Transformation and Coexistence of the Relationship between Leopards and People in "Rural Area", Kenya
Project/Area Number |
21K17959
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山根 裕美 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任助教 (80830140)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | アフリカヒョウ / ヒョウと人の関り / 野生動物保全 / 生業 / ケニア / 牧畜民 / マサイ / ライオン狩り / 人と野生動物の関わり / 保全生態学 / 野生動物管理 / 軋轢緩和 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、保全生態学と社会学の異分野融合的な手法を用いて、野生動物であるヒョウと人との関係を解明し、共生の方策を追求していく。そのためには、ケニアのバリンゴ県において、1)GPS首輪を野生のヒョウに装着を試み、センサーカメラを設置。個体識別し、生息域の推定を行う。2)ヒョウの複数個体間の生息密度や家畜のいる集落との距離から、ヒョウの社会性や環境適応性を明らかにする。3)地域住民に対する参与観察や半構造的インタビューを通じて住民感情を把握し、その関係性からヒョウの生態調査結果との整合性を検証する。調査地は人々の生活が密集しておらず、野生動物の生息についてもデータが乏しい地域である。
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Outline of Annual Research Achievements |
ケニアのバリンゴ県の過疎地域において、野生ヒョウと人の関わりについて調査を継続中である。この地域に住んでいる人々は、牧畜を生業としているポコットの人々であり、民家は、互いの隣家までの距離が約1kmほど離れているのが通常である。本調査地では、ライオンが地域的に絶滅している可能性が高く、ヒョウは第一捕食書となっている。2022年度実施した住民への聞き取り調査で以下のような地域の様子が浮き彫りとなった。 調査地では、新型コロナ感染症の影響と同時にひどい干ばつが地域を襲い、家畜の多くが飢えや疾患で死んだ。特に、ウシは影響を強く受け、人々は市場価格の高いウシを失うこととなった。やせ細った家畜は市場での価値が下がり買い手がつかなくなった。さらにウクライナ戦争の影響で石油価格が高騰したことに伴い、ケニア国内でも物価も上昇したことが重なり餓死者が出るような状況となった。生活が厳しい状況が依然として続いている。 このような経済的にも生計的にも苦しい状態で、数が減少した家畜をヒョウに襲われることは、さらに厳しい状況に彼ら自身の生活がさらされることとなり、ヒョウに対する感情も以前に比べてより複雑なものになっていた。その一方で、現存している自然資源、環境を護っていかなければ、彼らが生業としている牧畜がなりたたないことを懸念する思いが、一部住民にあることは大きな発見であった。いかに現存している状況を維持していくべきなのか。厳しい干ばつに再度襲われたときに、どうしなければならないのかということについて、住民の中にも危機管理を意識した行動様式を考える傾向がある。 自動撮影カメラの設置し、痕跡の追跡調査を実施してきた。GPS首輪の装着を計画中であり、ヒョウの行動を知ることで、人とのかかわりがより明らかになると考えており、今後のヒョウの保全および、人々の生業への影響を評価可能となり重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒョウと人に関わる調査において、社会科学的な調査は順調に進んでいるものの、GPS首輪装着によるヒョウの追跡調査が、若干の遅延状態となっている。GPS首輪装着に関わる許可証の取得が難航しているためである。許可証取得遅延の理由は、ケニアにおける野生動物調査に関わる機関が、ケニア野生生物公社から、調査・研究部門が独立したことに起因しているが、本年度は、首輪の装着に着手できるよう、準備を進めているところである。 また、干ばつがひどかったことも重なり、地域の人々が「生きる」ことに必死であることや、昨年実施された大統領選挙のために、調査地への移動が困難であったという状況も重なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
社会科学的な人とヒョウの関りについての調査を継続し、同時に、最優先で取り組みたい事項は、GPS首輪の装着である。今年度、前半は許可の取得し、後半には首輪の装着を試みる。また首輪の装着ができなかった場合に備え、引き続き、自動撮影カメラの設置と、地域の動画撮影、痕跡調査を継続する。 2023年4月現在、雨が降り始めており、どれくらい干ばつの状況が改善するのかも、注視していきたい項目である。人々の生活が回復し、家畜の状態が改善することで変化する、人々の心理や生活についても、注意深く観察していきたいと考えている。 干ばつが与える影響は、牧畜民をはじめとした、自然資源を利用している人にとって、単なる物価上昇だけではない。家畜が死んだり、やせ細ることで市場価値が下がり、収入経路が途絶える原因となる。また、近隣に家畜が食む草がないことで、遠方に牧草を求めて家族の一部が移動をするなど、様々な影響が考えられる。そのような、家畜の減少や、人々の移動の変化が、どのようにヒョウの行動や食性に影響を与えるのが、さらに調査を進めていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)