Project/Area Number |
21KK0061
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
柏山 祐一郎 福井工業大学, 環境情報学部, 教授 (00611782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 之恭 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (00370990)
久保田 彩 中央大学, 理工学部, 助教 (00847311)
谷藤 吾朗 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (70438480)
伊庭 靖弘 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (80610451)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥19,110,000 (Direct Cost: ¥14,700,000、Indirect Cost: ¥4,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 原生代 / LECA / 原生代微化石 / 超解像多次元岩石イメージングシステム / 分子時計 / 真核生物初期進化 |
Outline of Research at the Start |
我々「真核生物」の初期進化に関する3つの謎,[1]酸素を利用する現代型真核生物の共通祖先「LECA」が成立した時代背景,[2]LECAが他の原始的真核生物を排して多様化に成功した環境要因,および[3]古細菌の中から単純な真核細胞「FECA」が登場してから複雑な細胞を発達させたLECAが生命圏を席巻するまでの「進化のペース」を明らかにする。そこで,最大の障害「LECAの年代推定問題」を解決すべく,鍵となる原生代の地層に残された化石真核細胞を再検証する。このために,国際共同調査チームにより北極圏の無人島サマセット島で調査をおこない,最新鋭のイメージングシステムを用いて化石の評価を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,カナダ北極圏に分布する中-新原生界の微化石を研究し,領域横断研究により真核生物の初期放散の実態を解明することを目的とするものである。特に,原生代の紅藻化石だとされている「バンジオモルファ」を再研究し,真核生物放散時期の論争を決着させることを目指している。よって,より具体的には,①バンジオモルファの原記載地サマセット島で化石を含む岩体を採取し,②最新鋭の超解像多次元岩石イメージングシステムで得られる形態情報を基に化石の分類学的な再評価をおこない,③ジルコンU-Pb年代測定により,当該化石を含む岩体の年代を特定して,④新しい分子時計解析を実施することが計画により盛り込まれている。中でも,夏季の限定された時期のみに調査が可能な北極圏の無人島であるサマセット島にアクセスして試料を得ることがプロジェクト中の最難関であると共に必要不可欠な項目である。従って,夏以降に採択・開始された本研究の初年度では,翌2022年度の北極圏調査のための準備期間として,以下の2つの予備研究を実施した。 まず,北極圏調査で得られる非常に貴重な試料から確実かつ効率的に微化石データを抽出できるようにするため,化石が保存されていると想定される炭酸塩岩中のシリカシンターを対象とした超解像多次元岩石イメージングシステムによる微生物化石データ取得技術を開拓する目的で,国内屈指のシリカシンター産地である中房温泉で詳細な調査をおこなうとともに,恐山フィールドなど日本各地のシリカシンター産地を訪れて,試料を採取し,現在,超解像MULPISによる解析を実施している。次に,アクセスや気候条件が非常に厳しい北極圏のフィールドに備えるための事前準備として,厳冬期の東北海道太平洋沿岸(北海道厚岸郡浜中町恵茶人沿岸地域)において,機器やフィールドギアのテストを含む1週間の野営と調査工程シミュレーションを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画が全て予定通りに実施された。すなわち,中房温泉など日本各地のシリカシンター試料を入手して解析することができたことで,北極圏の極限環境での調査の限られた時間内に効率的な試料採取を実施する上で重要な知見を得ることができた。また,東北海道でのシミュレーション調査により,氷点下10度を下回る無人環境での活動について様々な知見を得ることができたため,これを参考にして,現在,2022年度7月に実施予定のサマセット島調査の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
北極圏サマセット島のバンジオモルファ原記載地の露頭状況や地質を把握するための小規模予備調査(融雪期の7月)を現地滞在10日間の予定で実施する。これは,翌年以降の本格調査の予備調査と位置づけられるものである。今回の調査では,特に,無人島であるサマセット島において,水の確保,危険な野生動物を回避して十分な安全を確保した上で調査するための現地状況の確認,また,サマセット島上陸前の出発点となる僻地の集落レゾリュートにおいて,現地住民らからの安全などに関する情報収集を第一の目的とする。その上で,地層年代を決定するための火山性堆積物試料の採取,微化石を含む岩体の採取,さらに,翌年の本格調査で層序学的ないし堆積学的な情報を効率的に得るため現地の露頭状況の確認調査を実施する。現地案内役のAdl博士(および現地ガイド)と研究代表者(柏山)のほか,伊庭博士,久保田博士,および現地ガイド2名が参加する。また,持ち帰った岩体について,超解像MULPISによる網羅的撮影を行う。微化石および生痕化石を検出するデータマイニングを行い,原生代微化石専門家のPorter博士や真核細胞分類学の専門家Adl博士など研究メンバー全体で共有して議論を行う(オンライン会議が中心)。また,得られたパイロットデータをもとに,翌年の本調査の計画を話し合う。
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