荷重変形を与えた場合の地表変形を解析解を用いて再現した。再現には溶岩流定置領域を直交する領域における衛星視線距離変化量を抽出し、解析解から計算できる変化量との比較を行い、最も残差が小さくなるパラメータを推定する。ここではパラメータ探索の効率化のために群知能によるパラメータ探索手法のひとつであるParticle Swarm Optimizationを採用した。パラメータ探索の結果、溶岩流が定置した領域と概ね一致する領域に荷重を与える矩形の領域が求まった。一方、荷重変形のみで検出した変形を説明しようとすると、100mを超える溶岩流の厚みが必要となり、非現実的な値をとる。計算媒質の物性パラメータについては今後も検討すべき事項の一つである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度はこれまでの研究対象であったSierra Negra火山に加えて、西之島を研究対象に追加し、データの解析と検証のために追加で時間を要した。また溶岩流定置領域で検出された地殻変動が荷重変形で再現できる見通しがたったことから、モデリングによる再現を通じてさらなるデータの検証にも取り組んだ。また研究成果を国際学会における発表や欧文査読誌への投稿を目指しており、そのための準備に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は荷重変形による再現を衛星視線距離変化のプロファイルを用いた再現から2次元データを用いた空間的な変形の再現を目指す。再現を通して、変形を説明するために必要な荷重の見積りや計算媒質の物性パラメータの検討、溶岩流の質量推定に取り組み、国際学会における発表や欧文査読誌への投稿により成果を公表する。
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