ウイルスキナーゼから紐解くリン酸化の新たな基質特異性制御システム
Project/Area Number |
21K19370
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 49:Pathology, infection/immunology, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 寧 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60292984)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | HSV / Ser/Thr選択性 / セリン・スレオニンキナーゼ / リン酸化 / プロテインキナーゼ / ヘルペスウイルス / セリン・スレオニン選択性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、独自に蓄積した未発表の知見を基盤に、HSV感染におけるセリン・スレオニンプロテインキナーゼ(PK)の可逆的なセリン・スレオニン選択性制御機構の役割を解明後、ウイルスPK研究により得られた知見を突破口に、宿主PKにおける可逆的なセリン・スレオニンを司るリン酸化制御機構を紐解くことで、セリン・スレオニンPKが2種類のアミノ酸を標的とする生物の基本原理に潜む、セリン・スレオニンPKの全く新しい生物学的意義を多角的に解明するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞機能の90%以上を制御するプロテインキナーゼ(PK)は、基質の標的アミノ酸をリン酸化修飾する。一般的に、セリン・スレオニンPKのみが2種類のアミノ酸をリン酸化する。標的アミノ酸の選択性(Ser/Thr選択性)に関して、セリン・スレオニンPKは、セリンをリン酸化しやすいセリン選択型PK、スレオニンをリン酸化しやすいスレオニン選択型PK、セリンとスレオニンのリン酸化効率が同程度の非選択型PKに分類されること、本分類はPKの活性中心近傍のアミノ酸側鎖によって、主に規定されることが報告されている。 申請者らは、単純ヘルペスウイルス(HSV)がコードするPKは、特定部位のリン酸化により、Ser/Thr選択性が変化することを見出しており、昨年度、本リン酸化を阻害および恒常的模倣した遺伝子組換えウイルス(HSV PK mutants)の培養細胞系における性状解析を実施した。今年度は、以下の(i)から(iii)を解明した。(i) HSV PK mutantsを脳内接種したマウスの生存率と脳内におけるウイルス増殖を解析し、HSV PK Ser/Thr選択性のHSV神経病原性への影響を解明した。(ii) HSV PK mutantsを角膜接種したマウスの末梢組織における病態発現、各標的組織におけるウイルス増殖とマウスの生存率を解析し、マウスの末梢組織における病態発現と神経侵襲能に対するHSV PK Ser/Thr選択性の影響を解明した。(iii) HSV PK mutantsを角膜接種した6週後のマウスの三叉神経節に潜伏感染しているHSVゲノム・コピー数を解析し、HSV PK Ser/Thr選択性の潜伏感染効率への影響を解明した。一連の解析により、HSV PK Ser/Thr選択性のHSV生活環における生物学的意義が、広く解明されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、単純ヘルペスウイルス(HSV)がコードするプロテインキナーゼ(PK)におけるSer/Thr選択性の生物学的意義に関して、初年度は、精製酵素を用いた試験管内リン酸化酵素反応系を用いた解析および、部位特異的変異ウイルスを用いた培養細胞レベルでの解析を、2年目である本年度はマウスモデルを用いた初感染時および潜伏感染時の解析を完了したことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。一方、本研究はウイルス学研究により見出されたPK Ser/Thr選択性に関する知見を突破口に、宿主PKにおいても、PK Ser/Thr選択機構が保存されていることを示し、一般生物学研究への波及効果も目標としていた。しかしながら、宿主PKの精製が難航していること、解析対象の宿主PKの生理学的な基質が不明であり、適切なPK活性測定系の確立が困難であることから、本目標に関しては現在のところ、継続的な取り組みが必要な状況である。したがって、当初の計画通り以上に進展しているとは言い難いと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
単純ヘルペスウイルス(HSV)がコードするプロテインキナーゼ(PK)におけるSer/Thr選択性が、HSVの再活性化に及ぼす生物学的意義は、依然として不明なままである。そこで、作出済みのHSV PKのSer/Thr選択性を規定するリン酸化を阻害および恒常的に模倣した遺伝子組換えウイルス(HSV PK mutants)を、角膜接種した6週後のマウス由来の三叉神経節を摘出し、物理的刺激によるHSV再活性化を上皮系細胞におけるプラーク形成を指標にモニタリングする。本解析により、HSV PK Ser/Thr選択性のHSV再活性化効率への影響が明らかとなることが期待される。また、難航中の宿主PKへの水平展開に関しても、精製法の変更等を試み、引き続き解析を継続する。さらに、宿主PKの先行研究により報告されたSer/Thr選択性を規定するアミノ酸残基に関して、HSV PKにおける意義の解明を試みる。具体的には、HSVゲノム編集法を用いて、該当アミノ酸残基(アラニン)を、他の19種類のアミノ酸に置換した組換えHSVsを作出し、(i) HSV PKのSer/Thr選択性への影響の解析、(ii)HSV PKのSer/Thr選択性以外の基質特異性への影響の解析、(iii) HSV増殖・病態発現機構への影響の解析を実施することで、宿主PKとウイルスPKの共通点と相違点に関して、さらなる知見の解明を試みる。また、補助事業の目的をより精緻に達成するため、追加実験を実施し、成果発表に目掛けて、学会参加、論文投稿を実施する。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Role of the orphan transporter SLC35E1 in the nuclear egress of herpes simplex virus 12022
Author(s)
Fumio Maeda, Akihisa Kato, Kosuke Takeshima, Misato Shibazaki, Ryota Sato, Takuma Shibata, Kensuke Miyake, Hiroko Kozuka-Hata, Masaaki Oyama, Eigo Shimizu, Seiya Imoto, Satoru Miyano, Shungo Adachi, Tohru Natsume, Koh Takeuchi, Yuhei Maruzuru, Naoto Koyanagi, Jun Arii, Yasushi Kawaguchi
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Journal Title
Journal of Virology
Volume: -
Issue: 10
Pages: 10-10
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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