Project/Area Number |
21K15906
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡田 清吾 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50610680)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 川崎病 / alarmin / DAMPs / IL-33 / ST2 / 冠動脈病変 / IL-33/ST2 / 自然免疫 |
Outline of Research at the Start |
川崎病は乳幼児に好発する原因不明の全身性血管炎である。合併症として冠動脈病変があり、心筋梗塞や冠動脈破裂による若年性突然死の原因となる。近年、自然免疫の異常によるサイトカイン過剰産生が病態の主体と考えられている。現在、腫瘍壊死因子(TNF-α)に対する分子標的療法が保険収載されているが、副作用の観点から好発年齢である乳児に使用しにくい。本研究では冠動脈疾患および心筋炎のバイオマーカーであるインターロイキン(IL)-33に注目し、IL-33/ST2系を介した冠動脈病変の発症機序解明、冠動脈病変発症予測バイオマーカーおよび特異的治療法の確立を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
川崎病は主に1歳前後の乳幼児に好発する全身性血管炎であり、少子化に関わらず患者数が増加傾向である。長らく原因不明とされてきたが、自然免疫異常による過剰なサイトカイン産生が病態の主体であるという考えが有力視されている(自然免疫説)。川崎病は冠動脈に最も強い炎症が生じ、冠動脈病変(拡大・瘤化)を合併し、若年突然死の原因となる。川崎病の標準治療は長らく免疫グロブリンおよびアスピリン併用療法であったが、近年ステロイド、抗腫瘍壊死因子(TNF)-αモノクローナル抗体製剤(インフリキシマブ)、シクロスポリンなどの抗炎症療法が新たに保険収載された。しかしながら約8%の症例に急性期冠動脈病変を認め、新たな治療法の開発が望まれている。自然免疫制御機構の一つであるインターロイキン(IL)-33/ST2系が川崎病冠動脈炎の発症および増悪に関与している可能性について、ヒト血清および培養冠動脈細胞を用いて解析したものである(2021-2023年度 科研費若手研究採択課題)。川崎病患者の血清を用いた解析では、可溶性IL-33受容体であるsST2が冠動脈病変合併群において有意に高値であった(冠動脈病変合併群87.2 ng/mL vs. 非合併群31.7 ng/mL、p = 0.017)。in vitro実験では、IL-33刺激はヒト冠動脈内皮細胞(HCAEC)表面の膜型IL-33受容体であるST2Lの発現を増強させた。さらにIL-33刺激濃度依存性にHCAEC培養上清中の炎症性サイトカイン(sST2、IL-6、IL-8、単球走化性因子[MCP]-1)濃度が上昇した。さらに注目すべき結果として、従来川崎病リーディングサイトカインとされてきたTNF-αに比し、IL-33はHCAECにおけるIL-6およびIL-8の産生を有意に増加させることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療前の川崎病患者血清を用いた解析では、インターロイキン(IL)-33の可溶性受容体であるsST2濃度が冠動脈病変(CAL)合併群おいて有意に高値であることを報告した。また、培養ヒト冠動脈内皮細胞(HCAEC)を用いた実験で、従来川崎病リーディングサイトカインとされてきたtumor necrosis factor-αに比し、IL-33による刺激はHCAECからのより強い炎症性サイトカイン産生を惹起することを明らかにし、川崎病冠動脈炎においてIL-33/ST2系は新たなバイオマーカーおよび治療標的となり得る可能性を報告した。 (成果物:Okada S, Yasudo H, Ohnishi Y, Matsuguma C, Fukano R, Motonaga T, Waniishi T, Hasegawa S. Interleukin-33/ST2 Axis as Potential Biomarker and Therapeutic Target in Kawasaki Disease. Inflammation. 2023 Feb;46(1):480-490.)
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Strategy for Future Research Activity |
今後は冠動脈内皮細胞および冠動脈平滑筋細胞の共培養実験を行い、より生体内に近い環境でのIL-33/ST2系の解析を行う。また冠動脈炎モデルマウスを用いた実験系を計画している。
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