Project/Area Number |
21K18990
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 34:Inorganic/coordination chemistry, analytical chemistry, and related fields
|
Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
横山 温和 佐世保工業高等専門学校, 基幹教育科, 准教授 (50735579)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
|
Keywords | 銅鏡反応 / 反応中間体 / 銀鏡反応 / 反応機構 |
Outline of Research at the Start |
銀鏡反応はその反応の簡便性から、実際に授業中の学生実験教材として取り扱われることが多いが、その反応機構や反応中間体に関する詳細は知られておらず、未解明な部分を多く残す反応である。つまり、銀鏡反応は量論的には簡単な反応でありながら、その本質(反応機構)を厳密には知られていない特異な反応であるといえる。また一方で、銅鏡反応は銀鏡と同様に一見簡単そうに見える反応だが、銅鏡の作成は非常に難しく、その現象自体が高等教育の場では定着しておらず、反応機構の細部は明確になっていない。本研究では、銀鏡・銅鏡反応の反応機構解明を目指し、分子化学的アプローチから分光学、速度論、結晶学を用いて反応中間体の決定を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は銅鏡反応の反応機構を錯体化学の視点から明らかにすることにある。このため、分光学的なデータを議論する必要があるため令和3年度に分光器(紫外可視吸収スペクトル測定器)を発注し、令和4年度から分光学的なアプローチで研究を行った。また、実験場所を確保するため、学生実験に使用していた化学実験室の一角へ専用の実験スペースをつくり、各種実験装置を安置するための工事を行なった。令和4年度7月頃からクラブ活動の学生と実験を行うように体制を変更し、その結果を令和4年度長崎県高等学校総合文化祭の第28回科学研究発表大会(10月)で口頭発表し、最優秀賞(優勝に相当)を獲得した。さらに、令和4年度後期(10月以降)に入ってもゆっくりとではあるが継続的な実験を行い、令和4年度九州高等学校生徒理科研究発表大会(@鹿児島大学, 12月)で口頭発表を行なった。これらの結果を受け、第47回全国高等学校総合文化祭の自然科学部門の化学(@鹿児島大学)に大会参加を推薦され、令和5年7月に長崎県代表校として口頭発表を行った。 申請時に予定していた5年生との実験ではなく下級生(高校1,2,3年生相当)との実験のため、技術不足・知識不足が否めない。また、放課後クラブ活動での実験のため実験時間が限られる。そのため、研究の進捗は芳しいものではない。しかし、その成果は長崎県の研究発表大会で優勝するほど意義を認められている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度に購入した分光器(紫外可視吸収スペクトル測定器)の納入時期がコロナの影響と半導体不足の影響で大幅に遅れたため、その期間に予定していた実験については遅れが生じていた。また、卒業研究として本校の5年生を令和4年度の研究に参加させる計画であったが、それが学科の方針により計画時点から変更され、申請が却下されたため、研究の進捗に遅れが出ていた(進捗状況報告で報告済み)。そのため、初年度の研究の遅れが響き、本研究は3ヵ年として想定していた研究進捗から遅れている。そこで、令和4年度7月より、本実験の主体を本校のサイエンスクラブへと移し、クラブ活動の学生と本研究を行うことで研究成果を出した。 銅鏡反応の反応中間体の特定を行うため、さまざまな条件で対照実験を行い、その結果を分光器で測定することで反応の詳細なデータが揃うようになった。特に、令和4年度の夏季休業を使って集中的に行なった実験から、銅鏡反応の進行に必要な配位子の状況が明らかになった。その結果を令和4年度長崎県高等学校総合文化祭の第28回科学研究発表大会で口頭発表し、最優秀賞を獲得した。さらに、令和4年度後期(10月以降)に入ってもゆっくりとではあるが継続的な実験を行い、令和4年度九州高等学校生徒理科研究発表大会(@鹿児島大学)で口頭発表を行なった。これらの結果を受け、第47回全国高等学校総合文化祭の自然科学部門の化学(@鹿児島大学)に大会参加を推薦され、令和5年7月に口頭発表を行った。令和5年4月からサイエンスクラブで実験を行う学生の学年が2年生となり、実験の進捗が更に遅くなったため、令和5年8月、9月を使って学生の基礎的な実験技術を身につける必要が生まれた。そのため、これまでに積み重ねた銅鏡実験の再実験を多く行い、実験の再現性を確認する実験を多く行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も研究の主体をクラブ活動とし、学生の長期休暇を使って長時間の実験時間確保を行う予定である。研究の内容では、現在、反応中間体の銅Cuの価数が問題となっている。その点、研究発表の場でも審査員から更なる実験事実の積み上げが期待されていた。しかし、分光器を使った高濃度での反応中間体の検出は、測定中に石英セルの中に銅鏡が析出するリスクが伴う。これからもっと詳細な金属の情報を得るためには、銅Cuの価数を決定するために電子スピン共鳴(ESR)測定を行う必要があるが、それには学外での測定が必要になる。また、反応中間体の錯体の構造情報を得るために質量分析(ESI-MS、MALDI-TOF-MS)を行う場合も、学外での測定が必要となる。申請者は平常時に授業が非常に多く、測定出張することが不可能であるため、夏季休業、冬季休業、春季休業を使って大学などへ赴き、依頼測定を行う必要がある。しかし、令和5年度は、サイエンスクラブで実験を行う学生の学年が1,2年生となっていたため、技術面と知識面の未熟を考慮して学外への実験出張が不可能であった。令和6年度は萌芽研究の期間を延長し、助成期間の最終年度として様々な機器による測定結果を積み上げる予定である。
|